情報・通信

NICTがオープンハウス

201972日】

写真 1
Ceforeによる近接通信デモ

写真 2
複合現実テレプレゼンス・システム

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、6月21日(金)・22日(土)にNICT本部(東京都小金井市)で、「ICTで実現する新たな未来へ」をテーマに情報通信月間行事「NICTオープンハウス2019」(施設一般公開)を開催した。最新研究開発成果について、講演・技術展示・ラボツアーにより紹介した。研究者講演、ロボット展示コーナー、ICTメンターセッションが催された。また学生向けにポスターセッション、サイエンストーク他、体験するイベントを開催した。

 21日のオープニングセッションでは、主催者挨拶を徳田英幸理事長が行った。第4期中長期計画(2016~2020年度)における主な業務を紹介した。ICT分野の基礎的・基盤的研究開発では▽センシング基盤分野〝観る〟において『ゲリラ豪雨などの早期捕捉につながるリモートセンシング技術、電波伝搬等に影響を与える宇宙環境を計測・予測する宇宙環境計画技術―など』▽統合ICT基盤技術〝繋ぐ〟において『IoTを実現する革新的ネットワーク技術、人・モノ・データ・情報等あらゆるものを繋ぐワイヤレスネットワーク技術、世界最高水準の光ファイバー網実現に向けた大容量マルチコア光交換技術―など』▽サイバーセキュリティ分野〝守る〟において『次世代のサイバー攻撃分析技術、IoTデバイスにも実装可能な軽量暗号・認証技術―など』▽データ利活用基盤分野〝創る〟において『AI技術を利用した多言語音声翻訳技術、社会における問題とそれに関連する情報を発見する社会知解析技術、脳情報通信技術―など』▽フロンティア研究分野〝拓く〟において『盗聴・解読の危険性が無い量子光ネットワーク技術、酸化ガリウムを利用するデバイスや深紫外光を発生させるデバイスの開発技術―など』―と重点5分野を紹介した。
 21日の特別講演では「人と関わるロボットの研究開発」と題して、大阪大学基礎工学研究科教授の石黒浩氏が行った。
 22日の特別講演は「イノベーションを起こすための変革論」と題して、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長異能Vationプログラム アドバイザーの伊藤穣一氏が行った。
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 5号館では『「繋ぐ」統合ICT基盤分野』で「情報指向ネットワーク技術ICN/CCNがもたらす新しい通信」を展示デモンストレーションを行った。ICN/CCN(情報指向/コンテンツ指向ネットワーク技術)の研究促進や実用化を目的とし、情報通信研究機構(NICT)はCCNベースのオープンソースソフトウェアであるCeforeを開発している。「Ceforeによる近接通信~移動ロボットによる近接通信で安心・安全な運転をサポート~」デモでは、クルマを模した2台のロボットが移動しながらセンサーを通じてスリップ注意(雨で道路が濡れています)や倒木注意(道路に木が倒れています)といった情報を取得。車々間通信を行っているところを見せた。サーバーを介さないので近くで通信して時間短縮が図れる。クラウドも使わない。センサーやクルマを介した近接通信を用いた情報交換でCCNが拓く未来を表現していた。
 4号館では『「繋ぐ」統合ICT基盤分野』で「見えないところを飛ぶドローンをあやつる」を紹介した。〝自律的に接近/衝突を防ぐ〟では『ドローンマッパー』を紹介。これは、互いの位置を把握して、接近や衝突を回避する位置共有技術。NICTは、空の安全運行を実現するため、飛ぶもの同士が互いの位置を知り、それぞれが確認しながら飛行できる無線技術「ドローンマッパー」を研究している。ドローン同士があるいは有人ヘリコプターが920MHz帯を使って位置情報を通知し合う。地上にはモニター局が識別情報や位置を把握する。NICTは、この自動でニアミスを防ぐ自律飛行制御実験に、世界で初めて成功した。
 同館では『「繋ぐ」統合ICT基盤分野』で「未来の『観る・考える』道路へ ~スマート電子カーブミラー~」を展示した。5号館屋外の特設デモエリアで体験デモンストレーションを実施した。安全に使える自動運転を実現するためにNICTが開発したスマート電子カーブミラーは、センサーが周囲の情報を集め、無線で高度地図データベース(ダイナミックマップ)に送り、近くにある車両や人がどう動いているかを地図上に表示する。スマート電子カーブミラーは無線装置、カメラ装置、検出装置などで構成。信号機のない交差点などは、交通事故が発生しやすいところだ。特に、塀や建物、駐車中のクルマのかげなどには、事故のつながる危険がひそんでいる。クルマの運転手や歩行者はスマート電子カーブミラーからの情報から危険を避けることができるので、事故の防止につながる。目では直接見えないところも、電子カーブミラーからの情報で見えるようになるのだ。
 3号館では『「創る」データ利活用基盤分野』で「複合現実(MR)テレプレゼンス・システム」を展示デモした。NICTの脳情報通信融合研究センター(CiNet)脳機能解析研究室では、ヒトの脳機能の計測・解析技術の開発と社会における利活用に向けた取り組みを進めている。同展示では、同多感覚認知グループで取り組んでいる研究を紹介。この研究では、遠隔地にいる人ともあたかも同じ空間を共有しているかのような〝究極の遠隔コミュニケーション〟の実現を目指している。そのために、ヒトの3Dモデルの実時間構築・伝送アルゴリズムを開発・実装するとともに、生体情報(心電データ等)の解析技術を用いて、ヒトへの心理的効果の検証を進めている。複合現実は、実空間にバーチャル映像を重畳して提示する技術。デモでは、来場者はMRヘッドセットを着用。女性の実時間3Dモデルを構築し、MRヘッドセットと通信して、何もない空間に3D映像を重畳した。
 3号館では『「繋ぐ」統合ICT基盤分野』で「災害によって切断された光ネットワークを応急復旧する最新技術」を紹介した。可搬型光増幅器による早期応急復旧技術だ。地下に埋設された光ファイバを活用し中継増幅機能を応急復旧させる。劣悪な環境でも運用できる光増幅器だ。特長は▽低消費電力化(外部無給電)▽小型軽量パッケージ技術▽耐水、耐塵、耐震動性能▽扱いの簡易性。可搬型のボックスタイプの機器を被災現場に人が持っていき、埋設された光ファイバに接続するイメージだ。通信装置をする代替する、迂回パスによるロスを回復させるのに威力を発揮する。

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