情報・通信

三菱電機が新方式のアレーアンテナ「REESA」

2018221日】

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「REESA」

三菱電機は2月6日、新方式のアレーアンテナ「REESA(リーサ)」の開発説明会を都内で開催した。多数のアンテナ素子を個別にモーターで回転させて高精度にビーム走査できるもので、小型化・低コスト化もできることから、従来の空港レーダー航空機等の移動体衛星通信の分野に加え、ドローン等に搭載して映像を長距離伝送する装置や、工業用マイクロ波加熱装置等の新しい分野への展開も期待できる。「REESA」は、機械駆動式パラボラアンテナに比べて小型で、高周波モジュールを用いたアレーアンテナに比べ安価、高精度なビーム制御が可能。
 情報技術総合研究所の中川路哲男所長は「アンテナはこれからのIoTの時代に向けて重要性が増す。自動運転の時代には高精度の位置情報が重要になる」と話した。アンテナ技術部長の米田尚史氏は「このたび、高精度なビーム走査と小型化、低コスト化を同時に実現する新方式アレーアンテナ『REESA』を開発した。『REESA』は多数のアンテナ素子を個別にモーターで回転させて、高精度に電波のビームを制御するもの。従来は困難とされたビーム走査アンテナの小型化と低コスト化の両立を可能とするもので、ビーム走査アンテナが重用されているレーダーや移動体通信の分野に加え、新しい分野への展開が期待できる」と語った。
 REESAは、平面上に並べられた多数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナにおいて、各アンテナ素子を個別にモーターで回転させるだけで高精度なビーム走査を実現しているのが特長。細い金属線をらせん状に巻いた円偏波アンテナ素子をそれぞれ小型のモーターにより同軸回転させることで、各アンテナ素子に設定する位相の値を制御し、ビームを走査している。従来のアレーアンテナでは、高周波モジュール内の位相機により各アンテナの位相を制御しているが、REESAではこの高価な高周波モジュールに換えて、安価な小型モーターを用いているため、アンテナのコストを大幅に削減できるメリットがある。通常の高周波モジュールでは位相を10~20度刻みで制御しているが、モーターの回転によれば位相を2度刻みで細かく制御でき、高精度なビーム走査を実現できる。
 また、各アンテナ素子に高周波信号を給電する際に発生する損失を大幅に抑えることにより低消費電力化に貢献できる高効率なビーム走査アンテナを実現している。アンテナ素子の給電にラジアルライン導波路を採用。中空型分配回路のため構造がシンプルで損失が小さい。一般的なアレーアンテナは誘電体基板線路で分配するもので、損失が大きく、アンテナの放射効率を劣化させる問題があった。「REESA」は、12GHz帯で85%の高効率を実現する。
 「REESA」は、ビーム走査アンテナを必要とするレーダーや移動体搭載衛星通信の画期的な低コスト化を実現するだけでなく、従来は高コストのためビーム走査アンテナを適用できなかった通信、社会インフラ、化学、エンターテインメントといった様々な分野での活用が期待できる。2020年頃の製品化を目指す。高速移動体搭載衛星通信の普及が進むと、例えば、衛星通信によって被災地の状況を迅速かつ細かく伝えるヘリコプターの数が増えて防災・減災の対策が強化されることが期待される。また、「REESA」によるビーム走査アンテナがドローンに搭載されると、ドローンで撮影された高精細な映像をリアルタイムで遠隔地に届けることも可能になる。そのほか、空港面監視レーダー、航空機搭載気象レーダー、ドローン活用三次元計測、マイクロ波加熱、ボール軌道追跡&確認アプリ等への適用が期待される。

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