NEC、衛星レーダ活用「2次元微小変位解析技術」を開発|電波タイムズ

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NEC、衛星レーダ活用「2次元微小変位解析技術」を開発

201882日】

 NECは、都市部において老朽化する道路・ビル等のインフラ構造物の健全性を診断するための検査手法として、2つの衛星レーダによる変位解析を統合し、水平垂直両方向の2次元変位を高精度に解析する「2次元微小変位計測技術」を開発したと発表した。この技術はインフラ構造物ごとの個別検査を可能とし、コストのかかる詳細検査導入の判断に活用できる。これにより、インフラ構造物における予防保全の効率化に貢献する。
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 現在、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で行われている衛星レーダ(SAR、合成開口レーダ)による微小変位解析技術が有望とされ、実用化が進められている。しかし、構造物に当てたレーダの反射点が、ビルなどの密集した場所ではどのインフラ構造物のものか判別しづらく、ニーズの高い都市部での適用が困難という課題があった。
 今回開発した「2次元微小変位解析技術」では、NEC独自の反射点クラスタリング技術により、この反射点とインフラ構造物の判別を可能とし、個別に高精度な変位解析を可能にした。
 さらにNECは、この技術による解析を都市部埋立地の地盤沈下計測へも適用し、高精度に解析できることを確認した。手動測量による水準点の地盤沈下結果をもとに評価し、平地域(郊外)、都市部ともに誤差を40%低減した。
 2次元微小変位解析技術の特長は次の3点。①インフラ構造物ごとの変位解析を可能にする反射点クラスタリング=同じ構造物に属するレーダ反射点をクラスタリングすることにより、構造物ごとの水平垂直両方向の2次元変位解析を可能にする新しい手法を開発した。新手法では、構造物を剛体(コンクリートの塊など)の集合体と見なす。反射点の変化の類似度と位置に基づいて、反射点をクラスタリングすることにより、抽出された反射点を剛体ごとに分離・判別することが可能となった。
 ②2次元変位解析に適した、地図情報に基づく正しい対応付け=剛体ごとに分離・判別された反射点クラスタの形を利用すれば、地図情報と照合ができるようになる。これにより、実際の構造物との対応付けが可能となり、異なる方向から観測した反射点解析結果の対応付けも正しく行うことができる。
 ③スクリーニングを容易にする高精度な2次元変位解析=正しい対応付けに基づく2次元解析結果により、変位解析の精度が向上した。例えば、都市部埋立地の2次元解析結果例において、従来手法で反射点を無理に対応付けた場合、一部の反射点が周囲と異なる上昇方向に変位しているように見えるため、詳細検査をするか検討作業が必要だ。これに対して新手法では、正しい対応付けにより解析の精度が向上した結果、全体が均一に沈下し、異常な変位が無いことが分かり、詳細検査は不要と容易に判断できるという。
 これらの観点から、同技術による変位解析の精度向上は、スクリーニングの信頼度を高め、IoT、ロボット技術、レーザ計測技術などに基づくさらに詳細な検査技術の導入判断を無駄なく行うことができるなど、老朽化する都市インフラの予防保全を効率化するために大きく貢献するとしている。

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