情報・通信

イートラストの酒井社長に聞く・簡単設置の簡易型河川監視カメラ

2019920日】

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酒井社長

写真 2
設置写真

 1935年に新潟県長岡市で創業したイートラスト(東京都台東区)は、産業機器や電気設備、通信設備、情報システム、再生可能エネルギー事業を展開。中でも、同社の簡易型河川監視カメラ「eT001」は、①簡単設置(様々な径のポールに取付可能)②150台以上の導入実績(5年以上の連続使用実績あり)③センサー連携(水位計・LEDライト接続対応可)④低消費電力(8日間無日照でも稼動〈5分間隔撮影〉)⑤クラウドで遠隔監視(独自クラウド・外部サーバー連携)―などの特長を備えて、さらに引き合いが増えているという。また、インフラ条件に左右されずにすぐに設置可能なクラウド型防災監視カメラシステムなので、配線不要で、災害時に通信や電気が遮断されても、遠隔で災害現場の情報を受信できる。9月の防災月間に合わせてイートラストの酒井龍市社長に同業他社と比較した優位性などを聞いた。

――国土交通省の革新的河川技術プロジェクト(第3弾)「簡易型河川監視カメラ」の実証実験に参加されたということですが。
 「プロジェクトの開発は、現場実証が完了し、実装段階に入っています。その目的は『氾濫の危険性が高く、人家や重要施設のある箇所に簡易型河川監視カメラを設置し、河川状況を確認することで、従来の水位情報に加え、リアリティーのある洪水状況を画像として住民と共有し、適切な避難判断を促す』となっています。プロジェクト目標は、2020年度末までに全国で約3700箇所の設置を行う―となっています。昨年、国交省が行った募集時のリクワイヤメント(要求仕様)では、大きく8点の技術仕様が書かれており、当社が手がけていた簡易型河川監視カメラは、すでにそれらの要求仕様にほとんど適合していました。適合状況の一例を紹介しますと▽屋外に容易に設置可能なカメラシステム▽設置後5年程度の連続使用を想定▽夜間(月明かり程度〈最低被写体照度0・5ルクス〉)でも撮影可能▽無日照等の状態で7日間〈約2000回伝送〉の静止画像伝送が可能▽静止画像伝送時の通信料は1台あたり月額1000円以下を目標▽静止画像及び動画は、インターネット経由で閲覧可能〈静止画像はJPEGとする〉―などで、これがそのままeT001の特長であり同業他社との優位点といえます」
 ――eT001の特長を具体的にお話しください
 「eT001は本体制御装置、ソーラーパネル、電源BOX装置で構成されています。同業他社は、市販のネットワークカメラをベースにルーターと独自に電源を組んでいますので、バッテリーやソーラーパネルが大型です。eT001はすべて自社製で、小型軽量なので屋外に容易に設置可能なカメラシステムになっています。様々な径のポールに取り付けられ、導入例では単管パイプへの設置、街路灯への設置、鋼管柱への設置、電柱へ設置―といったケースがあります。わかりやすくいうと、橋の手すりに取り付けたり、電柱に他のシステムの機器類と〝間借り〟したりできます。3つの装置自体の工事費はほとんどないですし、柱への取り付けは1時間もあればセットアップできます」
 ――150台以上の導入実績があります
 「契機になったのは『平成29年九州北部豪雨』でした。設置工事が容易ということから、福岡県からすぐに設置してほしいと声がかかって、現在21台が稼動しています。福岡県朝倉市周辺に設置したシステムでは、福岡県の河川情報システムに取り込んで一般市民のモバイル端末でも見られて利用されています」
 ――特長である夜間撮影・センサー連携について教えてください
 「国交省の要求仕様である『夜間(月明かり程度〈最低被写体照度0・5ルクス〉)でも撮影可能』をクリアしています。それほど明るい場所でなくても周囲の道路照明等をひろって河川、橋などの現在の状況がわかる画像となっています。赤外線などの補助照明がなくても使えます。また、各種センサーを必要に応じて自由に搭載することが可能です」
 ――低消費電力に関して詳細をお聞かせください
 「国交省の要求仕様『太陽電池等で稼動し、5分毎の静止画像をLTE通信により伝送』『静止画像伝送時の通信料は1台あたり月額1000円以下を目標』などをクリアしています。eT001は通信線、商用電源が不要。1ヵ月あたりの通信料は月額約900円です。無日照等の状態で2400回伝送が可能です。これは5分間隔の撮影で8日間強の送信が行えます。消費電力はスタンバイ時は0・6㍗、動作時は3・6㍗です。このほか、伝送方法でも国交省の要求仕様をクリアしており、『独自クラウドまたは外部サーバー連携』という点が同業他社との優位点になっています。それはランニングコストの比較でも現れており、各都道府県サーバーを利用した場合、国土交通省サーバーを利用した場合、中継クラウド方式の場合といずれもコストパフォーマンスに優れています」
 ――ところで、今秋、危機管理型水位計をリニューアルすると聞きました
 「小型軽量、商用電源不要、メンテナンスフリーで低価格の水位計を製品化しました。新型水位計には24GHzのASIC半導体基板型のレーダーモジュールを搭載し、さらなる小型化・低消費電力化をすすめました。信号処理方式にも改善を加え、安定性・耐環境性能の向上を果たしています。これまでより競争力の強い製品になると思います」
 ――イートラストは、今後どのように社会に貢献していきますか
 「市町村単位での災害情報システムをみると、東日本大震災を契機に、かなり普及したと思います。一例として防災無線が挙げられますが、これは防災情報を地域住民に伝えるシステムです。実は個々の自治体が様々なデータを収集して防災・減災に役立てるというシステムはあまり普及していません。監視カメラを導入して、河川の水位情報を収集するシステムでさえ、さまざまな事情があって市町村レベルではなかなか整備されていません。その中で、私どもが簡単設置、低消費電力といった特長を備えた河川監視カメラシステムを提供することで、市町村レベルに普及して、防災・減災に役立てていただければと思います。スマートフォンを持つことが当たり前のようになって、端末が増えすぎた情報過多の世の中で、万が一の時、どう情報判断すれば確実に自分の命が守れるのでしょうか。日頃から家族で避難経路の確認をしておく―などいわれていますが、そもそも今、逃げたほうがよいのかどうか人間が判断する現在、100パーセント無事だとはいえません。将来的には、AIが担うのかもしれませんが、住民が自分で判断して行動できるような防災情報システムこそ本当は必要ではないでしょうか。そのためには、産学官で組んで『自分達が主体的に避難行動の判断を下せるような基準』といったことから着手すべきではないでしょうか。例えば、監視カメラに水位計を取り付けて、それがどういう状況になったら避難したほうがよいといったシステムが今後、必要かもしれません。同じ水位でも急速に増えたのか徐々になのか。データを収集して経験値として活かす。あるいは、他の機関と連携して雨量などの天気予報、過去の災害履歴等とデータ連携して状況判断に役立てるようにする。未来の話をしましたが、私どもは簡易型河川監視カメラ、危機管理型水位計などの提供を通じて、大規模水害で命を落とす危険が少しでも減ればという思いで事業を展開しています」

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