29年度の事業収入は7118億円 NHK
【2017年01月20日】
4K・8K番組制作をさらに強化
NHK経営計画の最終年度となる29年度は、公共メディアへの進化を見据えて、経営計画の達成に向け事業運営を着実に実施する。事業計画としては5つの重点事項(①判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実、②日本を世界に、積極的に発信、③新たな可能性を開く放送、サービスを創造、④受信料の公平負担の徹底に向け、最大限努力、⑤創造と効率を追求する、最適な組織に改革)に引き続き注力する。収支予算については、主財源である受信料の公平負担を徹底に向け、受信料制度の理解促進と営業改革を一層推進し、支払い率80%の達成に努める。またNHKグループの経営改革を施行し、コンプライアンスの徹底と効率的な経営を推進する。このように、29年度予算では、受信料の増収を確保するとともに、業務全般の見直しを徹底的に行い経費削減を強化。削減により生み出された原資は、事業計画の重点事項に配分し、メディア環境の変化に柔軟に対応できる将来を見据えた予算・事業計画にするとしている。これにより、事業収入は7118億円を見込んだ。受信料の増収等で28年度に対しては101億円の増収を見込んでいる。受信料は契約件数の増加等により134億円の増収の6892億円を見込んでいる。その他の事業収入では、技術協力収入は前年比で増加したものの、選挙放送関係交付金や受け取り利息、特別収入などが減少したため、前年度比32億円減の225億円を見込んでいる。
一方、事業支出全体では、28年度に対して83億円増加の7020億円と7000億円を突破する見込み。事業収入の増収分については、国内放送や国際放送の充実に加え、4K・8K番組制作の強化やピョンチャンオリンピック・パラリンピック放送などに充当する。国内放送費は前年度比31億円増加の3242億円を見込み、国際放送費はソーシャルメディアを活用した情報発信のさらなる強化などで同7億円増加の256億円としている。その一方で、給与は制度改革など一層抑制に努め同9億円減の1164億円となる見込み。退職手当・厚生費は、同40億円増の658億円を見込んでいる。要員については、東京オリンピック・パラリンピックの放送対応のため、一時的に増員を計画しており、前年度比30名増の1万303人を見込んでいる。
また、建設費は70億円増(前年度比8・5%増)の898億円となった。実用化に向けたスーパーハイビジョン設備の整備や、緊急報道・番組の充実を実施するとともに、安定的な放送サービスの継続のため、地域放送会館整備や放送網設備の整備の他、情報セキュリティの強化を行う。主な内訳は、スーパーハイビジョン(4K・8K)設備の整備などに104・2億円、地域放送会館の整備に215・3億円、情報セキュリティの強化に16・1億円、放送網設備の整備に170・9億円、番組設備等の整備に382・0億円、研究設備の整備に9・4億円となっている。
放送センターの建て替えについては、基本計画に基づき着実に推進するとしている。また、また、長期的な財政の安定化を図るため積立(建設積立資産)を行ってきたが、28年度末で放送センターの建物工事費相当分が確保できる見込となったため、29年度以降は積立は行わない。29年度末の建設積立資産の残高は1490億円となる見込み。財政安定のための繰越金は125億円を取り崩し、建設費898億円の一部に使用する。事業収支差金の98億円は、財政安定のための繰越金に繰り入れる。29年度末の財政安定のための繰越金の残高は700億円の見込み。
この他、NHKが放送した番組等をパソコンやスマートフォン、タブレット端末等にインターネットを通じて、一般の利用者に有料で配信するNHKオンデマンド事業とビデオオンデマンド(VOD)事業者へ番組等を有料で提供する事業については、事業収入が22億円、事業支出も22億円となっているが、事業収支差金は0・1億円となっている。この0・1億円は、一般勘定からの借入金の返還に充てる。
平成29年度の収支予算と事業計画は、この後、総務大臣の意見とともに内閣を経て国会に提出される。
> 放送コンテンツ一覧へ > トップページへ