行政

武田総務大臣インタビュー:電波有効活用へスピード感持って

20201225日】

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武田良太総務大臣

 武田良太総務大臣は、総務省テレコム記者会の加盟各社による共同インタビューに応じた。武田総務大臣に、携帯電話料金の低廉化や公正競争環境の確保、デジタル変革が進むなかでの電波の有効活用、4K8K衛星放送の進捗と普及、などの基本的な考え方と重点政策について聞いた。

 ――大臣就任以来、携帯電話料金の低廉化を強調されてきましたが、改めて基本的な考え方と具体的な方策をお聞かせください。
 「2018年の段階で政府がテーマとして掲げた時から、料金の改定が見られなかった。総務省として高止まりを続けている原因を考えていると、モバイル市場に公正な競争環境が生まれておらず、ほとんど寡占状態だったということがある。もう一点は、乗り換えの際の複雑な手続きや手数料など、自由な選択を阻害するシステムが多数見受けられた。このようなことが、携帯電話料金の高止まりに結びついていったことが分かったが、消費者保護や日本の人口よりも多い約1億8500万台の契約数があるなかで、生活インフラとしてあるべき姿は何であるかということを考えると、寡占状態の解消と料金の低廉化ができる健全な市場に生まれ変わらなければならないと考え、今日まで環境づくりに着手してきた。その甲斐もあり、様々な企業が新たなプランを提示し、料金の低廉化、手続きの簡素化、手数料の無料化など、良い方向性が芽生えてきている。今後ともしっかりと注視していきたい」
 ――NTTがドコモの完全子会社化を目的としたTOBに成功したと発表しましたが、電気通信市場を巡る環境変化に対する認識と、通信市場における公正競争確保に向けた取り組みをお聞かせください。
 「非常に大きなニュースとなり、他事業者から懸念の声が示されたのも事実だが、固定電話が圧倒的だった時代とは環境が違い、携帯電話市場での競争も進展してきた。また、プラットフォーマーの台頭によるグローバル競争の進展などの環境変化がある。その上、この間、総務省として累次の電気通信事業法の改正などにより、公正な競争環境の確保のための制度整備をやってきた。NTTがTOBを行うことについては、様々な角度から検討した結果、〝問題ない〟ということになったが、完全子会社化については、他の事業者から、〝NTTが巨大化しすぎる〟、〝先祖返り〟など公正な競争がもたらされない―という声もある。総務省としてもこのような声を無視することなく、有識者会議を立ち上げ、客観的に見つめる会合を、先般開いた。会合においては、皆さん違う立場からこの市場における公正競争確保の課題や対応について議論されたが、引き続き関係者からのヒアリングを重ねながら、公正競争確保の観点から有識者会議の場において必要な方策を年度内に取りまとめを行っていきたい」
 ――社会全体のデジタル変革の加速が見込まれることを踏まえ、総務省が先般まとめた周波数再編アクションプランおよび電波政策上の課題並びに電波有効利用に向けた取り組みについてお聞かせください。
 「デジタル変革が進んでいくなかで、電波需要は非常に大きくなってきている。周波数の再編、未利用周波数の開拓を推進していくことが今後の課題となっていく。11月13日に公表した『周波数再編アクションプラン』は、利用が低調な無線システムを他の周波数帯に早期に移行させるなど周波数の移行・再編の迅速な実施や、他の無線システムで使用している周波数帯において5Gを共用可能とする新たな方式を令和3年度に開始するなど、周波数の有効利用に向けた取り組みを、スピード感を持って行っているところだ。また、11月30日には『デジタル変革時代の電波政策懇談会』を設置したところで、この変革時代の電波政策上の課題について検討を行って参りたい。今後は国民、事業者、様々な角度から意見を聞きながら議論を進め、国民共有の財産である電波の更なる有効利用/活用に向けて積極的に取り組んでいきたい」
 ――ポスト・コロナを見据えた産業競争力の向上に資する技術戦略・研究開発推進の現状と今後の政策展開、とりわけ5G/Beyond 5G推進戦略のポイントについてお聞かせください。
