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クリエイティブテクノロジーラボ 日本テレビ

【2017年03月22日】

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▲ 「ERICA(エリカ)」
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▲ 竿カメラのカメラジンバル
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▲ 超小型4Kカメラ

 日本テレビ放送網は、3月7日(火)・8日(水)に、汐留・日本テレビタワー2F 日テレホールC・ホワイエ・ロビーにおいて“CREATIVE TECHNOLOGY LAB”(クリエイティブテクノロジーラボ)を開催した。
 日本テレビは昨年まで、「デジテク」の名称で技術展示会を開催してきた。今年は名称も含めて内容を一新、規模も拡大して “CREATIVE TECHNOLOGY LAB”として開催した。日本テレビでは、VR/AR、AI/robotなど、エンターテインメントやメディアビジネスの未来を変えうるテクノロジーと、その活用方法について考える「学びと体験のイベント」としている。日本テレビグループ各社の社員やクリエイターはもとより、メディアやコンテンツの未来を一緒作り上げる関連業界の関係者が参加することで、このイベントをきっかけとした「新たなチャレンジ」を生み出して行くことを目指すことを目的としている。多数の関係者がおとずれ、様々な体験展示に参加したり、質問や議論を行っていた。
 クリエイティブテクノロジーラボは、セッションと体験型展示で構成されている。セッションは、新たな体験型メディア「VR」、クリエイティブや働き方改革に活用できる「ロボット/AI」、映像メディアに進化を与える「4K/HDR」をテーマに、その活用方法について学ぶことができる。 展示もVR/AR、ロボット/人工知能、4K/HDR、制作・放送・配信技術の4テーマに分けて実施した。
 多くの来場者の注目を集めていたのは、大阪大学と共同で展示したアンドロイド「ERICA(エリカ)」。「ERICA(エリカ)」は大阪大学の石黒浩教授、京都大学の河原達也教授らのグループで開発したアンドロイドで、人間とより自然な対話が可能になるように様々な専門家たちによる最新技術が取り入れられている。顔は美人顔の特徴を参考にコンピュータで合成され、話かけられた声の認識、発声する音声の合成、体の動きを作り出す技術などが用いられている。今回は、ERICAによるニュース原稿読みや、動きなどをディレクターが指示するためのプログラムについて紹介した。ERICAには各種センサが搭載されており、人が近づくと、そちらを見る動作をする。また、声もイメージに合う声優の音声を20時間以上収録し、録音した声を音素に分解し、再合成しただけあってあまり不自然さは感じなかった。
 制作・放送・配信技術で、最も注目されたのが、超小型HDカメラ。日本テレビは、野球の球審マスクに小型カメラを装着し、球審目線 の映像を放送する試みを2011年に開始した。迫力あるその映像は視聴者から高い評価を受けたが、カメラおよび関連機材が大きく重かったため、球審達の評判はかならずしも良いものではなかった。このため、日本テレビと日テレ・テクニカル・リソーシズ(NiTRO)は、おいぬビジョンと超小型カメラを開発した。一般的なウェアラブルカメラより小型・軽量のため、設置場所に制限が少ない。また、放送用カメラと同じインターレス出力のため、映像に違和感がなくなめらかな動きを実現。これにより、プロ野球・ラグビー・レスリング等の審判に取り付けることで、アスリートに極限まで接近した、今までにない臨場感と迫力ある映像をスポーツ中継にもたらしている。
 この超小型HDカメラの応用例として、「竿カメラ」を実機展示した。高いところからの映像というと、ドローンが思い浮かぶが、技術もしくは規制、その他様々な理由でドローンを飛ばすことができない場所やケースも多い。また、ポールの先にカメラを設置し、持ち上げて撮影する手法も用いられているが、長く(高く)すると、どうしても揺れてしまい、カメラが重いとさらに揺れは大きくなる。「竿カメラ」でもポールの先にカメラを据え付けるのは従来と同様だが、カメラはジンバルに設置され、ジンバルとポールの間にはジョイントがあり、ここで揺れを吸収する。このため、ポールが多少揺れても、ほとんど揺れずに撮影できる。リモート操作にも対応しており、ズームやパンなども可能なため、生中継にも使用できる。すでに、東日本大震災の特番など、実際の番組でも使用されている。
 この他、開発中の超小型4Kカメラも実機展示した。映像信号出力は3860×2160@30p。出力方式は3GSDI×4、12GSDI×1、HDMIを予定しているが、全てを搭載するのではなく、例えばユーザーの要望する出力方式に合わせて制作する形も検討している。サイズは高さ35㍉、幅35㍉、奥行き16・8㍉と従来と同じ大きさ。レンズも含めて、現在最終的な調整を行っており、今春~夏に完成する予定。
 4K/HDRでは、日テレグループ初の4K/HDR伴組「LPGAツアー2016・最終戦」における制作経験を踏まえ、ゴルフ中継ならではのHDR映像制作を実演した。ゴルフのブースを設け、来場者が実際にボールを打つところを、カメラで撮影し、それをモニターにスロー再生するもの。モニターは4台用意されており、全て4K対応だが、SDR、HDR(1000nits/1200nits/4000nits)となっており、見比べることができた。HDRではまだカラーバーが決まっていないため、SDRのカラーバーをベースに調整しているとのこと。
 この他、4K/HDRでのCG制作への取り組みも紹介した。3DCGを4Kでレンダリングすると、従来のHD制作と比較して約8倍のリソース(時間・データ量)を消費してしまうという。HDR・広色域を生かしたCGを制作する場合、「映像の信号値」と「画面上の明るさ・色」の対応関係が従来のSDRとは異なる。このため、新たなワークフローで試作を行ったが、特にカラー設定に時間を要したという。今回は作業用のモニターがPQ対応のため、PQで作業を進め、完成した作品をPQおよびHLGモニターで上映した。
 HDRおよび広色域は優れた映像表現手法だが、制作についてはまだ発展途上にある。しかし、様々な取り組みを繰り返すことで、じょじょにポイント・勘所を掴みつつあるようだ。
 主なセッションとしては、7日には「HDRが生み出す映像制作の未来」が実施された。日テレ、AX―ON、NiTRoの日テレグループ3社合同で4K HDR制作に挑戦した「LPGAツアー リコーカップ」の研究チームがHDRの基礎とその制作手法を語った。また、同じく7日にはERICA(エリカ)」は大阪大学の石黒浩教授も登場し、「ロボット・AIは、テレビと生活者の関係をどう変えるのか」をテーマに講演した。8日はAIおよびVRについてのセッションが実施された。いずれも多数が聴講し、熱心に聞き入っていた。

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