4年度総務省所管第2次補正予算(案)

 総務省が発表した令和4年度総務省所管第2次補正予算(案)は、経済対策に係る追加所要額が1282・2億円となった。「円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化」では、『コロナ禍からの需要回復、地域活性化』で10・4億円となった。このうち、「放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業」で7・9億円。地方公共団体や放送事業者等が連携して各地域の魅力を伝える放送コンテンツを制作し、海外の放送局等を通じて発信すること等により、わが国地域の情報発信力を強化する。 同じく、「動画配信サービス普及等の視聴環境等の変化を踏まえたコンテンツ海外展開及び地域情報発信の推進」で2・6億円。わが国の放送コンテンツの海外展開及び地域情報発信を効果的・効率的に推進するため、動画配信サービスの伸長等の環境の変化に対応する手法の習得支援や情報発信基盤の整備を実施する。 次の項目「『新しい資本主義』の加速」では、『成長分野における大胆な投資の促進』で1094・0億円となった。このうち「Beyond 5G(6G)・量子・AI等の先進的情報通信技術の研究開発」で722・0億円。このうち『革新的な情報通信技術の研究開発推進のための恒久的な基金の造成』で662・0億円。Beyond 5G(6G)に向けた情報通信技術戦略を踏まえ、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に革新的な情報通信技術の研究開発推進のための恒久的な基金を造成し、革新的な高速大容量、低遅延、高信頼、低消費電力、カバレッジ拡張等を可能とする次世代の情報通信インフラを実現するための研究開発及びその成果の社会実装、国際標準化を強力に推進する。 同じく、「グローバル量子暗号通信網構築のための研究開発」で19・5億円。量子暗号通信の普及に向けて、通信のさらなる長距離化技術(長距離リンク技術及び中継技術)を確立するための研究開発を実施する。 「仮想空間における電波模擬システム技術の高度化」で25・0億円。電波模擬システムについて、機能拡張に関する研究開発等を実施することにより、Beyond 5Gをはじめとする新たな無線システムの研究開発や普及展開を加速させ、国際競争力を強化する。 「安全なデータ連携による最適化AI技術の研究開発」で10・0億円。プライバシーデータや機密データ等を含め、わが国に存在するデータを業界等の垣根を越えてAI学習に活用することを可能とし、異分野・異業種のデータを活用したAIの精度向上による産業競争力向上等に貢献するため、多様なデータを安全に連携させることを可能とする分散型機械学習技術を確立する。 「電波の安全性に関する調査及び評価技術」で5・5億円。電波を解析するための大規模計算環境を整備し、Beyond 5G(6G)等で使用される超高周波数帯の電波を適切に評価する技術を開発するとともに、電波が安全な範囲内で利用されていることを可視化することにより、電波をより安心して安全に利用できる環境を構築する。 「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」で27・7億円。世界の「言葉の壁」を解消し、グローバルで自由な交流・経済活性化を実現するため、2025年大阪・関西万博も見据え、多言語翻訳技術を現状の逐次翻訳から高度化し、AIによる実用レベルの「同時通訳」を実現するための研究開発を実施。また、ウクライナ語について、実用レベルの「逐次翻訳」を実現する。 「高強度深紫外LEDの社会実装加速化事業」で5・0億円。高強度深紫外LEDについて、殺菌用途における実用化に向けた技術的な課題を解決するため、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が中心となり実運用を想定した研究開発を集中的に推進し、社会実装を加速化する。 大きな項目『成長分野における大胆な投資の促進』のうち「5G、光ファイバ等のデジタルインフラ整備事業」で38・4億円。このうち、「携帯電話等エリア整備事業」で10・0億円。条件不利地域において、携帯電話を利用可能とするためまたは5Gによる高度化無線通信を可能とするために地方公共団体や無線通信事業者等が携帯電話等の基地局及び伝送路施設を整備する場合に、国がその整備費用の一部を補助する。 同じく「高度無線環境整備推進事業」で28・4億円。条件不利地域等において、地方公共団体、電気通信事業者等による高速・大容量無線通信の前提となる伝送路設備の整備を支援。また、民設移行が困難なために地方公共団体が設備を保有したままで高度化を行う場合についても、その一部を補助する。 「地域デジタル基盤活用推進事業」で20・0億円。地方公共団体等によるデジタル技術を活用した地域課題解決の取組を加速・高度化させるため、地域の状況に応じて、効率的・効果的な導入・運用計画の策定、デジタル基盤の整備、ローカル5G等の新たな通信技術を活用した地域課題解決モデルの創出等を総合的に支援する。 「デジタル活用支援推進事業」で40・0億円。デジタル社会の形成に当たり、民間企業や地方公共団体等と連携し、高齢者等のデジタル活用の不安解消に向けて、スマートフォンを経由したオンライン行政手続等に対する助言・相談等を実施する「デジタル活用支援」について、きめ細やかな対応が可能となるよう取組を充実化する。 「デジタル・シティズンシップの総合的な推進事業」で2・5億円。ネット上の誹謗中傷やウクライナ情勢等による偽・誤情報の氾濫とその社会的影響が深刻化していることを踏まえ、偽・誤情報に対抗できる教材開発・講座実証や誹謗中傷等の被害に遭った際の対応策に関する国民への周知広報等、デジタル時代において情報を適切に判断し積極的に ICT を活用する考え方である「デジタル・シティズンシップ」の実現に向けた取組を推進する。 「テレワーク普及展開推進事業」で2・1億円。地方部が抱える複数分野にまたがる政策課題について、テレワークを活用し、横断的に解決するモデルを構築するための実証事業を実施する。 このほか「字幕番組、解説番組、手話番組等の制作促進」で0・9億円。生放送番組に対する字幕付与設備の整備を推進するため、必要な経費に対して国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を通じた助成を実施する。 「ICT海外展開パッケージ支援事業」10・0億円。5G基地局、光海底ケーブルシステムをはじめとする ICTインフラシステム、医療や農業などの分野におけるICTソリューション等について、「総務省海外展開行動計画2025」等に基づき、案件発掘、案件提案、案件形成といった各展開ステージにおける支援の実施により、わが国ICT企業の海外展開を促進する。 「放送事業者(4K)の新規参入等に係るBS右旋帯域の再編等に係る経費」で2・7億円。BS右旋帯域に生じる空き帯域への新たな4K放送の割当てにおいて、放送番組の休止や受信機のチャネル再設定といった影響を最小限に抑えた円滑な帯域再編のために必要な技術検証やテスト環境整備等を実施する。 「放送同時配信等における視聴履歴等の取扱いの適正化に関する調査研究」で4・7億円。放送のネット同時配信等における視聴履歴等の個人情報保護等のための取扱いルールにつき、インターネットの技術的特性や放送の価値、公共性を考慮しつつ、机上検討と並行して、当該ルールの実効性の検証を実施する。 「『新たな日常』の定着に向けたケーブルテレビ光化による耐災害性強化事業」で11・0億円。災害時に放送による確実かつ安定的な情報伝達が確保されるよう、条件不利地域等に該当する地域におけるケーブルテレビネットワークの光化等に要する費用の一部を補助する。