情報・通信

NICT、科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

2020428日】

 文部科学省の「令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」が4月7日に発表され、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の電磁波研究所は科学技術賞開発部門を、また、NICT未来ICT研究所は科学技術賞研究部門を受賞した。
 科学技術分野の文部科学大臣表彰は、文部科学省が、科学技術に関する研究開発などの中で顕著な成果を収めた者に対し、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲向上と日本の科学技術の水準向上に寄与することを目的として実施されるもの。
  電磁波研究所は、科学技術賞開発部門で受賞技術「無線通信の保護を目的とした電磁雑音の統計的評価法の開発」が受賞した。
 同部門は、日本の社会経済、国民生活の発展向上などに寄与している画期的な研究開発もしくは発明であって、現に利活用されているものを行った者を対象としている。
 受賞者(敬称略)は、後藤薫情報通信研究機構電磁波研究所電磁環境研究室研究マネージャー、松本泰情報通信研究機構電磁波研究所上席研究員、山中幸雄情報通信研究機構電磁波研究所電磁環境研究室マネージャー、呉奕鋒情報通信研究機構電磁波研究所電磁環境研究室主任研究員、石上忍東北学院大学工学部情報基盤工学科教授。
 概要は次の通り。
 デジタル無線通信システムや電子・電気機器の急速な社会普及により、機器から生じる電磁雑音が周囲のデジタル無線通信システムに妨害を与える電磁干渉問題が懸念されたが、従来の電磁雑音評価技術では、様々な電磁雑音がデジタル無線通信に与える影響を適切に評価することが不可能だった。
 本開発では、電磁雑音の統計的性質に着目し、雑音振幅があるレベルを超える時間率(APD=振幅確率分布)を用いて、雑音から干渉を受けるデジタル無線通信の通信品質劣化をビット誤り率特性として推定可能であることを示し、理論構築及び実験検証によってAPD測定法の有効性を示すとともに、複数周波数を同時に計測可能なAPD測定器の技術開発を行った。
 本開発により、APD測定器およびAPD測定法の国際規格が成立したことにより、デジタル無線通信保護のための電磁雑音許容値の策定及び再現性の良い電磁雑音測定が可能となり電子・電気製品の適合性試験の信頼性を高めた。
 本成果は、デジタル無線通信システムへの干渉との相関という新たな観点に基づいた電磁雑音許容値および電磁雑音測定法を与えるものであり、ICT社会における電磁干渉問題の解決に寄与している。
    ◇ 
 未来ICT研究所は、科学技術賞研究部門で受賞技術「生物分子モータ作動機序に基づく新奇分子モータの研究」が受賞した。
 同部門は、わが国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究または発明を行った者を対象としている。
 受賞者(敬称略)は、古田健也情報通信研究機構未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室主任研究員、小嶋寛明情報通信研究機構未来ICT研究所上席研究員/フロンティア創造総合研究室プロジェクト主幹、大岩和弘情報通信研究機構未来ICT研究所主管研究員/脳情報通信融合研究センター主管研究員。
 概要は次の通り。
 分子スケールのマシン構築は省エネ・省スペースを目指す技術開発として大きな期待が寄せられているが、駆動力となるモータに関しては、超真空、極低温環境下で外部からのエネルギー注入でようやく運動を起こすモータの報告にとどまっており、技術改革が求められている。
 本研究では、20年にわたる研究で蓄積した生物分子モータの運動機序の知見を基に、単純な機能しか持たない分子モジュールを組み合わせることで、新奇分子モータを構築した。このモータは、外部から都度エネルギー供給を行うことなく、環境中の化学エネルギーを自律的に利用して、常温での激しい熱揺動の中でも安定した一方向運動を実現する。
 本研究により、生物分子モータの作動原理が、従来想像されていたよりもはるかにシンプルであることが示され、生物分子マシンの再デザインと応用という新しいパラダイムが創出された。
 本成果は、次世代技術として期待される分子マシン構築に新たな設計指針を与え、分子マシンの構築・運動生成やその制御にかかわる物理学・工学分野の研究の進展に寄与することが期待されている。

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