行政

電波環境協議会シンポジウム開催 総務省/電波環境協議会

【2017年01月16日】

写真
▲ 高市早苗総務大臣
写真
▲ 渡辺克也電波部長

 「電波環境協議会シンポジウム~医療機関における適正な電波利用環境の構築を目指して~」(主催・総務省/電波環境協議会)がこのほど、東京都港区の明治記念館で開催された。本シンポジウムは、病院内での電波利用に関する幅広い関係者(医療、電波、通信、建築、行政)が大規模に集まる我が国初の会合。開会挨拶として、総務省の渡辺克也電波部長は「医療分野ではICT利活用の進展、医療機器の無線化に伴い電波利用の需要が急増し、関係者が適正な電波利用に関する知識を習得するための取組が求められている。平成28年4月に総務省と厚生労働省が連携して、『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』が電波環境協議会で取りまとめられ、各医療機関での活用が始まった。皆様の活動に生かしていただきたい」と話した。
 電波環境協議会(EMCC)の上芳夫会長は、「EMCCの成り立ちは昭和61年に郵政省に設置された不要電波問題懇談会にある。不要電波問題では電子機器が外からの電磁波により誤動作して壊れる現象があり、特に医療機器に誤動作を及ぼすことは大きな問題になっている。EMCCでは現在、企画、妨害波、イミュニティ、広報の4つの専門委員会が活動している。企画委員会では医療機関における電波利用推進部会を立ち上げて活動している。妨害波に関する調査研究ではLEDでどのような現象が起きているかなどについて調査研究している。イミュニティは電磁波を受けても誤動作せずにきちんと動作する電磁耐性を意味する。サージでは時間的に変化する妨害波に関することに取り組む。講演会では、WPT(無線電力伝送)など話題のテーマを扱う。妨害波を規制する国際機関『CISPR(国際無線障害特別委員会)』の総会の報告会を開催する。また、機関誌『EMCCレポート』を発行している。IoTや自動運転などICT技術は、機械工学、農業、医療など学際領域、異分野で使われ、新技術が出てきても、電気を使う限り必ずEMC問題が存在する。デジタル技術は周波数が高くなればなるほど、アナログ技術を理解する必要がある。新しい高度な技術者を育成し、また異分野の方々にも調和のとれた電磁環境を構築するために電波環境問題をきちんと理解していただくために啓蒙していく必要がある」と話した。
 東北メディカル・メガバンク機構の山本雅之機構長は「東北メディカルバンク計画の目標と進捗」と題する特別講演を行った。続いて、「医療機関における適正な電波利用環境の構築を目指して」をテーマにパネルディスカッションを行った。コーディネータの埼玉医科大学の加納隆教授は病院内の電波管理体制の整備について、①医療機関の各部門における電波管理担当者の確保②電波利用安全管理委員会(仮称)や窓口(電波管理責任者)の設置③医用電気機器、情報機器・各種設備・サービス調達時の連携体制の構築④電波環境管理に関するルール策定⑤電波管理に関するリテラシー向上⑥関係機関との役割分担と責任の明確化―を提案した。パネリストのフクダ電子テクニカルフェローの村木能也氏は「LED照明器具は電気用品安全法に規定されるが、放射エミッションの規定がなく、雑音電力の規定も300MHzまでで、400MHz帯を使用する医用テレメータは考慮されておらず、放射エミッションのノイズ規格も、医用テレメータにとっては限度値が大き過ぎる。より低い限度値と測定方法の公的規格制定が望まれる」と話した。NTTドコモ先進技術研究所の大西輝夫氏は「携帯電話端末の電波が及ぼす医療機器影響は、送信電力に大きく依存する。影響を低減するため、一般に屋内対策機器を導入することが有効である。また医療機関の要望、利用目的に合わせた詳細なエリア設計が必要である」と指摘した。  一般社団法人日本病院会の大道道大副会長は「手引きや報告書を理解できる知識が必要だが、施設規模に関係なく知識を得るためには一定の研修ルールが必要である。製造・販売業者には技術的な説明や他機種との影響を調べる義務がある。重要インフラ分野に対する専用周波数やチャンネル等の取決めが必要である」と強調した。
 閉会挨拶として、高市早苗総務大臣は「本日は『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』を実践的に活用するための課題や具体例について熱心な議論をしていただいた。電波利用に伴うトラブル増加が懸念されている。手引き策定のきっかけは私自身の体験にある。平成27年に母が先進的な大病院に移送された際、心拍数や呼吸の状況などテレメータのデータが母の病室からとても遠いナースステーションまで届かない状況にあり、母の心電図を幾日も夜通し睨み続けた経験があった。高度医療を提供する大病院でもそうした病室があるので、全都道府県の多くの医療機関で同様の状況があると思い、電波環境協議会の検討チームに医療機関における課題の把握や解決策を検討してもらい、手引きとして取りまとめていただいた。総務省と厚生労働省が連携しながら手引きの周知・啓発に努めており、総務省では、今年度各地で説明会を開催している。本日の議論の報告を受けて、さらに医療機関で安心・安全な電波利用の実践に向けて検討を深め、引き続きこの課題に取り組む」と語った。

行政一覧へ  トップページへ