「レジリエントICT研究シンポジウム2022+」開催 NICT

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、徳田英幸理事長)は、東日本大震災を教訓に平成24年(2012年)に設立されたレジリエントICT研究センターの設立10周年を記念し、11月17 日にTKPガーデンシティ仙台30階(仙台市)で記念式典を開催した。また、耐災害ICT研究協議会との共催により「レジリエントICT研究シンポジウム2022+」を開催した。後援は国立大学法人東北大学、総務省東北総合通信局。記念式典では、耐災害ICT研究やその成果の社会実装の取組に功績のあった5名に、徳田理事長から感謝状並びに表彰状を授与した。また、「レジリエントICT研究シンポジウム2022+」では、防災、減災、国土強靭化に資する最新の情報通信技術の開発動向等を、国や研究機関の講師からの講演と機器展示により紹介した。 「レジリエントICT研究シンポジウム2022+」では、災害ICT研究協議会幹事の栁島智東北総合通信局長が次のように挨拶した。 このシンポジウムは災害ICT研究協議会およびNICTレジリエントICT研究センターの発足から10年の節目となることを記念して、東日本大震災を教訓とした耐災害ICTの研究活動の成果や社会実装の現状について皆さんと共有し、災害に強いまちづくりを推進することを目的に開催をするもの。 東日本大震災から11年が経過し、復興は着実に進展しつつある。令和3年度から令和7年度までは第2期復興創生期間に位置づけられており、東北総合通信局としても、関係機関と連携をしながら、原子力災害被害地域における避難指示解除に伴う住民の方々の帰還にあわせて、住民生活・地域経済に必要不可欠となる光ファイバーの整備であったりとか、それから共聴施設もしくは携帯電話といったICTインフラの復旧整備などの支援に取り組んでいるところだ。 言うまでもなく、わが国は地震だけではなく、台風それから線上降水帯といったような大雨が毎年のように発生しているということであり、ここ東北でも3月に福島県沖地震でまた被害を受けてしまったということもあり、4月からにかけてはかなり雨が降り続いたというようなことがある。 こういった災害の対応にはICTを有効に活用していくということが重要であるということで、これは平時からICTの耐災害性の強化、ICTインフラが被害を受けた場合に迅速に復旧できるような体制というものを整備しておくということが求められているわけである。こういったことを踏まえて、耐災害ICT研究においては、災害のフェーズに応じてさまざまなリモートソリューションやソーシャルネットワークサービスで研究の範囲を広げており、例えばNICTのレジリエントICT研究センターの研究成果の一つである防災チャットボットの「ソクダ」、AIを活用してSNSで市民から集めた情報を災害関連情報を自動で抽出集約し、被害者や自治体に提供するといったシステムが複数の自治体で導入されているということに至っている。 政府としてもICTのインフラを整備するという観点から、また、新型コロナ感染症の拡大を契機とした社会のデジタル化が加速する中で、デジタルを活用した地方の社会課題解決を図ることを目的として、デジタル田園都市国家構想を掲げ、防災・減災・国土強靱化についてもデジタルを活用して効率的に進めていくというようなことを目指している。 総務省においてもこのデジタル田園都市国家構想の実現に向け、本年3月にデジタル田園都市インフラ整備計画を策定公表している。これについては、東北総合通信局においても地域協議会を発足させて、これを通じてデジタル活用を考える光ファイバーもしくは5GといったICTインフラの整備への支援に取り組んでいるところである。 加えて、東北総合通信局においては災害時の通信サービス確保に必要となる通信事業者間の連携強化、支援こういった取り組みのほか、耐災害ICT研究の成果を自治体に導入してもらえるよう、関係者とともに積極的に連携しながら取り組みを進めているところだ。 このシンポジウムが耐災害ICT研究の推進、自治体等による研究成果の導入などを通じて、災害に強いまちづくりなど、地域の災害対応能力の向上につながることを期待している。(全文は11月28日付1面に掲載)