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センシング・AI等活用した社会ソリューション展開 NEC「R&D説明会」で研究方針説明

【2017年01月13日】

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▲ 西原基夫執行役員
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▲ 「遠隔視線推定技術」
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▲ 「音状況認識技術」
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▲ 「警備、救護、防災を考える映像配信技術」

 NECは12月、神奈川県川崎市の玉川事業場でR&D説明会を開催した。説明会には西原基夫執行役員が出席して、「NECの将来事業を牽引する研究開発」をテーマに研究開発戦略についてのプレゼンテーションが行われた。また、説明会後に技術展示が行われ、最先端技術について開発担当者らが説明に当たった。
 西原執行役員は、研究開発における基本方針について、「NECの成長を牽引するため、価値の高いソリューションに絞り込み、ナンバーワン・オンリーワンの技術を開発することで、協業企業や顧客との共創を通じて強いソリューションを創出していく」と説明した。
 そのうえで、具体的な施策を、「『将来技術ビジョン』、『グローバルなR&D』、『オープンイノベーション』、『人材マネジメント』の4分野で実施していきたい」と提示。
 将来の技術ビジョンでは、5つの技術進化軸として、センシング・AI・脳コンピューティング・クラウド・セキュリティの5つの技術軸を設定し、「社内の研究者だけでなく、ビジネスイノベーションを含めた社外の研究者もバックキャスティングして、社会ソリューションによる事業機会を見定めていきたい」と説明した。
 グローバルR&Dについては、「世界各地の研究所と研究分室を含め、(横断的な)バーチャルなチームをつくり、同じ目的に対し向き合っていく。すでに北米と日本の研究者、研究分室の研究者の連携チームを作り、あるテーマに取り組むというスタイルをスタートしている」と取り組みを紹介した。 また、オープンイノベーションについては「これまでは一部の大学・研究機関と限定的な技術について連携してきたが、今後は強化領域を絞り込み、大きな投資を行っていく。スタートアップ連携等のシステムを拡大していきたい。投資額は2015年の投資規模の3倍に拡大する」と述べ、暗号技術のスタートアップとの共同開発により、3年かかる研究開発を1年で実現した実例を紹介。スタートアップ連携によるオープンイノベーションを全領域で拡大する方針を示した。
 人材マネジメントについては、「AIの技術者を2018年までに300名まで増員する目標で取り組んでいる。2016年10月の時点で220人まで増員した。数学や物理学だけでなく、人文学・法学分野の見識をもった研究者も必要だし、医学系にも優秀な人材がいる。海外においても人材を開拓しており、しっかり進めていきたい」などと説明した。
 説明会後の技術展示では、「遠隔視線推定技術」、「音状況認識技術」、「警備、救護、防災を支える映像配信技術」等の社会ソリューション事業を支えるコア技術のほか、社会ブレークスルーをもたらすコア技術など7件を紹介した。
 「遠隔視線推定技術」は、世界トップクラスを誇るNECの顔認証技術をベースに開発した視線検知技術で、既存のカメラで高精度な視線検知が行えることが特長。従来は、30㌢メートル以内でなければ目の画像を検知することができなかったが、検知技術を強化して、10メートルまで距離を拡大することに成功した。既存のカメラが低解像度であっても、10メートル離れた場所からも人の視線を正確に捉えられる。複数の人を同時に検知することも可能で、1人当たりの検知・処理時間も1ミリsec以下と、瞬時に正確な検知する。開発担当者は、スーパーマーケットなどの店舗で顧客が注目している商品を自動認識したり、デジタルサイネージの画面上で観客が注目しているコンテンツの把握や広告効果の測定などへの活用が期待できると説明した。
 「音状況認識技術」も、IEEEが開催する国際音響検知コンテストDCASE2016で1位となった、世界トップクラスの音検知技術をコアにしている。周囲の雑音・騒音の影響を自動で取り除き、実用的な音検知を実現した。20メートル以内の音を検知することが可能で、従来の4メートルから25倍も範囲が拡大した。雑踏の中でも遠くで発生した小さな音を高精度に聞き分けることが可能。映像だけではとらえきれない周辺状況を、より正確に把握できる。開発担当者は、顔認証技術と行動解析技術と連携させることで、より高度に、より迅速に周辺情況を把握できるとし、広域警備やセーフティ事業への適用を目指していきたいとした。
 「警備、救護、防災を支える映像配信技術」は、モバイル網を用いた高品質なライブ映像配信(現場映像の共有)による、高度な広域屋外警備ソリューション。AIで10秒先までの通信帯域を予測して、顔認証を行う映像送信技術を開発。映像が乱れる時間を既存技術の100分の1以下に抑制したことで、高度な広域屋外警備ソリューションに実用可能な映像配信を実現した。ウェアラブルカメラや車載カメラなど、モバイル網を利用した移動カメラを活用でき、イベント会場のような通信が混雑する環境でもモバイル網による生中継が可能。顔切り出し処理できわめて通信環境が悪い場所からでも顔認証できる。開発担当者は、「すでに大規模な大会でウェアラブルカメラから顔認識映像を本部へライブ配信して、分析した情報を現場担当者のスマートフォン端末に送信するシステムの実証を行った。イベント以外にも、災害現場の状況を伝える防災ソリューション、患者の容態を映像で伝える救護ソリューションへの活用が期待できる」と説明した。

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