行政

平成30年総務大臣年頭所感 総務大臣 野田 聖子

2018117日】

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野田聖子総務大臣

はじめに
新春のお慶びを申し上げます。
総務大臣に就任以来5カ月の間、地域の現場に足を運び、地域の実情を伺うとともに、住民・消費者の皆様の視点を大事にしながら、国民の皆様の生活に密接に関わる幅広い総務行政に、精一杯取り組んでまいりました。
我が国が成熟期に入り、今後ますます人口減少が進んでいくことが見込まれる中で、性別や世代を超えて、全ての人々が支え合う持続可能な社会を構築することは、極めて重要な課題です。
成熟した国家には、豊富な知恵や経験の蓄積があります。総務省にも、所管する幅広い行政分野において施策を進める中で、これまで積み重ねてきた、様々なデータや技術、知見の蓄積があります。こうした資源を活用しながら、人々が力を合わせて幸せに暮らしていける、「落ち着いて、やさしく、持続可能な社会」の実現に向けて、本年も全力で取り組んでまいります。
地域の再生を図る鍵は、「多様性(ダイバーシティ)」「包摂(インクルージョン)」「持続可能性(サステナビリティ)」であると考えています。総務省の施策においても、こうした視点を重視して取組を進めます。

防災・減災/復旧・復興
<東日本大震災等からの復興>
私は、大臣就任後初の視察先として福島県の双葉町、浪江町及び川俣町を訪問し、被災地の方々の声を真摯に伺ってまいりました。「全ての大臣が復興大臣であり、その中でも総務省が被災自治体の力強い仲間であらねばならない」との強い思いの下で、東日本大震災の復旧・復興に全力で取り組みます。
昨年は7月の「九州北部豪雨」により大規模な河川氾濫や土砂災害が発生しましたが、消防職団員の方々には地域住民のために昼夜を分かたず活動していただきました。甚大な被害が生じた福岡県や大分県には緊急消防援助隊が駆けつけ、人命救助や捜索活動に当たっていただきました。心から敬意を表し、感謝申し上げます。
総務省では、被災地の実情を伺いながら、復旧・復興に向け、地方交付税や地方債による財政措置を講じてまいりましたが、引き続き、被災地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切に対応してまいります。
昨年9月には、全国の地方公共団体に書簡を発出し、被災地方公共団体への応援職員の派遣を要請しました。また、平成30年度の職員派遣についても、昨年12月に協力を依頼しました。
こうした取組に加え、全ての地方公共団体の人的資源をフルに活用できる全国一元的な仕組みについて、本年度内の構築を目指し、準備を進めています。

<災害時等の情報伝達環境整備>
地域住民に災害情報が確実に伝達されるよう、防災行政無線の戸別受信機の普及、災害情報共有システムであるLアラートの利用促進、防災拠点等へのWi-Fi環境の整備やケーブルテレビネットワークの光化をはじめとする放送ネットワークの強靱化など、災害時の情報伝達体制の整備を進めます。
災害時における携帯電話などの途絶を想定し、医療・救護活動など災害応急活動に不可欠な非常用通信手段の活用を推進します。
あわせて、外国人やご高齢の方々にも災害情報が確実に伝達される環境を整備するため、2020年を目標に、「空港・駅などのターミナル施設などにおける災害情報の多言語化・視覚化」、「119番通報や救急搬送の多言語対応」などに取り組みます。
さらに、Jアラートの的確な運用を行うための研修及び訓練や、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を充実させ、国民保護体制の整備に万全を期してまいります。
ICTによる経済成長の実現
<世界最高水準のICT環境の整備>
ICTは、人・モノ・データなどのあらゆる資源を結びつけることにより、新たな付加価値を生み出す「切り札」です。
国民生活の隅々まで浸透し、あらゆる社会・経済活動に必要不可欠な基盤となっているICTの効用を最大限に引き出すため、サイバーセキュリティの確保、ICT基盤の一層の高度化、ICTの徹底的な利用促進を「三位一体」で取り組むことにより、「社会全体のICT化」を推進します。その羅針盤として、人口減少・高齢化が一層進む2030年代以降を展望しつつ、日本の「未来」をつくる新たな情報通信政策のビジョンを策定します。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、第五世代移動通信システムの導入、本年12月から開始される新4K8K衛星放送など高度な映像配信の推進、多言語音声翻訳システムの更なる研究開発、あらゆる車がネットワークに繋がる社会の実現など、世界最高水準のICT環境の整備に取り組みます。
利用者がスマートフォンの通信サービスによる利便性を享受するためには、多様なサービスが低廉な料金で提供されることが重要です。そのために、MVNOを含めた公正な競争が確保されるよう、環境整備に取り組みます。
我が国の基幹的な通信インフラである固定電話網についても、公正な競争環境や利用者利便を確保しつつ、IP網への円滑な移行のための取組を一層進めていきます。
また、ICT基盤の中核として幅広い分野への展開が期待される電波の有効利用を一層推進します。

