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Inter BEE 2016 IP化、ソフトウェア化に着目 NEC

【2016年11月16日】

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▲ VD-8350(本体)
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▲ VD-8350(映像デコードサーバ)

 NECは、「Orchestrating a brighter world」をブランドステートメントに「Inter BEE2016」に出展し、ファイルベースシステム/サブシステム/IP関連機器を中心にTV送信機を加え、新世代の放送設備実現に向けたNECの目指す方向性について提案する。
 出展機器は次の通り。▽IP関連機器▽ファイルベース/アーカイブシステム▽報道サブシステム▽ラジオ送出設備/営放システム▽FPU装置▽超高感度カメラ▽8K/4K HEVC CODEC▽4K対応ビデオサーバ▽音声調整卓▽TV送信機▽映像プラットフォーム/入稿サーバ▽AI(人工知能)ソリューション―など。
 豊島一浩放送・メディア事業部事業部長代理はNECの放送事業への取り組みについて次のように述べた。
 「NECの放送事業は、放送機器専業メーカーと違って、広範に製品を取り揃えていることが特長です。NECの放送・メディア事業部は2014年、マスター設備や送信機を作ってきた放送機器部門と、営放システムなどを作ってきたICTソリューション部門が一緒になった事業部です。マスターシステムと営放システムがワンストップで構築できるということは、お客様にとっても良いことですし、映像技術とICTが融合することで様々なシナジー効果が生まれています。例えば、4K/8Kという新しい映像領域でも、しっかりしたものづくりの対応ができていますし、映像プラットフォームや放送局でのAI活用といった新たなソリューション創出に活かされています。今回の出展内容でも、融合技術の成果をみることができます」。
 大西正隆放送・メディア事業部主席営業主幹は、展示コンセプトについて次のように述べた。
 「昨年のNECブースでのメインステージでは、NECが構想するもっと先を見据えた放送業界のワークフローの姿をお見せしました。具体的には、放送設備のIP化とソフトウェア化でした。昨年は10年後、15年後に日本の放送ワークフローはどう変革しているか―でしたが、今年は1年経って、IP化とソフトウェア化は、近い将来の話ではなく実はかなり近くに来ているのではないかと考えました。そこで、今年のメインステージでのプレゼンテーションでは、IP化とソフトウェア化に対するNECの取り組みをお見せします。具体的なものはプレゼンテーションをぜひ見ていただきたいのですが、特に入り口の部分、IP化された素材が入ってきて、そこからどのようなワークフローになっていくのかに注目してほしいと思います。一方、出展機器については、8K/4K HEVC CODEC、4K対応ビデオサーバなどNECの4K/8Kへの取り組みがひとつの柱になっています。この他、NECが今後新しい領域として注力するオンライン素材対応の入稿サーバと映像プラットフォーム、「NEC THE WISE」を掲げたAIの取り組みもご紹介します。また、送信関連ではデジタルテレビ送信機を参考展示します」。
 入稿サーバは、CM素材オンライン送稿にいち早く対応した注目すべき展示だ。営放システムやバンクシステムとの連携により、ファイルメディアでのCM素材の取込み・インジェスト(転送)を行い、素材搬入業務の効率化を実現する。さらに、バンクシステムがファイル搬入に対応していない場合でも、ファイルメディアプレーヤーへの転送やXDCAMXDCAMへの出力に対応しており、早期のCMCMオンライン対応が可能となる。
 さらに注目は入稿サーバとNEC映像プラットフォームの連携だ。 映像プラットフォーム、入稿サーバについて米田大介放送・メディア事業部新事業推進部長が次のように述べた。「NECのプロ向け映像のBtoBサービスである映像プラットフォームは、映像素材の送稿や共有を可能とするので、局側の入り口である入稿サーバと組み合わせる事で、局舎内のファイル素材の管理だけでなく、支社間連携、系列局間連携にも柔軟に対応することができます。また、送信先、受信元の管理を行うことで、従来のメディアでの受け渡し、通信回線による裏送り・裏受けをすることなく、ファイル素材を直接送受信することができ、業務効率化、管理・運搬費等の削減を実現できるメリットも生まれます。」
