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28年度第3回関東テレコム講演会を開催 「サイバーセキュリティ政策の最新動向」など講演 関東総通局

【2017年03月01日】

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▲ 髙崎一郎局長
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▲ 瀧浪壽太郎氏
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▲ 酒井雅之氏
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▲ 笠間貴弘氏

 総務省関東総合通信局(髙﨑一郎局長)は2月16日、一般社団法人テレコムサービス協会関東支部との共催により、「第3回関東テレコム講演会」を九段第3合同庁舎(東京都千代田区九段南1の2の1)で開催した。後援は関東情報通信協力会。
 主催者挨拶では、髙﨑局長が次のように述べた。
 「本年度の情報通信白書によると、IoT・ビッグデータ・AIなどの新たなICTは、我が国の今後の経済成長で重要な役割を果たし、ICT投資の進展によって、2020年度時点で実質GDPが約33兆円を押し上げる効果が含まれると言及している。このような状況のなか、総務省においては昨年9月に地域IoT実装推進タスクフォースを立ち上げ、実証実験を各地で行ってきたが、この成果を踏まえ、ロードマップの策定などの必要な支援措置を考えている。その一方で、データ流通による価値創造や課題解決には、サイバーセキュリティの確保が重要との指摘がある。NICTの発表によると、2016年の国内のネットワークに向けたサイバー攻撃関連の通信は前年比1・4倍、1281億件となり、過去最高を記録した。特にIoTをねらった攻撃が急増しており、2015年は全体の26%、2016年ははじめての半数を超える勢いだ。総務省としては、関係府省や団体、企業などと緊密に連携して、IoTサイバーセキュリティアクションプログラム2017を開始する。この中ではサイバーセキュリティタスクフォースの開催やIoT機器セキュリティ対策の実施、セキュリティ人材育成のスピードアップなど、5項目について重点的に取り組むとしている。本講演会は、今月1日から来月18日まで実施中のサイバーセキュリティ月間の関連行事であり、深刻化するサイバー攻撃への理解を深めていただきたい」と呼びかけた。
 同じく主催者挨拶で、テレコムサービス協会関東支部会長の瀧浪壽太郎氏は次のように述べた。
 「IoTの分野が広がれば広がるほど、『光』と 『影』の両面が出てくる。特に、『サイバーセキュリティ』という問題が時代の課題として大きく取り上げられており、テレコムサービス協会としても、会員企業のビジネスはもちろん、社会全体まで色々な意味でのご提言を申し上げたり、あるいは様々な実態を研究開発していきたいと考えている。進めるに当たっては、皆様はじめ色々な方々からのご支援・ご協力をいただき、会員のみなさま、あるいは社会の皆様に貢献していきたい。引き続きご支援をお願いしたい」と挨拶した。
 講演会では「サイバーセキュリティ政策の最新動向について」と題して、総務省 情報流通行政局 情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官の酒井雅之氏が講演した。
 酒井氏ははじめに、サイバーセキュリティ上の脅威と政府全体の取り組みについて次のように説明した。
 「政府機関による脅威件数は2014年から2015年にかけて2・5倍に増え、NICTが開発したNICTER(ニクター)が観測した危険性の高いパケットは1281億パケットを超える状況となっている。このような状況から、『国家レベルのサイバーセキュリティ体制による対策が必要』との認識が高まり、平成27年1月に、内閣に官房長官を筆頭とする『サイバーセキュリティ戦略本部』が設置された。また、個別の施策については内閣サイバーセキュリティセンター(NICT)を中心に、警察庁・総務省・外務省・経産省・防衛省の5省庁が中心となって取り組む。調整役の内閣セキュリティセンターを中心に、総務省がネットワーク防護の観点から攻撃の検知・予防、ウィルス感染対策などを行い、経産省は電力等のライフラインの制御、警察庁はサイバー犯罪の取り締まり、防衛省は自衛隊の能力の強化、外務省は外交的政策などに取り組む」
 次に、総務省における施策について次のように紹介した。
 「総務省では▽2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会も見据えた人材育成▽サイバーセキュリティに関する研究開発▽情報セキュリティ対策基盤の強化に向けた情報共有の推進▽サイバーセキュリティ分野における国際連携▽IoT時代におけるサイバーセキュリティ対策―の5つのプロジェクト等を実施している。このうち東京オリンピック・パラリンピックでは、実践的サイバー防御演習『CYDER(サイダー)』の人材育成プログラムを実施しており、すでに地方公共団体の方を中心に演習を継続しており、28年は1500人実施した。今後は中央省庁や重要インフラ事業者にも体験していただけるよう準備中だ。また、サイバー演習と攻撃型の演習と防御型の演習を組み合わせた対戦型演習を行いより実践的な演習を実施する準備も進めている。さらに、25歳以下の若手に対し、若手セキュリティ人材の育成にも取り組む。これら人材育成は来年度からNICTで組織する『ナショナルサイバートレーニングセンター』で取り組む予定だ」  
 最後に、IoTサイバーセキュリティアクションプログラム2017について説明した。
 「2020年のオリンピック開催を3年半後に控え、IoT時代に対応したサイバーセキュリティを確立すべく、▽サイバーセキュリティタスクフォースの開催▽IoT機器セキュリティ対策の実施▽セキュリティ人材育成のスピードアップ▽総務大臣表彰の創設▽国際連携の推進―の5本の柱を、関係府省や団体、企業と緊密な連携のもとで実施していく」とした。
 続いて、「サイバーセキュリティ研究の最前線~NICTERとそのスピンオフ技術~」と題して、国立研究開発法人 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 サイバーセキュリティ研究室の主任研究員 笠間貴弘氏が講演した。
 笠間氏は、サイバー攻撃の観測・分析・対策を行う『NICTER(ニクター)』について、「サイバー空間で発生する様々な情報セキュリティ上の脅威を迅速に観測・分析し、有効な対策を導出するための複合的なシステムで、サイバー攻撃やマルウェア感染の大局的な傾向をリアルタイムにとらえることができる」などと説明。 さらにスピンオフ技術である『DAEDALUS(ダイダロス)』を、「大規模ダークネット観測網を活用した対サイバー攻撃アラートシステムで、観測対象の組織について、組織内のマルウェアによる感染活動や、組織内から組織外への感染活動、組織外から受けているDoS攻撃のバックスキャッタなどをダークネットで観測すると、あらかじめ設定されたメールアドレスにXML形式でアラートを送信する」などと」と紹介し、『NICTER』と共に増加傾向にある無差別方攻撃対策に役立つとした。
 ほかに、「IoT時代に求められる次世代セキュリティ対策」と題して、NTTコミュニケーションズ情報セキュリティ部の小山覚氏が講演した。

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