プロバイダの垣根を越えて接続、オールフォトニクス・ネットワーク研究開発を採択
NTT、KDDI、KDDI総合研究所、富士通、NEC、楽天モバイルは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が公募した革新的情報通信技術(Beyond 5G〈6G〉)基金事業の社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(共通基盤技術確立型)に係る令和6年度新規委託研究の実施企業に採択された。本研究開発成果が社会実装された際には、異なる通信事業者間を含めた多様なプロバイダのオールフォトニクス・ネットワーク(All―Photonics Network、APN)をシームレスに利用でき、プロバイダの垣根を超えて、AIやクラウド等のサービスを提供している複数のプロバイダへの高速・低遅延な同時接続や、接続先の選択、柔軟な切り替えができるようになるとしている。
Beyond 5G(6G)は、5Gの次世代の情報通信インフラとして、2030年代のあらゆる産業・社会活動の基盤となることが見込まれており、これまでの無線通信の延長上としてだけでなく、有線・無線や陸・海・空・宇宙等を包含したネットワーク全体と考えられている。
Beyond 5G/6G時代では社会の情報化がますます加速し膨大な情報処理が必要となる。既存の情報通信システムに対するさらなる伝送能力の拡大や処理能力の高速化と、カーボンニュートラルに求められる低消費電力化への需要が高まることが想定されることから、NTTでは通信ネットワークのすべての区間で光波長を占有することで「大容量」「低遅延」「低消費電力」を実現する新しい通信ネットワークである「APN」を推進している。
これに伴い、APNを社会に広く提供するための議論が、情報通信審議会情報通信技術分科会技術戦略委員会及び同委員会の下に設置されたオール光ネットワーク共通基盤技術ワーキンググループで行われ、その結果、複数拠点を同時につなぐことや、プロバイダ同士で連携する機能が必要という考えが、報告書「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」(令和6年6月)や、「オール光ネットワーク共通基盤技術の開発の方向性及び普及方策について」(令和6年5月)で示されていた。
NICTではこの技術開発を行うために、Beyond 5G(6G)基金における公募を令和6年7月31日(水)から同年8月30日(金)にかけて実施。これに対してNTT、KDDI、富士通、NEC、楽天モバイルの5社が共同提案していた。
共同提案によると、主に「オール光ネットワークの全体的なアーキテクチャの策定」と「オール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発」の2点について研究開発を実施。複数プロバイダのAPNが協調して耐障害性やサービス品質保証を確保できるようになるほか、ユーザが複数クラウド・データセンターを同時に利用すること、接続先を柔軟に切り替えることを可能にする。また、次期光伝送ネットワークを構成する要素の一つで、高密度波長多重技術(DWDM)等の技術をベースに伝送容量の拡大を図る小型APNノードの開発も予定しており、地方データセンターや中小拠点へのAPN展開を可能にするとしている。
開発項目の詳細は次の通り。
(全文は10月28日付紙面に掲載)
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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