情報・通信

1000億円規模の市場送出を目指す タイムビジネス協議会

【2016年09月28日】

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左から3番目に、会長二宮氏、右へ日本データ
通信協会理事長酒井氏、総務省官房審議官吉岡
氏、最高顧問大橋氏、総務省総合通信基盤局電
波部長渡部氏、ほか

 タイムビジネス協議会は9月20日、十周年記念パーティーを東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京で開催し、本格的なIoT時代の到来に向けてデータ偽装のない社会の実現及び1000億円規模の市場創出を目指す「e―トラスト・ジャパン宣言!」を表明した。データ存在時点と非改ざん性を証明できる「タイムスタンプ」は、電子帳簿、医療、知的財産、電子契約等の様々な分野で幅広く利用されている。同協議会は、次なる10年に向けて情報化社会を支えるインフラの一つであるタイムスタンプの一層の普及促進を図る。また、産学官関係者が集う「トラストサービス推進フォーラム(仮称)」を創設する。

 同協議会の二宮桐人会長は「私が勤めているアマノグループがタイムスタンプを国内第一号として世に送り出したのは昭和6年で、当時は機械式のタイムスタンプだった。当協議会設立時は、2005年に施行されたe―文書法をきっかけにタイムスタンプが記載されたガイドラインが多く発行され、タイムビジネスの急展開を期待したが、国税関連書類の電子化要件が厳しいことを要因になかなかタイムスタンプに勢いがつかなかった。現在、電帳法の規制緩和、特許庁のタイムスタンプ保管サービス、EUのタイムスタンプ法制化など当業界にとって追い風が吹き始めた。来るべき本格的なIoT時代に向け、高い信頼性を備えたタイムスタンプの重要性に加えて、トラストサービス全体を強化する必要がある」と挨拶した。
 企画運営部会長の柴田孝一氏は「EUでは今年7月1日からeIDAS(電子識別、認証サービス)規則の運用が開始した。ベルリンでCAD(認証局会議)が開かれ、トラストサービス713項目がリストに記載されている。世界的な広がりを予感させる中、日本でもトラストサービスの在り方検討が急務だ。平成18 年にタイムビジネス協議会が設立してから10 年が経ち、国税関係書類、知的財産保護、医療情報、電子契約の分野でデータの信頼性確保に寄与するタイムスタンプの導入が進み始めている。高い信頼性の確保が求められるデータは社会に遍在し、社会問題となった、杭打ち、燃費、銅線強度、薬液注入量、エアバッグ、排ガス濃度、免震等に係る各種データにおいても、タイムスタンプの付与がデータ改ざんの防止や捏造の抑制に寄与することが期待される。本格的なIoT時代には、あらゆる物の状態や動作が自動的にデータ化され時刻情報と共に管理されることが常態となり、より信頼できる時刻認証及びデータの非改ざんの確保が一層要請される。そこで、データ偽装のない社会の実現に寄与できるよう、タイムビジネス協議会は、次なる10 年に向けて、情報化社会を支えるタイムスタンプを一層普及促進し、電子署名その他のトラストサービスが寄与できる領域にも視野を広げ各種取組を推進する。トラストサービスの普及促進により年間1000億円規模の市場創出を目指すことを宣言する」と語った。
 総務省大臣官房審議官の吉岡てつを氏は「昨年、電子帳簿保存法が改正され、スキャナー保存の対象となる国税関係書類の制限が廃止されたため、これらの書類の電子化が大幅に促進され、タイムスタンプの利用促進が見込まれている。来年には特許庁でタイムスタンプを預かるサービスが開始する。企業が安心して知的財産管理に取り組むことができ、知的財産分野での活用が更に進む。わが国の電子商取引市場は、この10年で50兆円増加し200兆円を超えた。行政では、まだタイムスタンプの利用が求められる分野が数多くある。タイムビジネスは国民や社会に安心や安全を届ける『時のビジネス』なので、総務省もしっかりと支援する」と話した。
 タイムビジネス創設当時から関わりタイムビジネスの命名者である総務省総合通信基盤局電波部長の渡辺克也氏は「タイムビジネスについては、協議会設立の4年程前に総務省に研究会を立ち上げた。2005年に世界最先端のIT国家『eジャパン』をつくる気運があり、その中で電子文書やその信憑性について、タイムスタンプを使って新しいタイムビジネスを立ち上げようとしたのがきっかけだ。私は現在5Gに取り組んでいる。同時接続性、いわゆるIoT機器に関して、今までのLTEの約100倍の端末とデータ通信する機能を持つ新しい携帯サービスをつくる。IoT各機器にタイムスタンプを付けるなど、IoTはまさしくタイムビジネスと絡めることが重要だ。5Gのアプリケーションにタイムビジネスを入れ込むことで新しいサービスを提供できる」と話した。  協議会の事務局を務める一般財団法人日本データ通信協会の酒井善則理事長は「知的財産権など文書の電子化が進んだら、時間を付けて認証する仕組みが必要になる。将来のライフログでは自分が人生で見てきたことをすべて記録することになる。すごい量になるが、そのうち本当に必要なものは認証する。絶対に伸びる分野なので、なるべく早いうちにこのビジネスを立ち上げて発展してほしい」と語った。
 最高顧問の大橋正和中央大学教授は「欧米中ではデジタル革命が非常な勢いで進んでいる。例えば、GEが3Dプリンターでつくった部品を搭載したジェットエンジンが既に飛行している。自動運転では、ドイツが圧倒的に先行し、市販車に車線変更や高速道路のレーンをキープする機能等を実用化している。ベンツやアウディが発売した一般車の走行データをコンピュータに蓄積し、各国の状況を2013年頃から分析している。米国では1992年からタイムビジネスのサービスを開始している。日本は遅れてスタートしても勤勉性で世界のトップに出る。協議会が世界をリードする存在になってほしい」と話した。

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