 「ポスト・コロナを見据え、ICTの重要性は非常に高まってきている。〝5Gでは日本は国際競争力で負けてしまった〟という声も聞かれるが、日本の持てる技術を2030年に向かって5G/6Gへ持てる力を全てぶつけて巻き返し、この分野でも国際競争に打ち勝つ気概を持たなければならない。ここは民間の力だけで競争させようとした政府の姿勢を改め、官民一体となって戦略的にこの分野での国際競争に臨んでいくことが我々にとって必要ではないかと思う。また、研究開発においてもBeyond 5Gの実現に必要な要素技術をしっかりと早期に確立することが不可欠。このためこの5年間の取り組みが重要になってくると思う。情報通信研究機構(NICT)が向こう5年間の中長期の研究計画を策定している。最先端の研究をNICTで進めていきたいし、総務省としても令和3年度は〝スタートダッシュ〟の年として、『競争的資金プログラム』や『Beyond 5G推進コンソーシアム』、『Beyond 5G新経営戦略センター』を通じ、官民の叡智を結集して巻き返しを図り、産業競争力をつけていきたい」
 ――4K8K衛星放送の進捗と今後の普及に向けた課題解決策をお聞かせください。
 「まず〝受信機の普及〟が第一。出荷台数は、10月末の時点でおよそ627万台とされていて、着実に進んでいるという実感がある。今からなお進めていかなければならないが、更なる普及は受信環境整備と、コンテンツの充実を併せて進めていかなければならない。受信環境整備に関しては、『衛星放送用受信環境整備事業』、『ケーブルテレビネットワークの光化促進事業』を実施するほか、周知広報に積極的に取り組んでいく。また現在、『衛星放送の未来像に関するワーキンググループ』により、4K/8K衛星放送の受信環境整備や4Kコンテンツの充実について議論が進められている。このワーキンググループの議論を踏まえながら、4K/8K衛星放送の推進に向けた取り組みを一層強化していきたい」
 ――過疎地において、地方自治体の支所や地域金融機関の支店が閉鎖されるなか、郵便局の役割はますます高まっていると思います。デジタル時代を迎えて、ビジネスが変容していくなか、郵便局は地域でどのような役割を果たしたらよいのか。郵便局の将来像についてお考えをお聞かせください。
 「遍く全国2万4000カ所におよぶネットワークは、特に過疎地においてユニバーサルサービスという面から堅持していく必要があると思う。現在、地方自治体の財政運営が厳しいなかで、過疎地における支所を閉鎖する際、その代行業務を請け負ったり、金融機関の口座書き換えの代行業務を郵便局が請け負うなど、点在する2万4000のネットワークを有効活用することが新しいビジネスに繋がるのではないか。また、郵便局が持つ虎の子の財産である〝データ〟を先進的に使っていくべきだ。今のままでは〝宝の持ち腐れ〟のようなもので、物からデータに価値が移っていく時代に、データをしっかり保有している郵便局は、相当な潜在力を発揮できるものとなると思う。データを基準にしてどういったことができるかということを真剣に考え、トライしていくことが重要。新たなる社会構造において、郵便局のデータをどう有効利用していくか。それを新たなビジネスモデルとして考えていくことが郵便局にとって必要なだけでなく、地域活性化や社会福祉の充実、経済、郵便局の発展に繋がる。新たなビジネスモデルを求め積極的に取り組んでいく姿勢が重要だと考えている」
 ――通信・放送・郵便システムの海外展開の注目ポイントと成果についてお聞かせください。
 「今日まで、クオリティの高いICTインフラシステムの海外展開には積極的に取り組んできたが、なお真剣に取り組んでいかなければならないと思っている。光海底ケーブルをはじめとした通信基盤整備や医療・農業におけるICTの利用について一定の成果を出してきた。4月に『総務省海外展開行動計画2020』を策定した。この計画において、5Gシステムと光海底ケーブル、データセンター、医療・農業ICT、郵便システムといった分野を選定し、今後3年間重点的に推進することとしている。何れにしても官民の連携が不可欠で、枠組みとして『デジタル海外展開プラットフォーム』を今年度内に設立するよう準備している。また、政府全体で2021年以降5年間のインフラ海外展開の方向性を示した『インフラシステム海外展開戦略2025』を策定した。政府全体の戦略とも整合性を取りながら、ICTインフラシステムの海外展開を推進し、国際競争力の強化に貢献していきたい」

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