情報・通信

新潟市ドローン実証プロジェクト連携協定 NTTドコモなど

【2016年09月28日】

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(右から)自立制御システム野波社長、
ベジタリア小池社長、篠田新潟市長、
NTTドコモ吉澤社長、エアロセンス谷口社長

 NTTドコモは9月21日、新潟市、ベジタリア、自律制御システム研究所(ACSL)、エアロセンスと国家戦略特区である新潟市で「水稲プロジェクト」と「海岸保安林プロジェクト」からなるドローン実証プロジェクトに関する連携協定を締結した。「水稲プロジェクト」は、NTTドコモ、新潟市、ベジタリア、ACSLの4者が、水稲の病害虫の発生状況の監視や収穫時期の予測を目的にドローンを活用し、米の品質向上・収穫量増加に取り組む。これまで、いもち病等の病害虫の発生及び収穫時期は目視及び水稲向け水管理支援システム「PaddyWatch」等のセンサ活用で対応していたが、今回ドローンに搭載したカメラで上空からも水田の状況を把握し空撮画像を分析して、より精度の高い収穫を予測する。
 「海岸保安林プロジェクト」は、NTTドコモ、新潟市、ベジタリア、エアロセンスの4者が、海岸保安林の松枯れ対策や維持管理の手法開発を目的にドローンを活用し、伐倒駆除の効率化と松枯れ被害防止に取り組む。全国の海岸保安林は、毎年約50万立方㍍の松枯れ被害に遭い、これまで被害木の伐倒駆除では被害状況の目視で確認・作業をしていた。今回、ドローン搭載カメラからの空撮画像分析結果とGPS位置情報を用いて、より的確に被害木をピンポイントで特定する。また、空撮画像を立体視して被害木の高さを測定し、低コスト化につなげる。NTTドコモは、プロジェクトにディープラーニングによる高精度な画像分析技術を用いる。ドローンからの撮影データと、地上でセンサや人手で収集するデータを組み合わせ、ビッグデータ分析することで、より精度の高い情報を抽出して同実証プロジェクトに役立てる。
 21日に東京都文京区のベルサール飯田橋で開催された協定式で新潟市長の篠田昭氏は「水稲チームでは、全国トップの水田面積と米産出額を持つ新潟市の水田が実証フィールドとなる。ドローンで撮影した空撮画像の処理・解析により、病害虫・雑草の発生状況の把握、植生分析、施肥時期、収穫適期予測を行う。産地間競争に打ち勝つ高品質米の生産、収穫量の向上、労力の削減を目指す。海岸保安林チームでは、全国で最大級の砂丘列がある新潟で、砂丘列の塩害等から町や田畑を守るため、江戸時代から植林をしてきた。ドローンによる空中探査で、松食い虫による松枯れを特定し、GPSによる位置情報を基に感染木の分布をピンポイントで正確に把握する。個々の遺伝子診断を組み合わせることで、松食い虫による感染木の完全除去を目指す。全国で課題となっている海岸保安林の維持管理の強化、低コスト化を図る」と話した。
 NTTドコモの吉澤和弘社長は「昨年度の実証では、水位・水温を生産者の端末で監視する技術を確認した。今年4月からベジタリアが商用リリースした水稲向け水管理システムの販売提携を行った。新たに水田センサを新潟の小学校の食育授業向けに利用する取り組みも始めた。当社の農業生産現場での通信エリアの品質は、全国各地の農業ICTサービス展開で多くの実績を重ねている。今回、AI/ディープラーニングを用いた高精度な画像解析技術を活用し、ドローンの撮影データが信頼の目になることを目指す。農業ビッグデータ解析の知見を獲得してその成果を全国展開したい。今後、醸造に適した酒米栽培等にICTを活用するなど農業ICTの展開を目指す」と語った。
 ベジタリアの小池聡社長は「当社は東大発のベンチャー企業で、最新の植物科学とテクノロジーを融合して最先端の農業生産方法を研究開発している。昨年度から新潟市内の460haの水田に300以上のセンサを設置し、水位・水温等をクラウドで管理してスマートフォンで遠隔監視している。農業の大規模集約化によって飛び地となった広大な水田農地の水見回り管理は労力がいる。そこでICTを活用して水管理の労力を大幅に削減する。今年度は機能改善したセンサを追加で導入して実証を継続する。水位・水温・温度・湿度といった地上部のデータに加え、ドローンで撮影した画像を解析して、圃場ごとの米の生育状況、水稲の主要病害であるいもち病の発生予測、収穫時期予測を行う。人工衛星を使ったリモートセンシング技術を生かして、病虫害の状況を予測し、ドローンで農薬をピンポイントで散布する」と話した。
 自律制御システム研究所の野波健蔵社長は「当社は千葉大発のベンチャー企業で3年前に立ち上げた。私は約20年間ドローン、特に心臓部のオートパイロット技術を研究開発してきた。今回の成育調査といもち病の発見は、ドローンの飛行性能にすべて掛かっている。当社が開発した平均風速15㍍に耐えられるドローン技術を活用して、水分ストレスや葉緑素含有率など正確な情報を収集する。TPP協定により農業分野は厳しい環境に晒されている。ドローンは空の産業革命と言われるが、農業分野の革命がこのプロジェクトからスタートできる。世界に冠たる日本の農業として新潟のプロジェクトがその先駆けになって頂きたい」と話した。
 エアロセンスの谷口恒社長は「当社は2015年8月に設立したソニーとZMPの合弁会社で、ソニーのロボット・画像センシング技術、ZMPのロボット・自動運転技術を活用した産業用ソリューションを提供している。今回、当社のドローンに搭載したカメラからの空撮画像の解析結果とGPSによる位置情報、さらに独自のマルチスペクトルカメラによる植生分析を用いることによって、被害木を早期にピンポイントで特定し、より的確で低コストで海岸保安林の松枯れ対策につなげる。今後、自律型ドローンを活用した新たな維持管理手法を確立し、全国の松林の保全・維持に貢献する」と話した。

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