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電波の安全性に関する説明会を甲府市で開催 関東総通局

【2016年10月19日】

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     ▲ 質疑応答に答える3氏
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▲ 「電波の安全性に関する説明会」の模様

 総務省関東総合通信局(高崎一郎局長)は、10月12日に山梨県地場産業センター・かいてらす大ホール(山梨県甲府市東光寺3の13の25)で、「電波の安全性に関する説明会〈医療機関において安心・安全に電波を利用するために〉」を開催した。後援は山梨県、甲府市、一般社団法人山梨県民間病院協会。
 現在、携帯電話やスマートフォンが爆発的に普及し、また、無線LANやキーレスエントリーなど、日常生活に欠かすことのできない通信システムも拡大しており、今や電波利用は国民生活や社会経済活動に不可欠なものとなっている。
 平成26年8月に「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」が公表されたが、電磁波に対する理解は一朝一夕に進むものではなく、医療機関への十分な浸透もしていない状況にある。他方で医療機関における電波管理等が適正になされていない場合には、事故等につながることが危惧されることから、今年4月に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」が取りまとめられたところだ。
 このため、同説明会では、これらの指針に基づいた、適切な電波利用、合理的なルールの作成や安心して医療機器を使用してもらえるように、その分野の専門の先生を講師に迎えて講演した。
 講演内容は次の通り。「電波の安全性に関する総務省の取り組み」と題して、総務省関東総合通信局電波監理部長の佐渡山安好氏から講演があった。
 佐渡山氏はまず、『我が国における電波利用分野の拡大』に触れて「ワイヤレスと家電との融合、地域活性化、医療分野への応用、環境問題への対応等の様々な新たな分野での電波利用の出現がある。そして、無線局数が大幅に増加している。電波利用の拡大と電波の安全性でみると、電波利用の普及・高度化に伴い、電波が人体や医療機器に与える影響に対する懸念が増大。電波の安全性について的確な対応が必要である」とした。続いて、電磁波の分類と生体作用について紹介し、電波が人体に与える影響について、確認されているものは刺激作用、熱作用であり、安全基準を設定(電波防護指針〈安全基準〉の策定、電波法に基づく規制)で、これまでの研究において、安全基準を下回るレベルの電波で健康に悪影響を与える証拠は出ていない。確認されていないが可能性を指摘する声があるものの、それには、統計的な考察やメカニズムの研究や各種研究成果を総合的に評価するリスク分析・評価が必要であり、すなわち、引き続き安全性を確保していくため、科学的な検証を積み重ねることが必要―とした。
 そして、電波防護指針の概要、電波防護のための指針(人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針)、電波防護に関する規制などを紹介。続いて、総務省における調査研究の実施状況を述べて「総務省では、疫学調査、動物実験、細胞実験といった調査研究を実施している。いずれも、現時点では、安全基準を超えない強さの電波により、健康に悪影響を及ぼす明確な証拠はないことを確認している。総務省としては、携帯電話の長期的な使用による影響など継続して安全性の検証を進め、その研究成果を広く提供していく方針である」と述べた。さらに医療機器への影響の防止に関する指針、「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」の検討、医療機関における電波利用の推進に関する検討などを説明した。そして「総務省は、電波の安全性に関する情報の提供で、資料の作成・配布やホームページによる情報の提供、説明会の開催、相談対応を行っている」と述べて、まとめとして「電波環境の保護で、総務省では『より安心して安全に電波を利用できる環境を確保』するため、電波に安全性に関する調査・研究を行い、電波の安全性に関する国際的な連携・協力を図りつつ、電波の安全性に関する指針の策定・制度化も含めて、国民のみなさまに電波の安全性に関する情報の提供を行っている」とした。
 次いで、「電波環境と健康リスク」と題して、国立保健医療科学院生活環境研究部上席主任研究官の牛山明氏から講演があった。
 牛山氏の講演の骨子は、「リスク」とは何か、電磁界(電波環境のリスク評価)〈及び国際がん研究機関の発がん性評価について〉、電波環境のリスクマネージメント、電波環境の健康リスクとリスクコミュニケーション―であった。電磁界のリスク評価では「電磁界による影響で、生体への作用のうち非熱作用による影響が予想されるなら、そのリスク評価を正しく行う必要がある。電磁界のリスク評価のプロセスでは、疫学研究、細胞研究、動物研究の3つに電気工学的評価を加えてリスク評価を行う。そして疫学研究の方法には断面研究(断面調査)とケースコントロール研究、コホート研究がある」と説明。ケースコントロール研究の例として、携帯電話利用者・未使用者を対象にしたインターフォン・スタディの結果を紹介。その結論では『全体として、神経膠腫または髄膜腫のどちらについても、携帯電話の使用に伴うリスク上昇は観察されなかった』。そして、まとめとして携帯電話の疫学研究では「現時点では多くの研究がリスクの上昇を認めていない。インターフォン研究の結果からも、そのリスクの一貫した上昇はみられなかった。長期的影響については引き続き研究が必要である」と結論づけた。続いて、国際がん研究機関の発がん性評価で詳細を説明した。最後に牛山氏はこうまとめた。「非常に強い電磁界(電波)による熱作用は電波防護指針によって規制されている。防護指針値以下の電磁界(電波)では、認められる健康影響は現在のところ存在しない。リスクコミュニケーションにより、電磁界のリスクと他のリスクの相対的大きさを理解することが重要である」と述べた。
 次いで、「医療機関において安心・安全に電波を利用するために」と題して、埼玉医科大学保健医療学部医用生体工学科教授の加納隆氏から講演があった。
 加納氏は、医療機関において使用される医療機器への携帯電話による影響の調査、改定された「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」、「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」を中心に講演した。医療機関における携帯電話利用状況では、前面利用不可が減って、一部利用可や全面利用可が増えている現状を紹介。そして、医療機関において適正に電波を利用するための課題を挙げながら、安心・安全に電波を利用するための3原則として「電波を利用している現状や発生しうるリスクとその対策の把握、電波を管理している体制の構築、電波を利用するための方策の検討と実施」を掲げた。
 中でも医療テレメータにスポットをあてて、医用電子機器標準化委員会作成の「小電力医用テレメータの運用規定 小電力医用テレメータの運用の手引き」を打ち出して、そこから無線チャネル管理者の重要性を指摘。医用テレメータを使用する病院は、必ず置いてもらうこと。その資質は、工学知識を持つ臨床工学技師が最適任である―とした。その後、病院内での無線LANの現状と概要も説明した。
 その後、会場の参加者からの質疑応答を受け付けて3氏が答えた。

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