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防災特集 防災・避難/震災対策ソリューション フォーラムエイト

【2016年09月23日】

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 ▲ 高層ビルの避難解析シミュレーション
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   ▲ 津波解析シミュレーション
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    ▲ 土石流シミュレーション

 フォーラムエイト(東京都港区、伊藤裕二社長)は、3次元バーチャルリアリティソフト「UC―win/Road」を中心とした津波・避難解析、土石流シミュレーションといった様々な「防災・避難/震災対策ソリューション」を展開している。
 「UC―win/Road」は、3次元空間を簡単なPC操作で短時間に作成し、多様なリアルタイム・シミュレーションが行える先進のソフトウェア。SDK、APIによる柔軟な開発環境を提供し、パッケージシステムの高いコストパフォーマンスで高度なシステム開発に適用できる。
 今年6月には最新版「UC―win/Road Ver.11」をリリースした。今回の改訂では、写真から3Dモデルを自動生成するSfMプラグイン、自由な地図Open Street Mapとの連携、高精度リアルタイムレンダリングなど、大幅な機能強化を行った。これにより、国土交通省が取り組むCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリングの略。ICTツールと3次元データモデルの導入・活用で建設業全体の生産性向上を図る取り組み)やi―Construction(調査・測量、設計、施工、検査及び維持管理・更新のあらゆるプロセスにICTを取り入れることで生産性向上を図る取り組み)への対応がさらに強化された。
 取材したフォーラムエイトの松田克巳執行役員システム営業マネージャは「当社は、3DVRソフト『UC―win/Road』を中核に様々な解析系ソリューションをラインアップしています。防災分野では避難解析や津波解析、土石流解析といった解析結果を、バーチャルリアリティ上でいろいろな環境要件と複合して可視化することで、対策検討につなげることができます。また、例えば土石流解析や津波、浸水氾濫解析では、3次元の地形データが必須なのですが、『UC―win/Road』では日本全国の3次元地形データが提供されるので、そこから各種データを取得して解析を行うことができます」と説明した。
 国交省は、ICTで効率化を高めることで、建設業全体の生産性向上を図る取り組みを推進している。松田氏は「CIMでは、3次元データの活用も掲げられています。最近の例では、測量分野でのドローン活用が挙げられます。従来は測量士が何人も必要だったり、時間がかかったりしましたが、ドローンを数十分飛ばすだけで、撮影した画像を3次元処理して地形データが出来上がります。コストも時間も大幅に短縮できるようになりました。フォーラムエイトは2000年に『UC―win/Road』をリリースしており、3DVRの設計への導入にいち早く取り組んできました。近年のCIMなどの動きをみると、当社の先見的な考え方がやっと世の中の潮流と合ってきたのではないかと自負しています」と述べた。
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 群集流動・避難解析シミュレーション「EXODUS」、火災シミュレーション「SMARTFIRE」は、火災安全工学を専門とする英国グリニッジ大学のエドウィン・ガリア教授らが開発したソフトウェア。特に「EXODUS」は、「人間対人間」「人間対構造」「人間対火災」の相互作用について高度な解析シミュレーションが可能で、複雑な建物内での大人数による避難行動の解析が行える。また、建物、船、飛行機それぞれに特化して開発されたバージョンが用意されており、それぞれの状況に応じた適切なシミュレーションが可能になる。「UC―win/Road for  EXODUS」は、「EXODUS/SMARTFIRE」と連携し、3DVR上でシミュレーション結果を確認することで、建築物の安全性についての合意形成に活用できる。また、シナリオ機能で避難シミュレーションの結果の可視化を制御できる。
 松田氏は次のように説明した。「米国では専門の認定機関により、飛行機が墜落してから90秒以内に全員が避難できるような設計が求められています。座席レイアウトや非常口の数など条件を決めた避難シミュレーションで全員が避難することができなければ、設計許可が出ないのです。『EXODUS』はこういった場合に利用されているシステムです。2011年には『EXODUS』による避難算定方法が、予測される避難に必要な時間の算定に関する要綱に基づく『火災避難シミュレーションと同等と認められる算定方法』として、東京消防庁より認定を受けました。東京消防庁が例題を持っており、あるホテルの建物環境において、何人がそこに居て、火災が起きた際にどれくらいの時間で避難できるかを検証するわけです。用意されている基準と解析結果が見合えば、業務プロジェクトとして認可されます。なお近年は、都市計画、街づくりに『EXODUS/SMARTFIRE』を取り込むといった動きが出ています。例えば、大都市で大規模イベントがあった際に津波が到来した場合、人はどうやってどのくらいの時間で避難しきれるか。津波がどの向きから来るかなど様々な条件を加えて、解析結果を個々に分析し、被害者数の推定もシミュレーションできます。事前に非常時も考慮した都市計画が様々なパターンで検討できるようになっています」。
