情報・通信

音声認識・画像認識ソリューションを初出展―KDDIエボルバ

201943日】

写真 1
(左から)遠藤氏、近藤氏、蓬田氏

 KDDIエボルバは、「第3回AI・人工知能EXPO」に出展し、「AIChat(AIチャットボット)」などを展示する。同社のAIチャットボットは、コンタクトセンターのノウハウに基づいた教師あり学習(AIマネージド)が強みで、ユーザーの問合せ真因を理解する。AIチャットボットを継続して育成する教師あり学習はシステムベンダーにはない。また、テキストコミュニケーションの次に来る顧客体験・CX向上のサービスとして、AIを活用した「音声認識・画像認識」ソリューションを初出展する。KDDIエボルバは、AIチャットボットを活用するためのコミュニケーション全体のデザインを構築し、業界のトッププレイヤーを目指す。
 営業企画部販売促進グループリーダーの蓬田玲子氏は「今回で3回目の出展となる。前回は5000名超がブースに来場したため、今回は出展規模を1・5倍に広げた。チャットボットゾーンに出展し、有人チャットサポートや、コミュニケーションのハブになるビジュアルIVRなどを展示する。AIシステムベンダーも数多く出展するが、当社はコンタクトセンターベンダーの強みを武器に顧客コミュニケーション全体でCXを高めるAIソリューションを提案する」と話す。同社の「AIChat」の強みについて、AI戦略室エバンジェリストの近藤浩之氏は「当社はコールセンターベンダーとして蓄積した知見・ノウハウがあり、チャットボットの正答率を極限まで上げている。付加価値としてCX向上につながるカスタマーサポートの品質を高める提案を得意としている。Webページやコンタクトセンターのデータ、応答履歴、顧客の満足状況を調査、分析した上でチャットボットが自動学習する知能をつくり、育成している。数十社以上のチャットボットを構築してきたが、賢いAIオペレーターをWebページやSNSに配置することで好評を得ている」と語る。
 大手企業はFAQが1000個を超えるので、正答率を高めるために聞き返しシナリオで段階的に顧客が本当に知りたいことを掘り下げている。チャットボットが正しい回答を返しても「お役に立ちましたか?」というアンケートに「いいえ」を選ぶ顧客がいる。分析すると、クレジットカード会社の例では、「紙の明細書がほしい」という問合せに、「こちらからダウンロードしてください」と回答した場合に、「いいえ」が増加した。「ゴールドカードの審査基準を教えてください」も同様の事象が起きた。自分では印刷できないから郵送して欲しい、サイトで見てもわからなかったからチャットで審査基準を問合せたなど、顧客の「いいえ」によって改善すべき点を見つけて分析、提案していることは他社製品と差別化につながっている。
 同社の強みは正答率だけではない。チャットボット内で問合せを完結する品質にも定評がある。「詳細はこちら」でサイトに誘導すると離脱や満足度低下につながると分析し、テキスト以外に画像で解説するチャットボットをリリースし、品質を上げている。他社システムを導入した金融機関の例ではチャットボットをどう直せば満足度が上昇するのかという相談に応え、改善をしている。同企業に限らず、チャットボットの正答率とシステム的な性能の両面からアプローチする品質向上の相談、要望が多く入るため、システム再構築やAIの学習サポートなどフォローしている。
 KDDIエボルバの「AIChat」は、KDDIのauや、auWALLETクレジットカード、ジャパンネット銀行、マネーフォワード、イオンクレジットサービス、イオン銀行などで導入されている。ICT事業統括部長の遠藤淳氏は「AI、画像認識、音声認識の広がりを考慮した時に、顧客がAIを何のために使うのかを考え、サービスを組み立てて使い方を提供していく。効果的にAIを活用するために、企業と顧客のコミュニケーション全体のマネージドサービスとして提供できる点も当社の強みだ。システム単体で導入している企業は、全体最適化が難しい。当社はコールセンター、BPOに取り組んでいる企業なので、人の力、IT、AIをしっかりと組み合わせて、顧客満足と企業価値を高める取り組みをしている」と話す。人が選別したデータをディープラーニングのデータに投入し、AIは教師あり学習を行うが、Webサイトと企業のデータを自動収集してチャットボットのアンサーをつくる次世代の「チャットボット2・0」が間もなく出始める。
 「昨年度、他社製品を利用したら、正答率が上がらない、費用が掛かりすぎるなどチャットボットで失敗したという相談が多く、当社サービスに載せ換えた案件が多くあった。新規のチャット構築・設計支援も増加傾向にあり、売上は1年で数倍になった」(近藤氏)。コールセンター白書によると、コールセンターに電話する前にホームページで調べている顧客がほとんどだ。Webページと自動応答で100%解決したいという依頼を同社は受けている。「コールセンターの役割は変わり、カスタマーサポートではホスピタリティを上げた対応になる。マーケティング、販売側にまわることで需要が伸びる」(遠藤氏)。
 今までのチャットボットは個人情報にかかわる問合せを有人応答に切り替えて対応していたが、同社は個人を認識し、個人に応じた対応ができるチャットボットをリリースしている。通販系企業の例では、個人情報に紐づく返品や配送については回答できなかったが、個人認証ができると、注文や配送データと連携して自動応答できる。銀行の例では、残高をチャットボットが回答している。
 画像認識と音声認識については完全に無人で入金できるチャットシステムを、1年間検証する。免許証の画像から個人認証することで人を介さないで顧客の口座にお金が振り込まれる。音声認識の精度は95%までいくが、市場に出回るには精度が99%必要となると考えている。今回、展示ブースでは画像認識や音声認識のデモを行う。画像認識や音声認識の精度を上げるにはディープラーニングで、物体の特徴量でそのものを認識するので、多くのデータを蓄積する。音声は波形データを学習する。方言にも対応するが、日本語はバリエーションが多いので難しい。
 遠藤氏は「顧客と企業の全体コミュニケーションデザインに、AIを中心にどのようにデジタルトランスフォーメーションを推進していくか、人とITを活用して顧客との接遇ポイントをどのようにデザインするか、当社のブースでデモを体験しイメージを膨らませていただきたい」と話した。
AIチャットボットは市場全体では数百件が導入されている。来年度までに日本を代表する銀行がすべて導入し、AIチャットボットがスタンダードツールになる見込み。

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