情報・通信

AI研究で戦略的連携 NECと東大

【2016年09月09日】

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左から江村氏、新野社長、五神真東大総長、
渡部俊也東大執行役副学長

 NECと東京大学は9月2日、東京都千代田区のアーバンネット大手町で記者会見を開き、「NEC・東京大学フューチャーAI研究・教育戦略的パートナーシップ協定」を締結し、組織的な包括提携のもと人工知能(AI)の研究を行うと発表した。今後、東大とNECによるチームを結成し、省エネルギーで高度な処理ができるアナログ回路の開発と、AIを利用しやすくする法制度の研究、AI研究に携わる東大院生を対象とした奨学金制度の設置―などを並行して進める。
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 今回の「NEC・東京大学フューチャーAI研究・教育戦略的パートナーシップ協定」は、両組織のトップが関与してビジョンを共有し、研究開発から倫理・法制度の対応、人材育成まで含めた包括的な取り組みであることが特長。従来の研究者同士による共同研究の枠組みを超え、トップ主導による産学協創体制の構築を目指す。
 NECの最高経営責任者(CEO)を務める新野隆社長は、戦略的パートナーシップ協定締結について、「NECでは社会価値創造型の貢献を目指し7つのテーマに取り組んでいるが、社会課題は複雑化・高度化している。様々なパートナーとのオープンイノベーションを進め、より大きな価値を創造していきたい」と展望を述べ、このようなオープンイノベーションによる投資を倍増させていく考えを示した。
 また、最高技術責任者(CTO)の江村克己常務は、今回の戦略的パートナーシップの第1弾として『ブレインモルフィックAI』の共同研究開発を行なうと発表し、「AIを社会に浸透させるため、プラットフォームの小型化、低消費電力化、低コストを進めていく」と研究方針を示した。
 今後、東大生産技術研究所の合原一幸教授を中心に、NECを含めたトップ研究者10名以上のチームを結成して、専用のアナログ回路を使ってハードウェアを処理することで脳の電気的活動を模倣する『ブレインモルフィックモデル』の開発を行う。
 従来の大規模なクラウドでの処理を行なうAIに比べ、1万倍以上の電力効率を実現でき、デバイスや端末レベルでの実装が可能になるとしている。  また、研究開発と並行して、AIを利用しやすくする倫理・法制度の研究も進める。
 制度の設計については、東大の人文社会系の知見を活かして、制度設計や政策、ガイドライン提言、社会的コンセンサス形成など、AIを社会実装する際の課題について検討していく。
 人材育成については、「NEC・東京大学 フューチャーAIスカラーシップ」として、AI研究に携わる東大の博士課程の大学院生に対し、月20万円の奨学金を3年間給付する。
 年3人程度を対象に給付するほか、長期のインターンシップなどで人材育成に努める。

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