情報・通信

未来予測に基づく高級ブドウ生産支援技術を研究 NECソリューションイノベータ

【2016年10月05日】

 NECソリューションイノベータは、香川県農業試験場府中果樹研究所とともに、ICTを活用して、高級ブドウを房ごとに品質管理し生産指導を行う技術を研究している。同研究は、2016年度の農林水産省「革新的技術開発・緊急展開事業」に基づく地域戦略プロジェクト(個別・FS型)事業の一環で行われた。
 今回研究した技術は、香川県農業試験場府中果樹研究所が持つシャインマスカットに関する豊富な栽培データを利用して、栽培から出荷・流通まで、生産者が活用しやすい作業環境で、高級ブドウの品質管理と生産指導を可能にしようとするもの。
 同技術の実証として、シャインマスカットの房単位にICタグを付けた状態で品質を継続的に計測していき、クラウド上に蓄積し分析することで、データ分析による収穫予測の自動判定を行った。これにより、勘や経験に頼らずに房毎の収穫適期の判断が容易になった。
 NECソリューションイノベータは、今夏の実証を踏まえ、香川県農業試験場府中果樹研究所とともに、実用化に向けた更なる技術開発を行い、データ分析による未来予測を活用した、より高品質な高級ブドウの安定生産に貢献していく。
 開発技術の特長は次の通り。(1)高級ブドウ向け学習塾モデルを採用:学習塾モデルは、生産者ごとに、農作物の糖度やサイズなどについての収穫時の目標値および、その目標に到達するための中間目標を設定して、栽培の途中で中間目標と実際の値の差を縮めていくように栽培しながら、目標値を達成するという栽培指導モデル。中間目標は、例年の成長事例をベースに、専門家が作成する成長予測曲線から、最適な値を設定する。このように、過去のデータを活用した成長予測曲線を用いることで、収穫適期などの未来予測が可能になる。
 (2)入力を支援する検査端末で記録作業をサポート:IT機器の利用によって記録作業の負担を最小にする、検査端末を開発した。生産者は、検査端末としてスマートフォンと糖度計の2つを持ち、スマートフォンの音声ガイダンスに従って操作を行うだけで、必要な情報を記録することができる。例えば、ブドウの房に付けたICタグにスマートフォンを近づけて読み取ると、スマートフォンの音声ガイダンスが測定用の房を採取して糖度計で測定するように指示をする。測定後、糖度の値が糖度計から無線でスマートフォンに送信され、そこからクラウド上に自動送信される。
 香川県農業試験場府中果樹研究所とともに行った実証では、従来は、生産者が経験と勘で判断していた収穫時期を、定期的な糖度測定データに基づきシステムが収穫時期を予想することにより、生産者がより的確に判断できるようになった。8月中下旬には、ICタグ付きのシャインマスカットを、高松市の百貨店などで試験販売を行った。その結果、ICタグを通じて栽培履歴や生産の工程管理状況を見ることができる点が評価されて、市場関係者からは、確度の高い出荷予測や高級ブドウの品質安定化について今後の期待を受けている。

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