 フォーラムエイトは、6月20日~24日にかけて「EXODUS/SMARTFIRE」を紹介するセミナーを台北、上海、ソウルの3大都市で開催した。セミナーの基調講演者としてガリア教授を招待し、同教授は3都市のセミナーの参加者合計170名に「EXODUS/SMARTFIRE」の最新機能と応用事例、「EXODUS」インタフェース上の避難シミュレーションのシナリオと実験のムービーを紹介した。「EXODUS」の避難解析結果をインポートし、VRで避難シミュレーションを可視化できる「UC―win/Road Ver.11」の最新機能のプレゼンテーション、双方の連携事例 (VRシミュレーション、防災ソリューション等)も紹介された。そのほか両ソフトウェアを高品質な複合現実環境に融合した、空港テロ対策の特殊部隊訓練システムを活用したプロジェクトの最新進捗も紹介された。
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 土石流シミュレーション「UC―Win/Road 土石流シミュレーションプラグイン」は、京都大学大学院農学研究科で開発された『土石流シミュレータ(Kanako)』をソルバー(数値計算を実行して方程式を解くプログラムやアルゴリズム)として、フォーラムエイトで別途、プリ部およびポスト部を用意し、一連の処理で土石流解析を行うことができる『UC―1 土石流シミュレーション」と、解析用インプットデータの作成および解析結果を可視化するための『UC―Win/Road 土石流プラグイン』を統合したシステム。
 GUIを実装した土石流シミュレータモデル「Kanako」は、マウスによる入力及びグラフィックを多用した表示を基本としており、高度な専門知識がなくても簡単に土石流の流下や堆積過程を計算することが可能になっている。
 「土石流災害の防止・軽減策の有効な手段として、砂防堰堤(ダムの土砂を止めるための構造物)の整備が挙げられます。土石流解析を実施することで砂防堰堤を計画段階で検討できます。『UC―win/Road』の3次元地形データを取得して土石流解析を実行する仕組みになっています」(同)。
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 浸水氾濫津波解析「UC―win/Road xpswmmプラグイン」は、xpswmmによる津波解析結果を3DVRで可視化する。浸水氾濫解析ソフトxpswmmは降雨損失モデル、地表面流出解析モデル、水理解析モデル、氾濫解析モデル、汚濁負荷解析モデル等の複数の計算モジュールから構築された都市部の推量・水質解析モデルとして、アメリカ・カナダ等を中心に、世界4000社を超えるユーザーで広く利用されている。「UC―win/Road xpswmmプラグイン」は、xpswmm氾濫解析結果をインポートし、氾濫水面の上昇・下降の時刻歴変化、氾濫水面の流速ベクトルの時刻歴変化、地中管路と管内水位の時刻歴変化を3次元VR上で表現するプラグインツール。
 津波解析例では、浅水理論の差分法により、将来発生し得る津波の陸域浸水範囲や浸水深さを予測。構造物への波力評価や漂流物運搬、各メッシュ点の波高および速度を計算、津波高さ分布図等を作成。東北大学の今村文彦災害科学国際研究所津津波工学研究室教授の研究と連携したモデルを提案する。
 津波数値解析支援サービスでは、今村研究室で開発された津波解析コードを用いて、ハザードマップの作成や津波に関する避難予測等にも提供可能な解析支援サービス。地形・建物・樹木等の基本情報を「UC―win/Road」データから連携して取り込み、解析コードの計算結果を「UC―win/Road」に取込んで可視化する。
 浸水氾濫津波解析「UC―win/Road 津波プラグイン」は、様々なシミュレーションの結果の再生、可視化を可能にする汎用プラグイン。大学や研究機関で開発された津波解析コードの結果や市販の津波解析プログラムなど、様々なシミュレーション結果の再生、可視化を可能にする。
 「xpswmmは、もともと下水道管の氾濫を解析するもので、地形や配管容量などの管路設定、ポンプなどのいろいろな条件を入れて、3次元で雨水流出氾濫を解析します。シミュレーションでは時刻歴と呼ぶ、時間を追った水の動きがわかって、どこから溢れてくるかシミュレーションできます。アジアでは今、水道インフラ工事が多く、日本の企業が赴いて指導する際にこのソフトが使われています。『UC―win/Road xpswmmプラグイン』は津波にも適応できるようになっています。ポイントは、解析のメッシュの単位。例えば10メートルメッシュでエリアをしっかり区切って災害時の水の高さが評価できます。一般的にハザードマップと呼ばれるものは、広いエリアでどこまで浸水するかはわかりますが、それでは道路の高さをどうすれば浸水を防げるかまではわかりません。ハザードマップは、3Dの技術でもっと可視化できるのです」(同)。
 また、フォーラムエイトは、「スパコンクラウドR海洋津波解析サービス」を提供している。同サービスの技術は、東北大学の今村教授より提供された津波解析ソルバーを用いて、フォーラムエイト神戸研究室で開発した。南海トラフによる地震で発生した津波が日本列島沿岸に押し寄せる状況のシミュレーション結果を可視化できる。解析結果は3次元バーチャルリアリティ「UC―win/Road」と連携してVRでの可視化が行える。津波伝播の様子をさまざまな角度から見ることのできるアニメーション、指定地点における津波高の時刻歴、最も高い津波高を記録した場所の特定によるハザード確認などをサービス利用者に提供できる。

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