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AI特集 「顔認証」「テキスト含意認識」等の世界トップ技術が集結 NEC

【2017年01月01日】

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   ▲ (左から)今西氏と青木氏
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       ▲ 「AIディスカバリープログラム」

 NECは2016年7月、AI技術群のブランド「NEC the WISE」を発表した。「顔認証」と「テキスト含意認識」をはじめ世界トップクラスのAI技術を展開し、社会課題の解決や企業の成長促進への貢献を目指す。同社ビッグデータ戦略本部マネージャーの青木勝氏と、同本部エキスパートの今西昌子氏に、「NEC the WISE」が展開する技術と、その可能性について話を聞いた。

 NECは、「顔認証」など、世界トップクラスのセンシング技術に、オリジナルの「テキスト含意認識」「異種混合学習」「自己学習型システム異常検知」など15の技術を「NEC the WISE」として結集し、AI技術によるソリューションの提供を開始した。
 青木氏は、「これまで『ディープラーニングをやりたい』、『AI技術を導入したい』といった要望をたくさんいただいたが、実際はディープラーニングではなく違うAI技術が適していたり、分析よりもデータベースに課題があるといったことがありました。お客様にとって何が必要か整理して、どのAI技術を活用して課題を解決するか検討できるよう、技術ブランドという形で一つにまとめました」とブランド化のねらいを語る。
 「NEC the WISE」は、顧客のニーズに対し、(1)認識・理解する(見える化)(2)考える(分析)(3)行動する(対処)―に分類したAI技術を活用して、最適なソリューションを検討する。
 「見える化(認識・理解する)」には、精度・速度ともに世界トップクラスの画像認識などのセンシング技術を分類。顔認証技術では米国政府主催の技術コンテストで3連覇した高い認識精度と、160万件のデータベースから0・3秒で照合可能な高速性を備える。
 「分析(考える)」には(1)で得たデータを分析して予測や分類を行う「異種混合学習」や「RAPID機械学習」などの学習技術を分類。「対処(行動する)」では、(2)で得た予測結果に対し、実際に行動するための戦略や計画立案を行う「自動適応制御」や「予測型意志決定最適化」などのAI技術を活用する。
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 豊富な採用実績のなか、「ウォークスルー入退出ゲート」はリオデジャネイロオリンピックの日本代表選手団のメダリスト記者会見場に採用され、高精度なシステムであることを証明した。歩いたまま顔認証できるので、カメラの前で立ち止まることなくゲートの入退出が可能。この顔認証技術はキャッシュレス・カードレス決済への応用を見込み、NEC本社ビルの売店で実証実験も実施された。
 「群衆行動解析技術」は、映像を高精度に解析し、(1)混雑度・密度(2)移動方向・体向き(3)定常性―などの群衆行動に関する3つの特長を解析することで、その場の異常性を検出して迅速な対応につなげる技術だ。
「顔認識は個人を特定する技術ですが『群衆行動解析技術』は、監視カメラの画像から、広いエリアの状態がどうなっているか客観的に把握することができる技術です。実際、豊島区様の総合防災システムで活用されていて、混雑やパニック状態などの異常を早期に発見することができます。現在、群衆の中でいさかい等の異常な音声を認識する技術も開発を進めています」(青木氏)
 「テキスト含意認識技術」は、2つの文の包含関係を高速、高精度に判定・認識する技術で、米国国立標準技術研究所(NIST)が主催する評価タスクで1位を獲得した。青木氏は「ある製品のアンケート調査で『価格が高い』『デザインがよい』『耐久性が高い』などのキーワードが特定されたとします。これをテキスト含意認識技術で分析すると、『高価格だけどデザインがよい』『高価格だけど耐久性が高い』などの包含的な意見を検出し、最終的には『費用はかかるけど壊れにくい』という大きなクラスターまで分析することが可能です」と説明。マーケティング等、様々な分野に適用できるとPRした。NECが2017年11月に発表した「自動応答ソリューション」も「テキスト含意認識技術」を応用したソリューション。本技術を用いて、顧客の問い合わせ内容の意味を理解して、大量のQ&Aデータから最適な回答を高精度に抽出して、顧客への自動回答やオペレーターへの回答支援を行う。コンタクトセンターでの活用が期待されている。
 「RAPID機械学習」は、ディープラーニングを搭載した高速・軽量な機械学習ソフトウェア。お手本データを学習させることで、判断モデル(法則)を自動生成する。従来システムと比べ、処理時間888秒から4秒に、メモリ量2200MBから32MBに高速・軽量化。その製品力と将来性が注目されている。「『RAPID機械学習』は、高性能で高速・軽量に動くエンジンですので、容易に社内のサービスに組み込むことが可能です。お客様のフロアにあるサーバ1台で動くのが特長で、すでに製品化しサポートサービスも行っています」(青木氏)
 「異種混合学習技術」は、ディープラーニングと異なるNEC独自の学習技術で、多種多様なデータの中から精度の高い規則性を自動で発見できる。最適な規則に基づき予測することで、人による作業では困難だった複雑な予測も高精度な結果が得られる。予測の根拠を明示することで、なぜその予測に至ったか理由の確認が可能だ。
 「『異種混合学習』は予測の算出根拠が明らかなホワイトボックス型の機械学習技術です。様々な場面で『予測判断の理由を知りたい』というニーズがあるので、お客様から注目していただいています」(青木氏)。これまでマーケターの経験と勘に頼っていた新商品の需要予測も、同じような種別の商品の出荷データや販売実績、気象条件等の多種多様なデータから客観的に自動予測することが可能という。
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 NECは、ナンバーワン・オンリーワンのAI技術を蓄積してきた。同社ホームページで体験できる「AI活用味覚予測サービス」もその一つだ。5つの質問に答えるだけで、うまい棒15種類の味の中から、自分の好みの味をAIが予測するというシステムで、簡単にAI体験ができる。すでに60万人余(2016年12月時点)が体験しているという。
 日本人に親しみの深い「うまい棒」をテーマに、ソリューションを作成した背景には、「人とAIの協調」という大きなコンセプトがある。
 「『NEC the WISE』が目指すのは『人とAIの協調』です。AIは一部では人の能力を上回っており、『職業を奪われる』とか『人間を滅ぼす』という意見もありますが、『NEC the WISE』では人と協調したソリューションを目指しています」(青木氏)。AIで業務の精度を高めたり、効率化を図るだけでなく、顧客とのコミュニケーションをより円滑に、より深める仕組みづくりも可能だ。
 NECは現在、AI活用を支援するコンサルティングサービス「AIディスカバリープログラム」を展開している。AI活用を検討している企業を対象に、「NEC the WISE」を適用した事業ビジョンとコンセプトの企画、AI活用シナリオの検討、アクションプランの策定、実現性検証を実施する。第一弾として、顧客ニーズの高い4業種・4テーマ(リスク回避、コスト削減など)から適用して順次拡大していく。

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