デジタル家電

最新の技術開発・ソリューションなど披露 三菱電機

【2016年12月05日】

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▲ 「海水アンテナ『シーエアリアル』のデモ」
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  ▲ レーダーによる津波監視支援技術の
    シミュレーション
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   ▲ 参考展示のランドリーカプセル

 三菱電機は11月25日、神奈川県大船市の同社情報技術総合研究所・デザイン研究所で視察会を開催し、研究開発拠点である両研究所の取り組みや開発成果を集まったマスコミ関係者らに披露した。
 情報技術総合研究所は、情報・通信技術開発の主要拠点として、情報、マルチメディア、光電波・通信技術分野の研究開発と共に、ITを活用したソリューションの提案型開発を行っている。また、デザイン研究所では、同社の宇宙関連分野からインフラ、産業、家庭電器まで多彩な製品群のデザイン開発を担当し、「三菱電機らしい未来のかたち」にふさわしいデザイン開発に取り組んでいる。
 視察会冒頭、同社広報部の船尾英司部長が挨拶し、「両研究所の取り組みや研究成果をご覧いただくことで、弊社への理解を更に深めていただければ」と述べ、最先端技術により『活力とゆとりのある社会の実現』に取り組む三菱電機への理解を深めてほしいとした。 また、情報技術総合研究所の中川路哲男所長とデザイン研究所の杉浦博明所長がそれぞれ研究所について説明したほか、暗号アルゴリズム「MISTY」や携帯電話向けの暗号「KASUMI」の開発を担当した、同社開発本部役員技監の松井充氏が「クラウド/IoT時代のセキュリティー」について講演した。 
 展示コーナー・成果展示では、情報技術総合研究所から「海水アンテナ『シーエアリアル』」や「車内音声通話の『雑音除去技術』」、「レーダーによる津波監視支援技術」など20件が展示された。デザイン研究所からは「女心に響かせる~iNSTICK」など10件のテーマが展示された。
 内容は次の通り。  
 「海水アンテナ『シーエアリアル』」は、導電性のある海水を空中に噴水のように噴出して、その水柱をアンテナとして利用することで電波を送受信する技術。アンテナ送受信部だけに高周波電流を効率よく流す給電構造(絶縁ノズル)になっているので、海水中には電流が流れない。導電性の低い海水をアンテナ放射部として利用するので、アンテナに必要十分な水柱の太さをシミュレーションにより割り出し、実用レベルのアンテナ効率2・70%を実現した。ポンプと給電構造のみでアンテナを容易に構成できるため、海岸や海上など海水があればどこにでも大型のアンテナを設置できる。コンパクトな本体で船による移動も可能だ。
 デモ展示では『シーエアリアル』を使って地上デジタルテレビ放送を受信して、ノイズのない状態でテレビに映し出した。開発担当者は「実用化はまだ決まっていないが、災害時に海水を立ち上げるだけで家庭用アンテナの性能をもつ」と説明。災害時に有効な技術として注目を集めた。
 「車内音声通話の『雑音除去技術』」は、カーナビゲーションなどに搭載されているハンズフリー通話の雑音による音声通話品質の劣化を大幅に改善する雑音除去技術で、従来困難であったウインカーやワイパーの作動音などの非定常雑音を含む雑音を96%取り除き、聞き取りやすい音声通話を実現する。人の声帯の振動や口腔の形状で決まる音声の特徴を活用して音声モデルを構築し、その音声モデルをもとに、様々な雑音が混在する音から目的の音声信号のみを抽出するための機械学習(ニューラルネットワーク)の技術を確立した。この技術により、大量の実データで学習させ、実際に車を運転する際に含まれる非定常な雑音が混じった音から、雑音の96%を除去する。
 デモでは、自動車走行騒音やワイパー音が混じった車内通話音声のサンプルから、雑音除去技術によって通話音声だけにしていくところを音声とスペクトログラムで説明した。開発担当者は「車内だけでなく音声認識のフロントエンド処理やイベント会場で監視システムのマイクが集音した音からの雑音除去、工場内のインターフォンへの適用など、色々な可能性を考えている」と説明した。
 「レーダーによる津波監視支援技術」は、レーダーで観測した海表面の流速から津波成分を抽出して見える化し―波高を推定する技術で、早期の津波検知システムのシミュレーションが展示された。通常の海洋レーダーで用いた短波帯の電波では、海表面に沿って伝搬する性質がある。一方、直進性の高い光学センサーや周波数の高いレーダーでは、地球の曲率により見通し外となる20㌔㍍以遠も、海洋レーダーでは観測が可能で、観測領域内の面的な流速情報を得ることができる。
 観測された海表面の流速の中で大きな割合を占める定常流の動きを予測して除去し、津波成分を抽出して見える化することで、監視員の津波検知にかかる時間を短縮して避難時間の確保に貢献する。例えば、平均水深300㍍の海洋において沖合50㌔㍍で津波を捉えることができれば、約15分前の早期に津波を検知することができ、避難に必要な時間の10 分を確保できる。担当者は「避難するには30キロメートル先で津波を検知することが求められる。自治体の避難目標として定めておりそれを目標としている」と説明した。
 「女心に響かせる~iNSTICK」は、女性の気持ちを視点に製品を開発するデザインプロジェクト。すでに販売されている空気清浄機能を搭載した掃除機「iNSTICK」は、スティックのようなデザインでリビングに出しっぱなしにして空気清浄機として使用できるので、片付ける手間がかからない。また、参考展示のランドリーカプセルは、洗濯前の衣類の雑菌繁殖を抑え、汚れを浮かせる機能も搭載しており、『洗濯物をためる』という罪悪感を感じずに、洗濯物をしばらく保管しておけるというもの。担当者は、「基本的に女性には『楽をしたい』という本音があると思いますが、『楽をしたい』というのを前面に出せないたてまえもあります。『女心に響かせる』デザインプロジェクトでは、『楽をする』時に感じる罪悪感を正当化するなど女心に響く製品を開発している」と説明した。

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