深紫外LED、鉄道車内の空気殺菌効果に期待

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、徳田英幸理事長)未来ICT研究所の井上振一郎室長らの研究グループは、旭化成株式会社(工藤幸四郎代表取締役社長)と共同で、発光波長265 nm帯の高強度深紫外LEDを搭載した鉄道車両用空気殺菌モジュールを開発し、静岡鉄道株式会社の実運行中の鉄道車両内への搭載を実証したと明らかにした。
公共交通機関における衛生管理の重要性が高まる中、特に鉄道車両のような多数の人々が密閉された空間で長時間を過ごす環境では、エアロゾル感染のリスクを低減することが喫緊の課題となっている。さらに、持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷や消費電力の少ない殺菌技術の開発が期待されている。
 深紫外線による殺菌応用では、従来、光源として水銀ランプが使用されてきた。しかし、人体や環境に有害な水銀を含むため、その早期廃絶が求められているという。また、水銀ランプは、割れやすく、光源のサイズや駆動電源が大掛かりになるなど、鉄道車両へ搭載するような用途には適していなかった。
 一方、深紫外LEDは、小型・低環境負荷・長寿命などの優れた特性を有するものの、これまで、水銀ランプに比べると光出力がはるかに小さなものしかなく、鉄道車両のような広い空間内の空気を殺菌しようとした場合、その実用性に課題があった。
 これらの課題を解決するため、水銀ランプに匹敵する高強度深紫外LED技術を有するNICTと、深紫外LEDの量産やアプリケーション開発において実績を有する旭化成が共同で、鉄道車両用の低環境負荷・省電力な高強度深紫外LED空気殺菌モジュールを開発した。
 (全文は2月19日付紙面に掲載)

この記事を書いた記者

アバター
kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。