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同時配信には数多くの課題 民放連・井上会長会見

【2017年02月03日】

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「多事多雑な一年になるのでは」と述べる井上弘会長

 一般社団法人 日本民間放送連盟(民放連)は1月26日、今年初の会長定例会見を都内で開いた。登壇した井上弘会長(TBSテレビ名誉会長)は今年の民放放送界について、「放送の世界では技術進歩に伴い、4K・8K放送やインターネット活用など、さまざまな問題が山積している。民放としてのスタンスを考える上で多事多難な一年になるのではないか」との所感を述べた。
 続いて、インターネットによるテレビ番組の同時配信については「民放の場合、制度的には今すぐにでも実施できるが、権利処理や配信コスト、インフラ構築など、数多くの課題がある。民放は広告収入によって成り立っており、マネタイズできるかどうかが重要。あわてて結論を出すのではなく、慎重な議論が必要だ」との考えを示した。また、同時配信に必要なインフラの構築、コストの問題、権利処理等の課題を検討する、総務省・情報通信審議会の「放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会」に参加する意向を示し「民放連としても出席し、民放事業者の考え方をきちんと述べていきたい」とした。さらに、ローカル局への影響について、どのように考えるか、との記者からの質問には「ローカル局の意見を聞きながら、この1年をかけて、みんなの知恵を集めて考えていくことに価値がある。これから検討していきたい」と答えた。
 先頃、BS実用放送の業務認定が行われた4K・8K放送については「NHK、民放キー局系のBS5社、WOWOWなど、参入する放送局が正式に決まった。開局に向けた準備は参入する各社が鋭意進めることになるが、どれくらいのコンテンツを用意できるのか。新しいメディアを立ち上げることは大変なこと」と話し、「4K実用放送が成功するためには、放送を受信できるテレビが発売され、視聴者が放送を楽しむ環境が整うことが不可欠だ。総務省および受信機メーカーには、受信機の普及促進にしっかりと取り組んでいただきたい」と希望した。民放局が4K放送に取り組むにあたっては、設備投資をどのように回収するかが課題の一つとして挙げられている。井上会長は「投資をすぐに回収することは難しいと思う。そのためにも、受信機メーカーの普及への意欲が重要。普及の進捗状況によって各局の経営計画も変わってくるだろう。広告費についても、受信機の普及によって違ってくるのでは」との考えを示した。
 続いて、1月25日に就任したNHK上田良一会長については「平成25年から常勤の経営委員会委員としてNHKの経営に携わってこられており、業務内容も深く理解されていると聞いている。NHK会長は日本の公共放送の舵取りを担う重い役割。これまでの経験を活かし、指導力を発揮されると思う」と期待した。またNHKが推進しているインターネットによるテレビ番組の同時配信については「NHKは受信料を財源としており、それに伴う規律もある。また、現在でも多くのチャンネルを持っており、それにインターネットが加わるため、さらに巨大化して民業を圧迫する危惧もある。さらにNHKが行うインターネット配信の場合は、放送と同様、あまねく全国に届けるのか、それとも配信しない地域があるのかなど、独自の問題もある。今後の放送法改正の動きなども見ながら、慎重に検討したい。一方、民放については、マネタイズできないことには投資できないので、まだ議論の前段階、というところではないか」とコメントし、今後のNHKとの協力の可能性については「お互いに意見交換をして二元体制でうまくやれれば検討したい」と述べた。

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