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天気予報に革命をもたらす 理研など

【2016年08月12日】

 理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームと情報通信研究機構(NICT)、大阪大学らの国際共同研究グループは、スーパーコンピュータ「京」と最新鋭気象レーダを生かした「ゲリラ豪雨予測手法」を開発したと発表した。
 スーパーコンピュータを使った天気予報シミュレーションは、通常1キロメートルより粗い解像度で、1時間ごとに新しい観測データを取り込んで更新する。
 しかし、ゲリラ豪雨の場合、わずか数分の間に積乱雲が急激に発生・発達するため、1時間の更新間隔では予測が困難だった。また、1キロメートルより粗い解像度では、ゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲を十分に解像できなかった。
 国際共同研究グループは、今回、理研の「京」と、情報通信研究機構と大阪大学らが開発した最新鋭のフェーズドアレイ気象レーダの双方から得られる高速かつ膨大なデータを組み合わせることで、解像度100メートルで30秒ごとに新しい観測データを取り込んで更新する、空間的・時間的に桁違いの天気予報シミュレーションを実現し、実際のゲリラ豪雨の動きを詳細に再現することに成功した。
 天気予報の根幹をなすのは、シミュレーションと実測データを組み合わせる「データ同化」と呼ばれる手法。次世代の高精細シミュレーションと高性能センサを組み合わせる革新的な技術により、従来とは桁違いのビッグデータを生かす「ビッグデータ同化」を実現した。解像度100メートルで30秒ごとという桁違いなデータを生かすデータ同化はこの研究が初めて。
 この技術を生かすことで、将来、これまで想像もつかなかったような超高速かつ超高精細な天気予報が可能になり、天気予報に革命をもたらすことが期待できるとしている。
 近年、局地的に急激な大雨をもたらす「ゲリラ豪雨」が増えている。ゲリラ豪雨は日常生活や社会経済に大きな影響を及ぼし、時には人命を奪う災害をもたらす。
 スーパーコンピュータを使ったシミュレーションに基づく現在の天気予報は、1キロメートルより粗い解像度で、1時間ごとに新しい観測データを取り込んで更新される。
 例えば、気象庁で運用されている局地モデルは、全国を対象に解像度2キロメートルで1時間ごとに新しい観測データを取り込んでいる。しかし、ゲリラ豪雨の場合、わずか数分の間に積乱雲が急激に発生・発達するため、現在の天気予報では予測が困難。
 また、1キロメートルより粗い解像度では、ゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲を十分に解像できない。
 一方で、最近の研究では、スーパーコンピュータ「京」を使った解像度100メートルや10メートルといった桁違いに高精細なシミュレーションにより、ゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲の一つ一つを詳細にシミュレーションできるようになった。また、2012年夏より大阪大学で運用が開始されたフェーズドアレイ気象レーダは、わずか30秒の間に100メートル分解能で半径60キロメートルの範囲を隙間なく探知し、ゲリラ豪雨のダイナミックな動きを正確に観測できるようになった。
 国際共同研究グループは、「京」を使った解像度100メートルの高精細シミュレーションとフェーズドアレイ気象レーダの双方から得られる高速かつ膨大なデータを組み合わせることで、〝解像度100メートルで30秒ごとに更新する30分先までの天気予報〟という空間的・時間的に桁違いな天気予報シミュレーションを実現し、実際のゲリラ豪雨の動きを詳細に再現することに成功した。
 シミュレーションデータと実測データの双方を組み合わせる「データ同化」と呼ばれる手法は、天気予報の精度を左右する重要な役割を果たす。同研究では、桁違いに高速かつ膨大なビッグデータを扱う「ビッグデータ同化」による技術革新を創出し、30秒ごとに得られる100メートル分解能のレーダ観測データの全てを生かすことで、従来の解像度1キロメートルのデータ同化では表しきれない積乱雲内部の微細構造を、高精度で表現することに成功した。

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