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産学連携の在り方や課題で活発な議論 映像情報メディア学会 冬季大会

【2017年01月23日】

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▲ デモ会場
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▲ 講演の模様
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▲ 「EVS Xeebra」

 一般社団法人映像情報メディア学会(ITE、高畑文雄会長)は、東京理科大学・森戸記念館(東京都新宿区)において、「2016年冬季大会」を開催した。今回は18部門約105件の講演の他、シンポジウム2件、チュートリアル、特集テーマセッションなどが行われ、100名以上が参加し、活発な議論が行われていた。この中からいくつかの講演やデモをピックアップしてレポートする。

 初日のシンポジウムでは「産学連携は大丈夫か?」が開催された。日本のモノづくり力強化に向けて、日本版バイドール法(1999年)や大学の独立行政法人化(2003年)に象徴されるように、これまで産学連携をはじめとするさまざまな施策が講じられてきた。これらにより、研究→開発→事業化を段階的に踏む「リニアモデル」の終焉や「オープンイノベーション」、「大学発ベンチャー」などが叫ばれるようになり、産学連携や地域連携の流れが生まれ、根付きつつあるように見える。しかし、大学の知を起点とする産業力強化の成功事例は必ずしも多くなく、一方でこのままでいいのかという疑問も払しょくし切れているとは言いがたい。
 同シンポジウムでは、自らの血と汗を流して産学連携を率いてこられた、どちらかといえば、インベーション実践家を招き、「産学連携の成功要因並びに課題」を実践論的視点から議論した。パナソニック 技術渉外部の福本幸弘は、「パナソニックにおける産学連携の課題と大学への期待」と題し講演した。福本氏はパナソニックの産学連携の課題として、まずこれまでの反省としてパナソニック側が本気になっていたか?を挙げた。中央研究所時代の感性が残っていることや、競争/非競争の見極めが慎重すぎるという。また、お世話になった先生や不満を持つ先生に対して厳しい要求をしないなど、ビジネスとしての本気度が足りない、ぬるま湯の連携になっていなかったかを指摘。ただし、未知なる未来への対応にはオープンイノベーションは不可欠であり、今後は大学が中核となり、企業、自治体、市民とともに技術スペックを作るなど、新たな取り組みが必要だと述べた。
 高知工科大学 客員教授の倉重光宏氏は「産学連携による地域イノベーション?国プロによるグリーン部材クラスタ創成?」について講演した。倉重氏は、国家プロジェクトを活用して、地域(山口県)が強い産業用基礎素材分野の産業クラスタ形成を目指して、グリーン部材(環境素材)の研究開発を産学官連携により進めた。講演では、同学会員にも関係の深い、太陽電池用シリコンの減量やリサイクルに有効な新技術、LEDやパワー半導体の高性能化に有効な新基板技術、および晶表示装置や次世代電気自動車の小型化や高性能化などに有効なナノ粒子材料技術を紹介しながら、産学連携による産業クラスタの果たす役割の重要性を実践論的に紹介した。
 技術ジャーナリストの西村吉雄氏は「産学連携がイノベーション創出に果たす役割と課題」と題し、まずイノベーションについて、シュムペーターの原義に戻って再確認した。イノベーションは一般的に“技術革新”と理解されているが、これは間違いであると指摘。オーストリア・ハンガリー帝国(現チェコ)の経済学者であるシュムペーターは、「経済システムが自ら時間的に変化させる力」はどのように生まれるのかについて思索し、この力が後にイノベーションと呼ばれるようになったという。「経済システムの時間的変化」の最たるものは経済成長で、「経済システムが自ら時間的に変化させる力」すなわちイノベーションは、経済を成長させる原動力であると強調した。
 同学会において新たに発足したスポーツ情報処理時限研究会は2016年次大会において「映像情報を用いた物体追跡技術の最前線とスポーツ科学への応用動向」をテーマに会誌と連動したシンポジウム企画を開催し、好評を博した。冬季大会では「スポーツ技能向上に向けた技術開発動向」をテーマに、サッカーや野球、卓球、水泳への実際の応用例やスポーツ解析に有用となる超高精細動画像など、さまざまな観点からのシンポジウム講演を行った。同シンポジウムに先立ち、関連する技術の展示を2日目に開催した。特にフォトロンはスポーツ開設グラフィックスシステム「Viz Libero」や「EVS Xeebra」などを出展した。「Viz Libero」は、リアリティあふれる3Dリプレイと先進的なバーチャルグラフィックスを組み合わせた映像を創り出すシステム。映像にバーチャル広告を埋め込むことや、バナー広告をリアルなグランド上に配置・表示することができる。「EVS Xeebra」は、マルチアングルのビデオ審判用プレビューシステムで、競技映像をすぐにプレビューし、ジャッジの補足や各シーンを振り返ることができる。この他、NHKが「ぐるっとビジョン 事例集」、NTTが「VRスポーツトレーニングシステム」、NTTアイティが「スポーツスキル獲得支援ツール:viaPlatz」を展示した。
 なお、2017年年次大会は、2017年8月30日(水)?9月1日(金)に、東京理科大学 葛飾キャンパス(東京都葛飾区新宿6―3―1)で開催される。

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