ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ始動

 横須賀リサーチパーク(YRP)を中心とした神奈川県横須賀エリアにおいて、自動走行などに代表されるスマートモビリティ(賢い移動運搬手段)の開発・実証を推進することで、新規ビジネスの創出、社会課題の解決などを実現し、その成果を日本全国、世界に向けて展開していくため、横須賀市およびYRP研究開発推進協会、横須賀テレコムリサーチパークは、「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」という取り組みを開始した。また、同チャレンジを推進するため、「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ推進協議会」を発足し、第1回会合を3月26日、横須賀市役所消防庁舎で開催した。 「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ推進協議会」第1回会合冒頭で、甕昭男YRP研究開発推進協会会長が挨拶した。「横須賀市、YRP研究開発推進協会および株式会社横須賀テレコムリサーチパークは、横須賀リサーチパーク(YRP)を中核として横須賀市におけるスマートモビリティの開発・実証の推進、関連産業・周辺産業の集積を図ることで新規ビジネスの創出、社会課題の解決および地域の活性化に資することを目的として『ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ』という取り組みを開始することになった。本協議会は横須賀市をはじめとしたこの3機関が事務局となって『ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ』の円滑かつ効果的な企画・実施・展開のために大所高所から、また様々な立場から意見や提言をいただく場として設置した。委員、顧問の皆さまの指導、支援により、『ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ』を成功に導いていただき、この取り組みから生まれた成果や事例が日本中、世界中に展開されるよう希望するところである」と述べた。 続いて、推進協議会顧問3氏から挨拶があった。小泉進次郎・衆議院議員は「いろいろな新しい取り組みを生む時にはやはり、最後は〝人〟。こうやって人がつながっていろいろなことを行う、そういった形が今日のことにもひとつにつながって、これからいろいろなことが生み出されてくるのではワクワクする気持ちでいっぱいだ。いろいろな種がこのスマートモビリティ・チャレンジでひとつの新たな横須賀の街の景色を生み出してもらいたい。横須賀は谷戸地域のように山坂が多い地域。これをどうするかというのがこれからの横須賀の街づくりと聞いているが、むしろスマートモビリティ・チャレンジにとっては山坂があることがビジネスチャンスであり、新しいアイデアを生む場所になる。そういったピンチをチャンスを持っていく環境としては横須賀はすばらしい街ではないか。将来、ここから生まれた種が全国、世界に先駆けて横須賀で生まれてくる夢のあふれたことが出てくるのを期待している」と述べた。 鈴木茂樹・総務省総務審議官は「横須賀市は東京のベッドタウンとして戦後人口が増加した。当時の子供たちはみな東京に出ていって空き家も多くある。人口は今40万人を切るくらいで、ここをやはり私のふるさととして何とかしたい。横須賀の地形は入り組んでおり、平な土地がなくて山を切って谷を埋める、海を埋めるというのが高度成長期だった。私は入り組んだところを自転車で走り回ったが、今は同じことはできない。人口は高齢化し、私自身も年齢を重ねたが、そうはいってもせっかくの横須賀、いろいろ観光資源もある。自動車工場などいっぱい製造業もあったのが今は寂しい。だがここで暮らし続ける人はいる。高齢者、障がい者らにとってだんだん公共交通がなくなる中でどうやって移動性を確保し社会参画するのか。最後はぴんぴんと生きていただくために何か手立てが必要だと。そして、今回の取り組みにつながったものだ。ぜひみんなの力を合わせて、なかなかマーケットが立ち上がらない一人乗りの自動車や車椅子で自動的に目的地に行けるなどになれば人口減少時代にいろいろな活動ができる社会になるだろうと感じる。総務省でも自律型モビリティなどを研究しているところだ。ぜひ皆さまには論議を尽くしていただき、成功モデルを作って横須賀から神奈川へそして日本国へ広げていけるような夢のような取り組みにしていただきたい」と述べた。 上地克明・横須賀市長は「そうそうたるメンバーが内外から横須賀に集まっていただき御礼を申し上げる。実は今日のお話は最初に地元の鈴木審議官が小泉議員にお話しして原田京急社長の3者で話が決まって、私もぜひ参加したいと決まったものだ。横須賀は山が近接しており、道路状況も悪い。高低さも激しい。高齢化も進んでいる。こうした中でスマートモビリティの必要性をずっと感じていたところだ。私は本日、実は大変ワクワクしている。YRPで自動運転の試乗した際もワクワクした。ぜひ、この会が実り多き、世界に発展していけるものにしてほしいと思う」と述べた。 次に会長を選出した。中村文彦・横浜国立大学理事・副学長が選出された。副会長は規矩大義・関東学院大学学長が指名された。 議事は設置要綱の確認等、スマートモビリティの開発等に係る現状について、ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジについて、意見交換。 ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジの背景には、ICT産業構造の変化等に起因するYRPに期待される役割の変化、少子高齢化・人口流出等による地域コミュニティ存続の危機、移動が困難な地理的環境における移動弱者対策―があってそういった背景を受けて、YRPにおける世界最先端の情報通信技術と人材といった『横須賀市の持つポテンシャル』と『スマートモビリティの可能性』を融合することで、『ヨコスカから先端事例・新規事業を創出し、日本・世界に展開する。YRPを中核として横須賀市をスマートモビリティ開発の中心地にして行く』という目標を掲げた。高齢者・障害者がスマートに生活できる社会、面白いイノベーションが創出される夢のある環境、全く新しい市民の交通システムの提案を打ち出し『人や技術が集まり、夢のある事例を創出』する考えだ。 そして、イベント「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2019」を来年1月にもYRPで開催する。ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジの取り組みを加速する〝エンジン役〟で、同イベントの企画や実施を通じて様々なプロジェクトを派生・創出し、ヨコスカを中心としたスマートモビリティの研究開発。実証・実装などの展開を促進していく。イベントは定例化させていく。スマートモビリティ・チャレンジの推進体制では協議会の下に展開戦略タスクフォースと運営タスクフォースを置いた。 「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ推進協議会」委員は次の通り(敬称略、50音順)。 ▽荒川堯一・横須賀市観光協会副会長▽岡田英城・横須賀商工会議所議員(岡田電機工業代表取締役)▽門脇直人・(国研)情報通信研究機構理事▽河田守弘・関東運輸局局長▽規矩大義・関東学院大学学長▽後藤収・関東経済産業局局長▽篠崎資志・(国研)海洋研究開発機構理事▽鈴木立也・横須賀市社会福祉協議会会長▽関啓一郎・関東総合通信局局長▽田中茂・横須賀市副市長▽玉垣努・神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科作業療法学専攻専攻長▽土井三浩・日産自動車総合研究所所長▽中村寛・NTTドコモ取締役常務執行役員(CTO)、R&Dイノベーション本部本部長▽中村文彦・横浜国立大学理事(国際・地域・広報担当)・副学長▽原田一之・京浜急行電鉄社長▽堀洋一・東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻教授▽渡邉正義・神奈川県産業労働局産業部部長。