<サイバーセキュリティの強化、ICTの安心・安全の確保>
本格的なIoT時代を迎える中、IoT機器を狙ったサイバー攻撃が急増しており、サイバーセキュリティの強化は急務となっています。総務省では、サイバーセキュリティ政策の推進体制を強化するとともに、「IoTセキュリティ総合対策」を着実に推進し、インターネット障害への対策やセキュリティ人材の育成を一層強化します。あわせて、違法・有害情報への対応、安心・安全に電波を利用できる環境の確保に引き続き取り組みます。

<生産性向上につながるIoT・ビッグデータ・AI・シェアリングエコノミー等の活用推進>
IoT、ビッグデータ、AI、シェアリングエコノミー等の新たなICTの利活用は、新たなビジネスモデルや生産性向上をもたらし、地域の課題解決や持続可能な経済成長のカギとなるものです。このため、「地域IoT実装推進ロードマップ」の着実な実現に向けて、新たなIoTサービスの創出や地域への実装を総合的に支援していきます。
AI(人工知能)については、社会実装と研究開発を両輪で進めます。多様な分野でAIの基盤技術の実装を促進させ、次世代AI技術の研究開発を加速させます。また、AIネットワーク化の健全な発展を実現するため、G7、G20、OECD等の国際的な議論にも積極的に貢献します。
ブロックチェーン技術や情報信託機能など、データの利活用を促す新たな技術や仕組みの導入を積極的に進めます。

<人材育成>
IoT時代に対応した人づくりも急務です。IoT時代のデータ流通を支える新たな通信ネットワーク基盤を運用・管理する人材の育成に取り組みます。また、児童生徒をはじめ、地域の人々が継続的・発展的にプログラミングなどを学べる「地域IoTクラブ」の全国展開や、地域での新たなサービス創出の基盤となるオープンデータの推進に向けた地方公共団体職員の人材育成などに取り組みます。

<医療・介護・健康、教育におけるICTによる課題解決>
医療・介護・健康分野においては、医療費の適正化、医師の偏在などが喫緊の課題となっていますが、ICTやデータの積極活用による解決に対する期待が年々高まってきています。こうした状況を踏まえ、厚生労働省をはじめとする関係府省と連携・協力し、地域の病院や診療所、介護施設等をネットワークでつなぐことによる患者情報等の共有・活用や、医療等データの利活用モデルの構築、8K等高精細映像技術の医療応用等に積極的に取り組みます。また、個人の健康に関する様々なデータの収集・解析に基づくきめ細かい健康指導等を通じ、健康増進につなげるなど、生活に身近な分野における新たなIoTサービスの創出を推進します。
教育分野においては、学校におけるデータの利活用による教育の質の向上、教職員の事務の効率化を図る「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」に取り組みます。

<海外展開・国際的な政策連携>
日本の強みを活かしたインフラ・システムの海外展開の強化を図るため、通信・放送・郵便インフラや電波システムなどに加え、統計や行政相談制度なども含め、より一層効果的な海外展開に取り組みます。
また、放送コンテンツの海外展開を通じて我が国の対外情報発信力を強化し、訪日観光客の増加や地域産品の販路拡大などを通じた地域活性化に貢献します。

<NHKの在り方>
公共放送としてのNHKの在り方について、受信料制度やガバナンスに関する国民・視聴者の声も伺いつつ、放送における民放との二元体制を踏まえ、引き続き検討を進めます。


<全ての人にやさしいユニバーサル社会の構築>
IoTやAI等の新たなイノベーションが起きつつある今こそ、年齢・障害の程度等を超えて誰もがその能力を発揮し豊かな生活を享受できる社会を実現していくことが重要です。こうした観点から、字幕放送・解説放送・手話放送の充実の他、高齢者や障害者による日常生活などでのIoTの活用を支援する施策等を通じて、誰もがICTの恩恵を享受できる情報バリアフリー社会を実現します。

 結びに、皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

平成30年元旦

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