 ここでのデモンストレーションでは①営放システム連携運用②営放システム非連携(バーコード運用)③番宣素材インジェスト、切り出し④バンクへのファイル転送⑤ファイルメディアプレーヤー経由の転送⑥番宣素材などの映像プラットフォーム転送/共有⑦映像プラットフォーム標準機能―を予定している。 
 次いで、報道サブシステムについて大西氏が述べた。「ノンリニア編集ファイルベースシステムと報道サブシステムの連携もご提案し、さらに取り込み編集用で4K対応『Armadiaff』も加えた構成で展示致します。ファイルベースシステムは東名阪では整備がかなり進み、今後は地方局様で導入が加速するでしょう。地方局様の制作で重要となる報道サブとノンリニアのファイルベースシステムを融合した形も今回お見せしますし、さらに発展して素材の共有の観点でファイルベースシステムとNEC映像プラットフォームでの共有といったところまでご提案してゆきたいと思っています。」
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 AI(人工知能)ソリューションの活用イメージは①視聴率向上のための番組編成/制作の改善点の把握②有料放送やVODなど会員の解約防止③VODにおける動画広告の最適化の観点で事例を中心に展示する。 注目すべき事例は、『視聴ビッグデータ×AI キー局での視聴率向上へのAI活用事例』である。視聴率に影響するデータを投入し、番組制作や編成において重要となる要因を探索するソリューションだ。米田氏は概要をこう説明した。「放送業界における将来予測という観点で、NECは様々なお客様と異種混合学習技術を組み込んだソリューションを推し進めています。異種混合学習技術は経験と勘だけではなくて、各種の関連データを入力することで自動的に予測式を作ってくれるものです。視聴関連データを入力すると自動的にその中のパターンや規則性を発見し精度も高い。更に計算式も提示できるのでシミュレーションもし易い。これは当たり易さとわかり易さを両立した汎用性の高いAIエンジンなのです。視聴解析ではキャスティングや裏番組との関係性まで明らかにする事が出来ました。」
 このほか、世界ナンバーワンの技術力を誇るNECの顔認証ソリューションを放送分野で応用したソリューションも参考出品する。出演者が動いているなかでも、顔認証で出演者名の特定が行えるデモンストレーションを見せる。放送中もしくはアーカイブ映像からの出演者の特定やメタデータの付加を実現できそうだ。   
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 NECは、8K(テレビなどの映像の画質・解像度の水準を表し、画素数が概ね7680×4320ピクセル前後のものを指す)放送サービスの実現に向けて、8K/60p(60pは、順次走査〈Progressive〉で60フレーム/秒であることを示す)超高精細映像の圧縮・伸長処理を実現するコーデックの新製品として、エンコーダ「VC―8350」並びにデコーダ「VD―8350」を2016年4月に発売した。「Inter BEE2016」で動態展示を行う。

 8K映像は高精細映像である4K映像と比べて約4倍とデータ量が多いため、映像や音声を伝送するために、より圧縮率の高いコーデックが求められる。新製品は、8K超高精細映像に加え、最大22・2チャンネル音声(8Kスーパーハイビジョンの音響方式。上層に9チャンネル、中層に10チャンネル、下層に3チャンネルの計3層に配したスピーカーと、2チャンネルの低域効果〈LFE〉スピーカーを利用し、3次元的な空間音響を再生するもの)のリアルタイムかつ高効率な圧縮・伸長処理に対応し、臨場感あふれる8K放送サービスの実現に貢献する。
 また、次世代の伝送規格であるMMT(MPEG Media Transport)(2014年にISO/IECの国際標準規格として承認された、多様な伝送路に対応したメディア伝送方式。映像・音声などのコンポーネントや制御信号を多重するだけの従来の伝送方式と比較して、独立して伝送することや複数の伝送回路へ配信・同期することが可能)にも対応することで、受信側で伝送路を区別することなく映像表示が可能となり、放送と通信を連携したハイブリッドサービスを容易にする。
 ブース・5217

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