情報・通信

世界最高周波数利用効率を達成 KDDI総合研

【2016年10月21日】

 KDDI総合研究所(埼玉県ふじみ野市、中島康之所長)は、光ファイバー通信の伝送容量を拡大するために必要となる周波数利用効率を著しく向上する技術を開発し、周波数利用効率947bit/s/Hzという、これまでの記録を2倍に更新する伝送実験に成功した。これは、4Gモバイル通信で用いられているLTEの約60倍(LTEでは、20MHzの周波数帯域幅で最大300Mbit/sの通信速度が得られるため、その周波数利用効率は、300Mbit/s/20MHz=15bit/s/Hz程度となる)の周波数利用効率となる。5G時代には、無線技術だけでなく、それを支えるネットワーク技術や光ファイバー伝送技術の革新も不可欠だ。この技術は、より低遅延で高速な5G以降のモバイル通信システムを支え、〝新しい体験・サービス〟を提供するキー技術として期待できるとしている。

 周波数帯域は通信システムにおける大切な資源であり、この帯域を効率的に利用することが大容量の情報を伝送するための重要課題だ。周波数利用効率を2倍に拡大できれば、同じ周波数帯域を用いて伝送可能なデータ容量を2倍に拡大することが可能だ。現在の商用光通信システムの周波数利用効率は2bit/s/Hz以下であり、15bit/s/Hz(最大値)に達するLTEと比較すると、効率性が低くなっている。今後予想されるデータトラヒックの一層の増加に対応するためには、それを支える光通信システムの周波数利用効率の向上が不可欠であるため、その実現技術の検討が盛んに進められている。これまで、KDDI総合研究所ではマルチコア・マルチモードファイバー(1本の光ファイバーに複数のコアを設けて異なる信号を多重伝送するマルチコアファイバー伝送方式と、各コアに複数の伝搬モードを設けて異なる信号を多重伝送するマルチモードファイバー伝送方式を組み合せて用いることができる光ファイバー)を用いることにより、周波数利用効率を456bit/s/Hzまで向上できることを示してきた。
 今回の伝送実験では、6モード伝送において64値直交振幅変調(64QAM)信号伝送を行うことにより、周波数利用効率の大幅な改善を実現した。
 64QAM信号伝送では、64通りの光信号の振幅と位相の組み合わせの状態(信号状態)を用いてデータ伝送を行うことで、従来の最高周波数利用効率伝送実験で用いていた4相位相変調方式(QPSK:4通りの位相状態を使用)と比較して、原理的に3倍の周波数利用効率の向上が見込める。
 一方、信号状態を4通り(QPSK)から64通り(64QAM)に増加することにより、雑音の影響を受けやすくなり良好な伝送特性を得ることが難しくなるため、6モード以上を用いたマルチモードファイバー伝送では、変調方式はQPSKに制限されていた。今回の伝送実験では、モード依存損失等化技術と新規に開発した6モード光増幅器を組み合わせて用いることにより、6モードファイバーでの64QAM伝送を可能とした。
 同成果については、ドイツ・デュッセルドルフで開催されたヨーロッパ光通信国際会議(ECOC2016)において9月22日に発表し、高い評価を得ることができた。
 今回の成果により、効率的な大容量光通信システムの実現が近づいた。今後は同方式を用いた大容量化や長距離化に加え、その実用性の向上を目指した研究開発を継続していく。
 この研究の一部は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、坂内正夫理事長)の高度通信・放送研究開発委託研究「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」(i―FREE2)(平成25年度~平成29年度)の成果である。

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