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総務省、NICT「未来を拓くICT展示会in霞が関」を開催

【2016年06月02日】

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視察する高市総務相

 総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、5月31日に中央合同庁舎第2号館(東京都千代田区霞が関)で、NICTの最新の研究成果を紹介する「未来を拓くICT展示会in霞が関~情報通信研究機構の凄ワザ技術を紹介!~」を開催した。
 NICTは、ICT分野を専門とするわが国唯一の公的研究機関として、わが国の経済の成長と発展、豊かで安心・安全な社会の実現の原動力となるICTの研究開発を進めている。平成28年度からは第4期中長期目標期間として、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催の機会を捉え、多言語音声翻訳、人工知能、サイバーセキュリティ等のNICTの研究開発成果を世界最先端のICTのショーケースとして世界に発信できるよう、取り組みを進めているところだ。
 今回は、NICTにおける最新の研究開発成果を身近に感じてもらえるよう、実物展示や体験コーナー、パネル等による展示会を催したもの。NICTが総務省内でこのようなイベントを開催するのは今回が初めて。
 オープニングセレモニーには、主催者挨拶で高市早苗総務大臣が次のように述べた。「今回のイベントは霞が関で初めてのケース。2020年に向けて、IoTや翻訳システム、AI、サイバーセキュリティといった重要な研究テーマにおいて目覚しい成果が期待されているところだ。4月29日、30日の2日間、G7香川・高松情報通信大臣会合が開催された。IoTやビッグデータ分野、AI、ロボット技術などを推進することで共同宣言を採択することができた。産学官が密接に連携してイノベーションを創造してくことが大事である。総務省としてもNICTとともに、より戦略的にグローバルにICT分野でのイノベーションを創造していく」。
 続いて主催者挨拶を富田二三彦理事が行った。高市総務大臣は会場を視察した。

 NICTの第4期中長期計画では、5つの戦略的重点研究開発分野「社会を観る」「社会を繋ぐ」「価値を創る」「社会を守る」「未来を拓く」を柱として世界最先端のICTを実現し、人・モノ・コトと知性を繋いで、実社会とサイバー空間とを強力に連携させていくとしている。展示エリアもこの5本柱でゾーン分けし、『多感覚・3D体験ゾーン』の展示も行った。
 〝観る〟での『ゲリラ豪雨対策支援システム』は、ゲリラ豪雨を早期検知し、都市域における浸水等のアラートを出すゲリラ豪雨対策支援システムを紹介した。フェーズドアレイ気象レーダによるゲリラ豪雨の早期探知結果と地域のハザードマップや危険箇所(アンダーパスなど)をリアルタイムに統合し、注意・警戒を視覚的に表示する。業務内容に応じた関係担当者には個別にメールで注意・警戒を送信。3月には研究成果で、神戸市でゲリラ豪雨対策支援システムの評価会を実施した。今後は、ゲリラ豪雨対策支援システムのリアルタイム実証実験の実施を予定している。ゲリラ豪雨早期探知情報による行動支援システムの開発を進める。
 〝繋ぐ〟での『日本発 情報通信の大動脈~あまねく地球を包む膨大な情報を伝えるネットワーク革新技術~』では、世界最先端の光通信・制御技術の紹介、新型光ファイバ、光パケット通信ライブデモを行った。世界最速・最高分解能の空港滑走路監視レーダーシステムは、世界最高精度がポイントで、そのレーダー性能は検知するまでの時間が従来システムの5分の1である10秒以下、検知物の最小サイズは従来システムの10分の1である5㌢㍍である。光技術を駆使。光源を使い、ミリ波の無線信号を生成する。光ファイバで複数のレーダーに無線信号を送信する。新規半導体光デバイスをレーダーに利用した。飛行機の墜落原因となる異物の検出にも威力を発揮する。
 〝創る〟での『大規模Web情報分析システム WISDOMX』では、世界トップレベル・国内唯一の高性能な自然言語処理・AIシステムであるWISDOM Xのデモ及び概要説明を行った。
 〝創る〟での『大規模災害時の被災状況把握システム DISAANA&D―SUMM』は、ツイッター上の投稿から被災状況を把握し、災害対応を支援するDISAANAとD―SUMMを東日本大震災、熊本地震等のツイートを例に紹介した。今後は、深層学習等最新のAI技術を取り込みつつ、気象レーダ等センサー由来の観測情報とあわせてより高精度な分析が可能なシステムへと発展させる考えだ。
 〝守る〟での『インシデント分析センター NICTER』では、年々脅威が増大しているサイバー攻撃を分析するNICTER及びそのスピンアウト技術であるNIRVANA、DAEDALUS及びNIRVANA改を紹介した。
 〝拓く〟での『細胞の仕組みを活用したICT』では、細胞の情報認識メカニズムをICTに応用するバイオICT研究の中から、化学情報識別技術の研究について、パネル、スライドショー、実物を用いて展示した。これは、細胞の持つ優れた特性を活かし、化学物質から得られる情報を抽出・利用するためのICTの基礎研究。『細胞が感じていることを読み出すシステムをつくる」とし①細胞ならではのデータベース獲得②機械学習による解析③入力情報の意味を取り出す―等で、要は『ヒトを取り巻く化学物質などの影響の可視化・知識化によりQOLの向上へとつなげる取り組みだ。また、バクテリアを用いた化学物質センサも紹介した。例として挙げられたのは、コシヒカリ、ササニシキで産地別の入力情報が得られるところ、コーラのブランドを判別することも可能という。
 〝拓く〟での『ドローン暗号化制御通信』では、情報漏えいとハッキングを完全に防ぐ秘匿ドローン通信技術を紹介。量子鍵配送ネットワーク技術などを活用する。移動体による国家重要施設の管理・データ収集用途に必須技術という。今後は、ドローンメーカーや電力関連会社と共同で技術開発を進める考えだ。

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