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NICT 光電話回線を利用した時刻供給実験運用を開始

【2016年06月02日】

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、坂内正夫理事長)は、電磁波研究所の時空標準研究室において、現在、電話回線による時刻供給システムで日本標準時の供給を行っている。
 NICTは、セイコーソリューションズとの共同研究により、NTT東西の光電話回線網を利用した新たな標準時の供給システムを開発してきており、このほど、実験運用を開始する。この技術を導入することで、従来のアナログ電話回線網による供給と比べて、通信速度の高速性、接続の安定性や通信費用の低廉化などの実現が期待される。
 NICTは、国立研究開発法人情報通信研究機構法に基づき、日本標準時の発生・維持・供給に関する業務を行っており、標準時の供給を「標準電波」「ネットワークによる時刻供給」「電話回線による時刻供給」といった手法で、日本国内各所において利用がなされている。電話回線による時刻供給システム「テレホンJJY」は、平成7年からサービスを開始し、現在では毎月約14万件のアクセスがある。主として、放送局、NTTの時報サービス「117」、交通機関等の重要機関における基準時計の同期に利用されている。しかし、技術的にはアナログ電話回線を利用したものとなっているため、現在の多様化する電話回線では、接続の安定性やその時刻同期精度の劣化等の問題がある。また、アナログのモデム装置は、既に国内では製造されておらず、今後の機器保守の上でも課題を抱えていた。
 これらの課題解決に向け、このほど、光電話回線を利用した時刻供給システム「光テレホンJJY」を開発し、実験運用を開始した。
 今回開発したシステムは、NTTの光電話回線網のデータコネクトサービスを利用している。標準時を供給するホストシステムには、NICTが開発した専用ハードウエアNTPサーバを活用し、プロトコルを改修することで、これまでのテレホンJJYと同等の情報提供を行う機能を持たせた。なお、セイコーソリューションズが機能拡張したクライアント装置「Time Server TS―2210 テレホンJJYタイプ」を使用することにより、1ms以下の同期精度での時刻供給が期待できる。
 また、光電話回線網は、アナログ電話回線網での接続に比べて、26倍以上の高速データ通信が行えるため、時刻供給精度の安定性と通信料金の低廉化を図ることができる。
 今後は、光テレホンJJYの利用方法について、Webにて順次公開する。システムの充実を図り、定常運用を目指し、従来システムからの移行を進めていき、より高速、安定、低廉なサービスの供給を目指す。
 ◇電話回線による時刻供給システム(愛称:テレホンJJY) 公衆通信回線を利用して高精度の時刻データを供給するシステム。アナログの電話回線により、パソコン通信の形態で接続する。クライアントは、標準時に同期した時刻データを受け取り、回線遅延をクライアント側で計測することで補正が可能となる。遅延補正を行った時刻同期精度は1ms程度である。
 ◇データコネクトサービス NTTの提供する「フレッツ光ネクスト」「ひかり電話」による帯域確保型データ通信サービス。インターネット等とは異なり、電話番号による1対1の接続でセキュアな通信が可能となり、帯域確保されるため安定した接続でデータ通信が行える。
 ◇NTPサーバ Network Time Protocol(NTP)を用いた、計算機間の時刻同期を行うための基準時刻を配信するサーバ。通常のNTPサーバではソフトウェアでパケット処理を行うが、NICTは、パケット処理をハードウェアで行うサーバを開発しており、UTC(NICT)に直結したハードウェアNTPサーバを運用している。
 ◇アナログ電話回線との比較 従来のテレホンJJYにおける通信速度はアナログモデム接続で1200bps~2400bps。光電話のデータコネクトによる通信速度は64kbps(最小値)であり、26~52倍のデータ転送速度となる。通信料金も、通常の電話に比べ全国一律で低廉(30秒で1円(税別)/64kbps)で利用可能である。

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