情報・通信

高精度でセキュアな英文特許自動翻訳の提供開始 NICTなど

【2017年01月20日】

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、オムロン、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、NEC、NEC通信システム、富士通、富士通関西中部ネットテック(富士通KCN)、サンリツ及び村田機械は、製造現場でIoT化を推進するため、業界の垣根を越えて、複数の稼働中の工場で、無線通信技術の基礎評価及び検証を行ってきた。
 工場内では様々な無線システムが混在することにより、無線通信が不安定化する課題があり、これらの課題に取り組むため2015年6月から、「Flexible Factory Project」を立ち上げ、現在まで検証を続けてきた。
 さらに、ユーザーとなる工場にも協力関係を広げ、音、振動、温度、湿度、電流波形などを取得する多様なセンサーからの情報を無線で送信する評価実験に取り組んでいる。また、これら評価結果の検証とユーザーとなる工場へのヒアリング等の調査を通し、工場で用いられる無線通信の要件を用途別に整理。明確化された用途別の通信要件や洗い出された課題を反映させて、複数の無線システムを協調制御して安定化するための無線通信のソフトウエア構成の提案を行った。今後、この結果を踏まえて、工場で想定される設備ごとに独立した無線システムのシミュレーションを通じた不安定化のリスク評価や、安定した通信のための無線通信ソフトウエア構成の定義を行い、システムの構築及び実証実験を通して有用性の検証を進めることで、工場内のIoT化に向けた活動を更に推進する。
 生産性向上のため、工場での生産設備や生産状況の「見える化」が進む中、通信に対する次のようなニーズが挙げられている。「ネットワークに繋がる無線タグやセンサーなどの機器を導入したい」「有線通信での配線コストや、工場内の設備配置換えで発生するケーブル移設費用及び作業時間が増えるのを抑えたい」。無線通信はこれらの要求を満たす有効な通信手段である。実際、製造設備に付随して工場内に無線システムが導入される事例が増えており、今後も更に増加するものと予想される。
 工場内での無線利用においては、無線システム間の干渉による通信の不安定化や設備稼働への影響といった懸念がある。
 NICTなど9者は、この課題の解決を目指し、プロジェクトを立ち上げ、複数の稼働中の工場において、無線環境評価と無線通信実験を1年以上にわたって実施してきた。
 今回の成果は次の通り。ユーザー企業である三菱重工工作機械の本社・栗東工場内やトヨタ自動車の堤工場及び高岡工場内にて、共同実験各社が持ち込んだ音、振動、温度、湿度、電流波形などの情報を取得するセンサーを生産設備に取り付け、複数のセンサーから取得した多様な情報を無線で送信する評価実験を実施した。
 これまで、無線通信の現場の課題事例を利用空間と時間にわたって詳細に確認した結果、無線資源が有効に活用されていない次のような実態がわかった。
 ▽短期間で急速に無線設備の導入が進んでいるという現状▽設備ごとに無線設備が導入されており、工場全体での無線設備を協調させた制御・管理が必要▽大型モーターから発生するノイズが無線周波数帯に及んでいる▽工場にある大型設備による遮蔽によって無線の通信品質が悪化する▽複数の設備が同時に動くラインでは、通信の衝突を避けるメカニズムにより、送信待ち時間が長くなり、受け手がデータを受信できるまでに時間がかかる。 
 そして、工場内で様々な無線システムが混在することにより、無線通信が不安定化するリスクを確認できた。
 また、プロジェクトの一環として、業種の異なる複数の工場からヒアリングを実施し、現在あるいは近い将来、工場、工場附帯施設、物流倉庫で用いられる無線用途を、「品質、制御、管理、表示、安全、その他」のカテゴリに分けて抽出し、無線用途別に通信要件を整理した。この通信要件は、今後、製造現場に設置される複合的な無線システムの動作シミュレーション、設計、不安定化のリスク評価、ガイドライン作成などに用いることが可能だ。
 さらに、実際の製造現場で必要とされる具体的な利用シーンを想定し、設備ごとに独立した無線システムを協調させて制御することで安定化するためのソフトウエア構成を無線アーキテクチャとして提案した。この無線アーキテクチャは、工場の生産設備の無線化に当たり、無線の非専門家がシステム設計を行うことを想定し、次のことを特徴としている。①920MHz帯、2・4GHz帯、5GHz帯、60GHz帯の周波数を対象としている②これまでの実験で明らかになった工場ごとの無線環境の違いと、実際に使われる無線用途別の通信要件を踏まえて設計されている③アプリケーションソフトウエア側の情報のやり取り手法を統一することにより、物理層によらず制御を可能にした。
 今後9者は、ユーザーと通信・機械・システムの専門家と共に、個々に所有するセンサー、IoT、無線通信、セキュリティー、クラウド、AI等の技術と今回得た知見を活用し、無線通信に求められる機能要件の明確化を通して、製造現場におけるリアルな工場内無線通信の課題を解決するソリューションを提案する。
 今後は、生産性向上を目的に無線接続するデバイスの導入加速が見込まれる製造工場において、無線通信の利活用を促進するため、プロジェクトでは、複数の無線システムを協調制御して安定化する技術の確立と標準化を目指す。

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