信越総通局、地域ICT/IoT実装推進セミナーin長野|電波タイムズ

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信越総通局、地域ICT/IoT実装推進セミナーin長野

2018718日】

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「地域ICT/IoT実装推進セミナーin長野」の模様

 総務省信越総合通信局(清水智之局長)は、信越情報通信懇談会(会長・不破泰信州大学総合情報センター長・教授)との共催で、7月3日にJA長野県ビル(長野県長野市大字南長野北石堂町1177番地3)で、「自治体におけるシェアリングエコノミーの活用方策」をテーマとした「地域ICT/IoT実装推進セミナーin長野 シェアリングエコノミーが拓く自治体行政の新たな可能性」を開催した。セミナー終了後は、自治体及び信越情報通信懇談会会員を対象とした座談会を開催し、講師や参加者による課題や方策の意見交換を実施した。後援は長野県、長野市、全国商工会連合会。
 セミナーでは開会挨拶として清水局長が次のように述べた。「皆さんご承知の通り長野も含めて多くの地域で人口の現象やあるいは高齢化が進んでいる。今後地域の経済・暮らしはますます厳しくなっていくことが予想される。こうした中で政府ではIoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどの最新テクノロジーをあらゆる産業、社会生活の中に取り入れることによって社会課題の解決に結び付けていく『ソサエティ5・0』の実現に向けて取り組みを進めている。総務省でも地域によって特に自治体中心にIoTの活用をいただくそういう取り組みを支援しており、信越総合通信局でも昨年以降、多くの自治体を訪問してIoTの活用の実用性、あるいは各種支援策のお話しをさせていただいている。また、このセミナーの共催の信越情報通信懇談会はこの地域の情報通信の産官学連携組織で、当局ではこの懇談会と協力してこの地域のIoTの状況や課題を正確に把握して実態調査を行って、それを踏まえたセミナーの開催を進めている。このIoTの実態調査でわかったことを少しお話しすると、農林業ではセンサーやドローンを使って農産物の生産改良、あるいはイノシシやサルなどの鳥獣の農作物被害対策への利活用を考えている自治体があった。働き方の分野ではあんまり使われていない施設をサテライトオフィスとして再整備する、医療介護の分野では例えば水道の検針メーターを活用した高齢者見守りなど。ただ、こういう取り組みは管内の自治体の3割にとどまっている。今年はセミナーを含めて自治体と企業のマッチングを図るような取り組みなどを行いIoT実装を進めていきたいと思う。当局では『信越管内のICT/IoT事例集』をまとめており、これらも参考に新たな取り組みを進めていただきたい。今日はシェアリングエコノミーをテーマにセミナーを行う。今日の講演や座談会での意見交換を参考にして、この地域でICT/IoT実装が進むことを期待している」と述べた。
 開会挨拶として加藤久雄長野市長が次のように述べた。「今、大変なことは子供の数の減少が止まらない。この20年で2割強子供が減っている。もうひとつは高齢者増が止まらない。では局長からも話があった医療介護も含めて今後どういう対策をしていくのか。この中でこのICT/IoTを使うことで今の諸課題を解決していくこと、ここでICT/IoTが非常に大きな力になると考えている。大いに期待しているところだ。今、技術者不足も問題で長野市も人材育成、特にICTの将来を担う子供たちの育成、これは信州大学、長野高専などと連携しながら養成等を始めているところだ。その中で、総務省の今年度『地域におけるIoTの学び推進事業』実証事業に係る採択で、協議会名が長野ブートストラップ少年団運営協議会、代表団体名が長野市の株式会社アソビズムが全国19団体のひとつに採択されたことは大いに期待したいところだ。今後、産官学一体となって人材育成等を含めて対応していきたい。長野市がICT産業の大きな拠点になるよう誘致も起業もできるような態勢をしていきたい」と述べた。
