関東総通局、前橋市で「ジョブラボシンポジウム」

 総務省関東総合通信局(古市裕久局長)は、一般社団法人ジョブラボぐんま、群馬県及び関東ICT推進NPO連絡協議会との共催により、「ジョブラボシンポジウム ―How to make Innovation―」を、1月14日に群馬県庁昭和庁舎(群馬県前橋市大手町1―1―1)で開催した。 後援は前橋市、桐生市、桐生商工会議所、桐生信用金庫、上毛新聞社、エフエム群馬、まえばしCITYエフエム、NPO法人キッズバレイ。 第一部は基調講演、第二部はワークショップを行った。 関東総通局では、地域課題の解決に役立つICT利活用を推進している。同シンポジウムでは、ICTを活用して様々な地域資源を結びつけ、それによりイノベーションを起こす方法を参加者が学び、考える機会を提供した。行政関係者、会社経営者、ICT関係者、学生、一般の43人が参加した。 はじめに主催者を代表して、ジョブラボぐんま代表理事の宮坂あつこ氏が次のように挨拶した。 「私どもジョブラボぐんまは、2017年の3月から活動を始めている。2018年の6月1日に会社が法人化した。私たちが目指すのはこの群馬県にビジネスの助け合いのプラットフォームをつくろうと活動している。きっかけは私の子供が大人になるまでにチャレンジしやすい群馬県にしたい、地域にしたいと仲間たちと立ち上げたのがジョブラボぐんま。私たちの活動の根底にある考え方は地域コミュニティブランド。今日はその提唱者である星合先生にご講演いただく。イノベーション地域活性化などさまざまなところでいわれているが、ではどうやってイノベーションを起こすのか。そのやり方は皆さん知らなかったりする。その方法を世界で初めて提唱されている星合先生を招いてお話しを伺う。第2部はそのインプットしたものをアウトプットする場としてワークショップを行う。皆さまには本日の成果を地元に持ち帰って明日からの事業に活かしていただければと思う」と述べた。 続いて、共催者を代表して総務省関東総合通信局情報通信連携推進課長の望月俊晴氏が次のように挨拶した。 「総務省はさまざまな仕事を担っているが、私ども総合通信局の部署は通信・ネットワークの関係を担当している。これまでいろいろなイベントに共催しているが、イノベーションという話はよく聞く話であり、先ほど話があったように助け合いのプラットフォームをつくる、いずれもインフラのベースにには通信というものがあって、今まで出会えなかったはずの人たちが出会えるようになった。これは世界でも地域でも同じだと思う。Society5・0というものもでてきているが、私ども通信を掌るものとして、地域の発展、世界の発展に助け合いになれるような施策を進めていきたいと思う」と述べた。 続いて、共催者を代表して群馬県産業経済部商政課次長の萩原徹氏が次のように挨拶した。 「近年はビジネス環境が圧倒的な規模とスピードで変化しており、県内では地域経済を支える中小企業者や起業家のあらたな発想でビジネスが生み出されていくことがひいては地域の活性化して発展していく。本日はイノベーションの起こす理論などを学んでいただき、皆さまには本日のシンポジウムが有意義なものになることを期待している」と述べた。 続いて基調講演に張った。題目は「イノベーションの創発に向けて つながりを科学する 地域コミュニティブランド:SCB。講師は一般社団法人SCBラボ所長・理事 イノベーションアカデミー校長、崇城大学情報学部教授、早稲田大学招聘研究員、P2P提唱者、工学博士の星合隆成氏。 講演要旨は次の通り。 日本には世界的なイノベーション理論がない。学ぶの場を提供していきたいと思う。イノベーション創発に向けた取り組みを挙げると▽イノベーションな人材の育成▽イノベーションの学びの場/教育プログラム(教材・メソッド)の提供▽県外の地域資源とのつながりを醸成▽イノベーション創発のための理論である「SCB理論」を用いたイノベーション創発の推進&教育プログラムの開発・考案▽「SCB理論」の普及―である。 「SCB理論」は、世界初のP2Pである「ブローカレス理論」(1998年)がベースであり、P2Pを地域活性化させて、イノベーション創発に活用する理論である。ポイントは①人を育てたい②地域活性化の拠点化づくり③そのためのつくったのでイノベーション創発を行いたい―の3点。 あらためてイノベーションとは何かというと『新たな価値観の創出』である。疲弊した地域の救世主であり、地域活性化や地域創生につなげるためには〝技術革新と新結合〟が必要だ。新結合のイノベーションを行うべきなのだ。 私は、NTT未来ねっと研究所時代に、世界初のP2P「ブローカレス理論・SIONet」を提唱した。特長は自律分散協調型、非中央集権的、自律的にたくさんの情報をつなげる技術。中央集権型はいわゆるトップダウンであり、代表的なのはスパコン「京」である。P2P型は並列的なボトムアップの考え方だ。 新結合とは何か。▽既存の資源を活用する▽新たなつながりにより新たな価値観を生み出す▽新結合は「つながり」が大切―である。例としてポケベルを挙げると、『すでに存在している資源の活用』は出張先のサラリーマンの呼び出しであり、そこから新たな価値観の創出として生み出されたのが女子高生のコミュニケーションツールとしての利用だ。新結合とは、新しいものをつくることの意味ではなく、新しいつながりをつくることだ。ここでは女子高生が新しい結合をつくった。地域にはこうしたつながりが必要なのだ。 続いてワークショップのファシリテーターは、リクルート北関東マーケティングの橋本琢也氏が行った。 最後に関東ICT推進NPO連絡協議会群馬県幹事で、ジョブラボぐんまの小保方貴之副代表が閉会の挨拶を行った。