情報・通信

「通信機器中期需要予測「2016~2021年度」発刊 CIAJ

【2017年01月11日】

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 一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ、東京都港区、会長:山本正己富士通会長)は、わが国通信機器市場(輸出を含む)に関する中期需要予測「2016~2021年度」を取りまとめ発刊した。通信機器市場は、スマートフォンが急速に普及し、写真共有や動画視聴によるトラフィックが増えて無線系設備投資も大きく伸びたが、現在では需要が一巡する状況になっている。また、固定電話のマイグレーションにより有線系設備投資も減少している。さらに、市場全体も新興国などの景気減速などにより企業の設備投資の慎重姿勢が継続し、2017年度まで需要は低調に推移すると予測。一方、2018年度以降、日本の経済・社会の構造転換に対して、IoT/ビッグデータ/AI・ロボットを活用した新技術や新サービスの創出や、5G/ITS技術を活用した自動運転などのサービス連携により、データトラフィックがますます増大し、ネットワークインフラ装置を中心に需要が回復していくと予測した。

 2015年度の通信機器市場は、ITE/4G対応が一巡したインフラ装置や、IPネットワーク網への移行がほぼ完了した局用交換機などの需要が前年度に続けて減少した反面、需要全体に大きな割合を占める携帯電話の輸入において、台数が減少したものの円安により金額が大きく伸びたために需要全体をプラスに導き、携帯電話全体として小幅の増加となった。
 その結果、2015年度の通信機器需要実績は、3兆4728億円(2014年度比2・3%増)となった。今回予測の22品目のうち同比で増加したのは、モバイル通信端末(公衆回線付)と、固定通信装置、コードレスホンなど4品目だけであり、一方、基地局通信装置、局用交換機、ビジネスファクシミリ複合機、光アクセス機器、ルーター、デジタル伝送装置など18品目の需要が減少した。
 2016年度の日本経済は、緩やかな回復基調が続いている中で、アジア向けの携帯電話生産用電子部品の輸出などの海外需要が好調なため、2016年度の実績GDP成長見通しが1・0%(民間研究機関9社の平均、2016年11月時点)と上方修正された。
 この環境下で、企業の設備投資が、円高影響や、新興国などの景気不透明感からの海外企業の投資減速、などによって伸び悩むことから需要が減少し、結果、2016年度の通信機器需要総額は、3兆2169億円(2015年度比7・ 4%減)と予測。全22品目のうち、固定通信装置、ボタン電話装置などの7品目が同比で増加し、一方、モバイル通信端末(公衆回線付)、ビジネスファクシミリ複合機、デジタル伝送装置、局用交換機など15品目が減少すると予測している。
 2017年度までは、LTE/4G対応のような大きな変革点がなく、ほとんどの機器がリプレイス中心となるために、国内の通信機器市場は2017年度を底にした需要低迷と予測。しかし、2018年度以降には、日本経済・社会の構造転換に対して、IoT/ビッグデータ/AI・ロボットを活用した新技術や新サービスの創出や、5G/ITS技術を活用した自動運転などのサービス連携が不可欠になることによって緩やかに回復生きていくと予測している。
 これにより、2021年度の通信機器市場は、2015年度とほぼ同等まで回復し、3兆4737億円(2019年度比1・7%増、2015年度比0・0%)と予測。国内は3兆614億円(2015年度比0・6%増)、輸出は4122億円(同比4・2%減)と予測している。2021年度の各機器分野別の予測結果を次に示す。
 ◎コンシューマ関連機器:2兆206億円(2015年度比3・2%減)=モバイル通信端末(公衆回線付)は、2017年度まではスマートフォン買替サイクル長期化や端末値引きの抑制などから国内金額は減少するが、2018年度以降は回復しつつ、2020年頃の5Gサービス開始予定に向けて増加し、2021年度の国内金額では同比で1・3%減と予測。輸出金額は、同比で63・7%減と予測。また、コードレスホン、パーソナルファクシミリ、パーソナルファクシミリ複合機は、固定電話契約数の減少による利用機会の減少や、買い替え期間の長期化などから需要も小さくなると見込まれる。2021年度コンシューマ関連機器全体では、国内は同比で14・6%減、輸出は同比で16・0%増と予測。
 ◎ビジネス関連機器:5154億円(2015年度比6・8%減)=ボタン電話装置は、2020年に向けたホテル等の宿泊施設や公共施設の新設、新製品投入などのプラス要因により、再び480億円台まで増加すると見込まれる。PBXは、ボタン電話装置の大容量化やソフト化・サービス化の影響から微減傾向で推移すると見込む。事業所用コードレスホンは、工場向けの導入や企業、官公庁のボタン電話装置やPBXのリプレイスと合わせた導入などから堅調に推移すると見込む。2021年度ビジネス関連機器全体では、国内は同比で12・0%減、輸出は同比で0・5%減と予測。
 ◎インフラ関連機器:5886億円(2015年度比20・3%増)=局用交換機は保守・部品交換に限定されるため市場はさらに縮小で推移し、デジタル伝送装置は、2020年頃から開始予定の5Gモバイルサービスに向けて通信キャリアのバックホールの設備増強投資、4K・8K高精細映像配信設備などのプラス要因が多く見込まれて増加で推移すると予測。地上系固定通信装置は、長期の打ち上げ計画により安定した需要があると予測。基地局通信装置は、5Gモバイルサービスに向けて設備投資が増加すると予測した。2021年度インフラ関連機器全体では、国内は同比で21・7%増、輸出は同比で10・3%増と予測。
 ◎インターネット関連機器・通信機器用部品:3491億円(2015年度比1・7%増)=ルーター、LANスイッチは、データトラフィック増に向けた通信キャリアの設備増強、VDIの導入拡大や企業内コンテンツのリッチ化などのプラス要因がある反面で、コストダウン、10ギガビットポートの収容効率の向上に伴うポート単位の下落、仮想化(ソフトウェア化)の進展などのマイナス要因があると見込み、微減で推移すると予測。光アクセス機器(PON・MC)は、CATV事業者の光ファイバーへの設備更改、IPTVやCATV型光放送サービスなどの利用者の増加や既存ユーザーにおけるグレードアップ需要などを見込み、微増で推移すると予測。通信機器用部品は、グローバルで需要が伸びる携帯電話の生産向け部品が増加すると予測した。2021年度インターネット関連機器・通信機器用部品では、国内は同比で1・0%増、輸出は同比で23・9%と予測。

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