総務省所管補正予算案、防災・減災や研究開発に3354億
総務省は、令和6年度所管補正予算案の概要を公表した。経済対策に係る追加所要額は3354億5千万円。元日の能登半島地震など自然災害からの復旧・復興として6・9億円、防災・減災及び国土強靭化の推進に183億円をあげたほか、「投資立国」及び「資産運用立国」の実現に向けた予算として、大規模言語モデル(LLM)の開発力強化に向けたデータの整備・拡充や、安全なデータ連携による最適化AI技術の研究開発等に2748・7億円を盛り込んだ。
「賃上げ環境の整備~足元の賃上げに向けて~」として12・7億円を計上。うち「放送コンテンツ等のネット配信の促進に関する調査研究」として、放送コンテンツのネット配信の権利処理効率化に資するシステム構築に1・0億円。「放送コンテンツ製作取引における相談・紛争解決促進事業」として、放送コンテンツの製作取引における労務費等の価格交渉・価格転嫁を促進するための取引構造・商習慣の調査や、円滑な価格交渉・価格転嫁を阻害する要因分析等に0・4 億円を盛り込んだ。
「新たな地方創生施策(地方創生2・0)の展開~全国津々浦々の賃金・所得の増加に向けて~」として50・9億円を計上。うち、「海外展開に資する高品質コンテンツ製作促進事業」として、海外展開を前提とした高品質な放送コンテンツの製作を促進するため、日本のクリエイター(放送事業者、番組製作会社)に対する先進的デジタル設備の利用・導入、製作に携わる人材育成や海外展開情報の提供等の支援に11・8億円を盛り込んだ。また、「放送コンテンツの海外展開推進に向けた 配信プラットフォームに関する実証事業」として、放送事業者等と連携し、日本の放送コンテンツを集約した配信プラットフォームによる海外配信を実施。海外配信を通じて、海外視聴者のサービス受容性、正規流通の促進による不正流通対策としての有効性等の検証に向けて9・4億円を盛り込んだ。
「『投資立国』及び『資産運用立国』の実現~将来の賃金・所得の増加に向けて~」として2748・7億円を計上した。主な内訳は次の通り。
▽「宇宙戦略基金事業」宇宙戦略基金を拡充し、宇宙通信分野における民間企業の国際競争力につながる商業化等に向けて、衛星光通信等の最先端通信技術の開発支援強化:450・0億円▽「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に設置した基金を拡充し、Beyond 5Gの早期の社会実装・海外展開に向け、オール光ネットワーク技術等の研究開発の推進や国際標準化活動支援:357・0億円▽「オール光ネットワーク技術開発の促進及び普及・拡大」オール光ネットワークの2030年頃の社会実装に着実に繋げるため、多様な関係者が実際に製品化の確認・検証をできる実証基盤環境について、その在り方や段階的な整備の方策等の整備計画の策定:4・0億円▽「我が国における大規模言語モデル(LLM)の開発力強化に向けたデータの整備・拡充」大規模言語モデル(LLM)の開発力を国内に醸成するため、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)でLLM開発に必要となる大量・高品質な日本語を中心とする学習用言語データを整備・拡充。グローバルサウスをはじめ諸外国と連携し、多言語のLLMデータ基盤の構築及び、複数の言語に対応した高性能な多言語LLMの開発・実証:119・0億円▽「安全なデータ連携による最適化AI技術の研究開発」社会課題の解決や産業競争力の向上に貢献するため、実空間に存在する多様なデータを安全に連携させることを可能とする分散型機械学習技術を確立する研究開発:9・0億円▽「量子暗号通信網の早期社会実装に向けた研究開発」量子暗号通信の2030年頃の社会実装に向けて、ネットワーク高度化技術・マルチベンダ間相互接続技術等の研究開発、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のテストベッドを活用した実証試験実施:15・0億円▽「Open RAN 基地局に係る複数事業者間の相互運用性等の機能強化の推進」Open RANに基づくオープンな基地局装置仕様の高度な試験方法を確立し、多様なベンダーの基地局市場への参入による安価かつ周波数利用効率の高い通信機器普及とこれを支える強靱なネットワーク構築の基盤整備を促進:15・0億円▽「5・9GHz帯への運転支援システムの導入促進」:自動運転の普及に伴い増大する通信需要に対応し、高度な自動運転を実現するため、5・9GHz 帯を使った新たなV2X通信システム(車と道路、車と車等との直接通信)の導入に向け、新東名高速道路等において自動運転車と連携した5・9GHz帯V2X通信システムの実証実験等:10・0億円▽「非地上系ネットワークによる次世代移動通信システムの早期社会実装の推進」HAPS(High Altitude Platform Station:高高度プラットフォーム)について同一・隣接周波数帯を使用する他システムとの周波数共用技術に関する技術的検討等を実施し、早期社会実装推進:7・4億円▽「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」ICTスタートアップのさらなる創出・育成を加速するため、ICT分野における研究開発支援や、官民一体の伴走支援:3・0億円▽「データセンター等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業」社会経済のデジタル化に伴い、デジタルインフラを強靱化し、耐災害強化及び地域のDXの促進等に向けて、民間事業者によるデータセンター整備支援:120・0億円▽「高度無線環境整備推進事業」条件不利地域において、地方公共団体、電気通信事業者等による、高速・大容量無線通信の前提となる光ファイバ設備の早期整備が必要な事業を支援:19・3億円▽「放送事業者(4K)の新規参入等に係るBS右旋帯域の再編等に係る経費」:1・7億円▽「地域社会DX推進パッケージ事業」:ICTを活用した地方創生2・0の実現に向け、AI・自動運転等の先進的ソリューションや先進無線システムの実証、地域の通信インフラ整備の補助等の総合的な施策を促進:74・0億円▽「VR等(没入型技術)の利活用における利用環境整備事業」:0・8億円▽「インターネット上の偽・誤情報等への総合的対策の推進」偽・誤情報対策に係る技術の開発・実証及び社会実装の推進並びに多様な周知広報:27・0億円▽「国・地方共通相談チャットボット(ガボット)を中心とした 国の行政相談業務における生成AIの有効的な活用に向けた調査研究」0・8億円。
自然災害からの復旧・復興として6・9億円を計上した。「携帯電話等エリア整備事業」として、能登半島地震等、自然災害により損壊した基地局について、復旧・復興支援ができる恒常的メニュー創設に6・0億円、「放送ネットワーク整備支援事業」に0・9億円を盛り込んだ。
(全文は12月11日付紙面に掲載)
この記事を書いた記者
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