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世界初8K試験放送を支える最新機器 NHK

【2016年08月19日】

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       △ 8Kモニター

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      △ 送出機

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      △ 変調システム

 NHKは8月1日、4K/8Kの試験放送を開始した。特に8Kについては、世界初の試みであり、世界から高い注目を集めている。放送開始に先立ち、プレス向けにスーパーハイビジョン/8Kのコンテンツ上映会やマスター・送出設備の見学会を実施した。今回は設備を中心にレポートする。

 今回初披露された8K用のTOC(TechnicalOperationCenter)。民放ではマスタールームと呼ばれることが多いが、NHKではTOCと呼んでいる。元々はラックなどをしまっていた場所に作ったというTOCは予想よりもコンパクトだったが、デジタル化が進み設備も集約されていることや、まだ試験放送用の設備であることから、このようにコンパクトにまとまっているようだ。まず目を引くのが中央奥に鎮座する85型8Kモニター(シャープ製)だ。向かって左がSHV―1、右がSHV―2と呼ばれている。試験放送では8Kは1チャンネル、4Kでは2チャンネルを放送するが、4K放送時には2台のモニターは別々のチャンネルを映し、モニタリングする。8K放送時は基本的には左のSHV―1を使用してモニタリングする。
 TOCの向かって左側に位置するのが、8Kの録再生機でここから8Kの番組が送出される。録再生機はラックに収納されており、上部には英Bel製のMADI―SWITCHおよびMADIモニター「BM―A2―64MADI」が設置されている。番組の送出機は12台あり、2台で1つの番組(本式/予備)を受け持つ形になる。送出機はタリー表示器(芙蓉ビデオエイジェンシー製)、朋栄製の8K対応色域/ダイナミックレンジコンバータ「LMCC―8000」およびパナソニック製スーパーハイビジョンレコーダー「AJ―ZS0500」の3台で構成されている模様。「LMCC―8000」は、朋栄とNHKが共同で開発した製品で、8K―DG信号(3G―SDI×8)と8K―FR信号(3G―SDI×16)の入力が可能。8K―DG信号(3G―SDI×8)を2系統または8K―FR信号(3G―SDI×16)を1系統出力することができる。また、1RUの筐体でSDRからHDRへのダイナミックレンジ変換の他、ITU―RBT.709からITU―RBT.2020への色域変換ができる。変換可能な色域とダイナミックレンジ変換マトリクスを全 種類32(SDR入力、HDR入力、SDR出力、HDR出力、それぞれ8系統分)を登録可能。「AJ―ZS0500」は、NAB2016なども出展していた製品で、ExpressP2カード4枚を搭載できる。1枚のカードの容量は256 GB、4枚で1時間番組を収録できる(8Kの場合)。
 手前にあるのが編成用の情報管理端末。番組を登録するもので、編成担当者が登録すると、自動的に番組が送出される。向かって右側にあるのが字幕を登録する装置。いわゆる「スーパー」を、編成担当者が文字で入力することにより、スーパーを挿入するもの。
 裏側にも様々な機器が設置されていたが、この中には4K用の送出サーバーも含まれている。4K送出サーバーは4式あり、1式で4K番組を20時間分収納できる。4K送出サーバーも本式/予備の構成になっているため、実際には2系統で、4Kの試験放送(2チャンネル)に対応している。

 次に向かったのは変調室。番組を衛星に飛ばすために変調させる必要がある。こちらもラックタイプで、NEC製の変調器や復調器の他、NEC製光伝送システム「BX9000」などが設置されている。TOCと変調室は光ファイバで結ばれており、光を電気に戻し変調を行う。現行のBSデジタル放送では符号化方式に8PSKを採用しており、伝送容量は約52Mbps。8K/4Kでは、符号化方式にAP16SKを採用し、伝送容量は約100Mbpsとなっている。現行放送に比べ、8K放送ではデータ量は大幅に増加するが、符号化技術の進歩により高効率に圧縮できるため、100Mbpsで8K映像を衛星に送ることができるという。
 最後に向かったのが、アンテナおよびシェルターと呼ばれるアンテナの隣にある送信機室。アンテナにはNHKのロゴマークが描かれているが、実際の所有者は放送衛星システム(B―SAT)だ。B―SATはBS放送に不可欠な放送衛星や関連設備を調達・運用を行う基幹放送局提供事業者。3機の放送衛星(BSAT―3a/3b/3c)を持つ。試験放送ではBSAT―3bを用いて行うが、BSAT―3bに電波を送るのがこのアンテナとなる。元々はアナログ放送の実験などに使用するため、1993年に製作されたもので、アナログ終了後、使用されていなかったが、8K/4K試験放送向けにB―SATが買い取ったもの。直径は7メートル。アンテナ自体は20年以上経過しているが、電気系や機械系は全て交換している。放送衛星では17GHz帯を用いて送るため、送信機室ではNEC製のアップコンバーターや光伝送システム「BX9000」などの他、NEC製HPA(HighPowerAmplifier:大電力増幅器)システムも設置されていた。

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