総務省がラジオ国際放送問題を受けてNHKに行政指導

総務省は、NHK(日本放送協会、稲葉延雄会長)が令和6年8月19日(月)に放送したラジオ国際放送での不適切発言に対して、放送法(昭和25年法律第132号)第5条第1項の規定に基づき行政指導を行ったと発表した。
 同局のラジオ国際放送を巡っては、令和6年8月19日(月)に中国語ニュースの原稿を担当していた中国籍の外部スタッフ男性(48)が沖縄県の尖閣諸島について「中国の領土」「南京大虐殺を忘れるな」などと発言。発言中に停止を図る行動をせず、すぐに内容を訂正するといった対応がとられていなかったとされている。
 同省はこの問題を受けて、次のように文書で行政指導を行い、再発防止策の徹底と遵守状況の公表を要請した。
 「貴協会が令和6年8月19日に放送したラジオ国際放送等の中国語ニュースにおいて、自らの番組基準に抵触する放送が行われたことは、我が国に対する正しい認識を培うことによって国際親善の増進等を図る重要な役割を有する国際放送を担う公共放送としての使命に反するものであり、誠に遺憾である。 放送法(昭和25年法律第132号)第5条第1項においては、『放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない』とされているところ、今回の事案はこの規定に抵触するものと認められる。 よって、今後、このようなことがないよう注意する。 貴協会は、昨日、再発防止策等を公表したところであるが、今後このような問題が再び発生することがないよう、公共放送としての社会的責任を深く認識し、放送法及び番組基準などの遵守及びその徹底はもとより、再発防止策の徹底及びその遵守状況の公表を行うことを要請する」。
 同問題への対応として、NHKはこれまでに、稲葉会長を含めた役員4人の役員報酬の50%(1ヶ月)の自主返納や担当役員の辞任を発表している。また再発防止策としてラジオ国際放送の事前収録の実施や「AI音声」による読み上げの導入などを導入する意向を示している。
 NHKは今回の行政処分を受けて、「今回の事案は、自ら定めたNHK国際番組基準に抵触するなど、NHKが、放送法で定められた担うべき責務を果たせなかったという極めて深刻な事態であり、重く受け止めています。改めて、深くお詫び申し上げます。再発防止策を確実に行い、国際放送に関するガバナンスを強化するとともに、NHK全体において、放送の自主自律の堅持とリスク意識の向上を図り、説明責任を果たしながら、視聴者・国民のみなさまから負託された公共放送の使命を果たしてまいります」とコメントしている。

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。