 特別講演として「CHANCE to CHANGE by TECH」と題して小林史明総務省総務大臣政務官が講演した。「(前日行われたサッカーのワールドカップの試合と絡めて)ベルギーと戦った日本チームを見ても、日本はなかなか独自の戦い方をすればまだまだチャンスがあるのではないかと思えた瞬間だった。これまでご指摘のあったさまざまな課題が日本中で起こっているがそれを大きな変化と捉えるならば、変化、ゲームチェンジの瞬間には必ずチャンスがある。それをどうやって掴んでいくかというとテクノロジーで掴んでいく、そういうことをそこで総務省として新しい戦略を打ち出している」と述べた。「今日のセミナーを聞いて長野県にこそテクノロジーを活用すれば、のびしろがある、チャンスがある。そして民間と自治体が一緒になってがんばろうじゃないか。取り組んでみよう。それが今日のゴールではないかと思う」と述べた。
 「CHANCE to CHANGE」のCHANCEは「静かなる有事」、CHANGEは「変革の実行」だ。この「未来をつかむTECH戦略」は、「静かなる有事」をチャンスと捉え、アグレッシブなICT導入により「変革の実行」へ進めることだ。そして、変革実行の8カ条はMOVEとFASTのそれぞれの頭文字からムーンショット、オボチュニティ、バリュー、エコノミクス、フォーカス、アグレッシブ、スーパーダイバーシティ、トラストである。そして実現したい未来の姿をインクルーシブ、コネクティッド、トランスフォームと掲げた。
 続いて、「政府が進めるシェアリングエコノミー政策」と題して、松田昇剛総務省情報流通行政局地方情報化推進室長が施策説明を行った。同氏はまず「シェアリングエコノミーは、世界中で急速に進展しつつあり、人々のライフスタイルを変えるとともに、既存の産業と社会に影響を与えつつある」として、シェアリングエコノミーがもたらすインパクトで次の5点を挙げた。①資源・人材の偏在の改善・解消②個人の市場参加、柔軟な働き方、起業を含めたキャリア選択肢の多様化③新しい供給(体験・選択肢)の創出④新しい需要の創出⑤都市問題、地方創生への貢献―でその詳細を説明。続いて、シェアリングエコノミー推進の歩みで内閣官房IT総合戦略室の取り組みを時系列に述べて、内閣官房シェアリングエコノミー促進開設室が2017年1月に開設されて「シェアリングエコノミー伝道師」任命・派遣、「シェアリングエコノミー活用事例集」公表と続いた。さらに、平成30年度地域情報化アドバイザー、シェアリングエコノミー認証マーク、シェアリングシティ宣言といった流れを紹介した。総括して「シェアリングエコノミーは、超少子化高齢社会の我が国の諸課題の解決に資する可能性がある。課題が多様化・複雑化する地方において、ジレンマを解決する『地方創生の切り札』となることを期待する。国はシェアリングエコノミー活用を後押ししている。さらに、モデルガイドラインの策定やそれに基づく認証マーク付与の仕組み、法令相談を実施し、スタートアップのような事業者においてもビジネスしやすい環境づくりを推進する」と述べた。
 「信越地域のIoT実装の推進」と題して、菅俊恒総務省信越総合通信局情報通信部情報通信振興室長が施策説明を行った。信越地域のIoT実装の加速化に向けて、信越情報通信懇談会(地域IoT実装推進・コンテンツ委員会)と連携したIoT実装の推進を引き続き行うと説明した。例えば、信越情報通信懇談会ホームページに相談受付コーナーを設置し、自治体からの相談に対応―などを紹介して「信越地域における地域経済の活性化、地域課題解決による『地域経済と地方創生の好循環』を実現する」とした。
 基調講演は「シェアリングを活用したこれからの街づくり」と題して、一般社団法人シェアリングエコノミー協会、スペースマーケット社長室、NPO法人キッズバレイ副代表理事、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、総務省地域情報化アドバイザーの積田有平氏が行った。同氏はシェアリングエコノミーの可能性について①既にある資産を活用。プラットフォームも既にある②需要変動に強い③関係人口を構築できる④時間と場所に縛られない⑤市民みんなが主体的にまちづくりに関わることができる―とし「自分が持っているスキルや資産で街の課題解決に貢献できる」と話した。シェアリングエコノミーの地域普及の課題では「シェアリングエコノミーの特性を理解した推進役が必要だ。公助から共助は、完全にリプレースされない。シェアリングエコノミーは相互評価等により安全性が担保される一方で悪貨が駆逐される。それをパブリックで補完する仕組みが必要だ」と述べた。

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