情報・通信

コンタクトセンタービジネスをトータルで展開―KDDIエボルバ

20191023日】

写真 1
(左から)遠藤氏、佐々木氏、伊藤氏

 消費者の価値観の変化に伴い、顧客とのコミュニケーション手段が多様化し、コンタクトセンターが注目されている。コンタクトセンタービジネスを展開する企業は、AIやチャットボット、IVRなどを活用してオムニチャネル化したサービスを展開し、顧客体験価値を高めている。そこで、コンタクトセンタービジネスを展開する各企業の取り組みを紹介する。
 コンタクトセンタービジネスのコンサルティングから構築・運用までワンストップで提供するKDDIエボルバは、AI技術を活用した「音声認識」「画像認識」などの新たなソリューションの展開を加速している。そこで、ICT事業統括部長の遠藤淳氏、セールスエンジニアリング1グループリーダーの佐々木剛史氏、営業企画グループリーダーの伊藤智氏にコンタクトセンタービジネスの取り組みについて聞いた。
         ◇           ◇
 ―コンタクトセンター市場の分析とトレンドについて教えてください。
 伊藤「コンタクトセンター市場が9000億円ある中で、当社の売上900億円と堅調に推移している。AIチャット等のオムニチャネルの商材は好評で導入は加速。同時に、足元のBPO・コンタクトセンターも、電力・ガスの自由化や、消費税法改正により進むキャッシュレスサービス、金融業界における法規制対応などに伴い、顧客アプローチを強化するクライアント企業様からの引き合いが増えている。消費者の購買行動やコミュニケーション手段は、スマートフォンファースト時代にあっても、デジタル化は一気に進んでいない。お客さまの性別・年代、購買先の業界によって求められるツールは多様化している。人が対応する電話やメール、自己解決型のチャットやSMS、SNSなど、クライアント企業様の業種業態と戦略、ターゲットとする顧客層に最適なサービス、ソリューションを提供する必要がある。採用難、働き方改革、同一労働同一賃金への対応の要素も加わり、アウトソーシング需要は一層高まると見ている」。
 ―御社のコンタクトセンターの他社と差別化している点について教えてください。
 伊藤「当社は、親会社であるKDDI、auの個人のお客さま約4000万のカスタマーサポートを受託しているが、厳しい品質要求に応える業務遂行の実績、ノウハウに対する信頼感が当社の強みのひとつだ」。
 遠藤「信頼感は、窓口業務だけではない。KDDIグループ全体では、通信回線、インフラ、コンタクトセンターのWebやコンタクトセンター系システム、コンタクトセンターに関わる人など、環境、技術と業務ノウハウ、人財資産を一貫して提供できる。当社は業界の中でも、キャリアグループというバックボーンを活かし、一連の流れで改善までできる点が特徴的だ」。
 佐々木「例えば、回線を準備し、窓口を構築する。お客さまを電話、SMSサービス、ビジュアルIVR等のWebサービスからAIチャットに誘導する。解決できなかったものは、人によるテキストコミュニケーションのチャット、電話につなげる。そのカスタマーサポートにかかる事務作業の自動化にはRPAを提供できる。クライアント企業が取り組む顧客体験価値の向上、効率化、コストミニマイズに応える商材を網羅し、コミュニケーションをデザインしている」。
 ―次世代の「チャットボット2・0」の特長について教えてください。
 佐々木「従来は、お客さまの質問に対し、FAQ等のテキストを中心に回答を返すボットだったが、新しい技術を取り入れ、高度化した要件に対応した画像認識や音声認識などの付加価値をつけているのがチャットボット2・0だ」。
 ―「チャットボット2・0」では、どのような新しいサービスが可能になりますか。
 遠藤「実装している機能としては、個人を特定して、パーソナライズさせたものに対して、データベースから処理まで自動で走らせている。ジャパンネット銀行様の例では、『LINEアカウント』と口座を安全に連携して、LINE上で残高照会できる機能を構築した」。
 ―チャットボットの導入事例について教えてください。
 佐々木「ジャパンネット銀行様の例では、LINE上のAIチャットから始まり、今は、ビジュアルIVR、Web上のチャットまで対応した。すべてのオムニチャネルを提供しているクライアント企業様はイオン銀行様で、ビジュアルIVR、LINEとWeb上でのAIチャットと有人によるチャットサポートを導入した。どちらも自動応答の正答率は約90%と安定した品質で提供している」。
 ―顧客目線で見た企業とのタッチポイントの在り方について教えてください。
 伊藤「当社は消費者動向を独自調査しているが、電話への期待が減る一方、人によるチャットサポートへの期待が前年比で2倍以上増加していた。実際、当社の有人チャット「HumanChat」の導入は増加傾向にある。チャネルごとの解決度は、店舗や電話等の人が対応するチャネルが依然上位だが、Webの解決度は向上している。また、今後スマートフォンを活用する上で、4割超が身近な画像認識技術に期待し、音声認識技術への期待も向上している。お客さまに役立つタッチポイントは緩やかではあるが確実に変容している」。
 遠藤「お客さまの目的によってタッチポイントは異なる。『1回での解決』を期待する人は対人チャネルを、『時間・場所の自由度』を望む人はWebやチャットを。クライアント企業様の先にいるお客さまのニーズ、期待値が鍵となる。例えば、人が対応しづらい夜間、休日はAIチャットが自動対応することで顧客満足度が上がった事例もある」。
 ―札幌センター「Polaris_Sapporo」が2019年7月に開所しましたが、同センターの特長について教えてください。
 伊藤「札幌の中央区は、コールセンターベンダーの採用激戦区。中央区のセンターを集約し、1300席の自社センターを白石区の東札幌に立ち上げた。自社センターだからこそ実現した保育園の併設や、リラックスできる300席のカフェテリアなど、働きやすさに配慮した空間が、オペレーターだけではなく、クライアント企業様からも好評だ。ES(従業員満足度)を上げることによって、業務の集中力や効率化が図られサービス品質やクライアント企業様のビジネスに貢献している。コンタクトセンターの最大の課題である採用難にも東札幌は有効で、雇用創出をさらに活性化させる。5月から採用活動を始めて、市内にいた時よりも約2・5倍の面接予約が入っている。子育てママ・パパの多いベッドタウンの東札幌の労働力を取り込む。保育園は、地域枠も設けているので、センター開所前にオープンし、保育園に入った人がそのままオペレーターとして入社するケースもある。社員の意見を反映した結果、ビジネスの成功につながる好事例センターとして育っている」。
 ―今後の展望について教えてください。
 佐々木「クライアント企業様からの要望は多様化している。その要件に沿って新たな付加価値を提供できるようにサービスを高度化していく」。
 遠藤「顧客のタッチポイントは広がっている。チャネルがつぎはぎでは成果が得られない。カスタマージャーニーを捉えた効率化、CX向上に貢献するためには、一つの目玉となるプロダクト、サービスを売るというよりも、クライアント企業様が抱える課題、戦略の全体像を掴み、顧客体験価値を底上げするソリューションが重要。それらを開発し、複合的に提供していく。クライアント企業様と一緒に、一つひとつ丁寧に、必ず成果がでる環境を構築する」。

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