SecHack365成果発表会開催

 セキュリティイノベーターとして情報セキュリティの様々な課題に切り込む人材育成を目的とした長期ハッカソン「SecHack(セックハック)365」(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)主催)の2024年度成果発表会が、3月9日、アキバ・スクエア(東京都千代田区外神田4丁目14―1)で開催され、受講生39人が約1年間の研究成果を披露した。
 ハッカソンは、ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせて造られた造語で、ITエンジニアやデザイナーなどが集まってチームを作り、特定のテーマに対してそれぞれが意見やアイデアを出し合う。そこから決められた期間内でアプリケーションやサービス等を開発し、その成果を競い合うイベント。
 SecHack365は、〝SECURITY + HACKATHON 365 DAYS〟を意味する名称で、25歳以下を対象に、セキュリティイノベーターとしてセキュリティのさまざまな課題にアイディアで切り込める人材を育成する365日間の長期ハッカソンを通じたモノづくりの場として2017年度から開催。8回目を迎え、これまでに延べ300人を超える修了生を輩出してきた。
 毎年4~5月に受講生の応募があり、今年度は100人以上の応募から選抜された39人が参加。受講生らは「クリエイティブとセキュリティの両立」を目標に、NICTをはじめ、大学や企業など様々な分野で活躍する研究開発・セキュリティのスペシャリスト からなる専門家集団(トレーナー)の助言を得ながら、サイバーセキュリティの課題解決につながる実践的な研究開発に取り組んできた。
 この日は、受講生が個人やチームとして取り組んできた作品34作品をそれぞれブース展示したほか、特に優秀と認められた6作品を壇上で来場者を前に発表。また研究テーマごとに表現駆動、学習駆動、開発駆動、思索駆動、研究駆動に分かれた各コース紹介や過去の修了生によるワークショップ等も開催された。
 開会あいさつに臨んだ総務省サイバーセキュリティ統括官の山内智生氏は、「皆さんが狭い難関を潜り抜けた才能があると認めたうえで色んな悩みをメンターから助言いただいて今に至るということを経験として振り返って欲しい。その経験はこれからの飛躍にきっと役に立つ。セキュリティにも色々な分野があり、今興味あるところをぜひ伸ばして欲しい。ただしインターネットの世界は今も拡張を続けており、ぜひ横にも目を向けて関心を広げていただくことで、きっと皆さんが気付いて才能を開花できる場所が他にも出てくることを深く期待している。総務省はNICTともども今後もセキュリティの人材育成に取り組んでいきたい。トレーニーを応援する輪が広がること、目指す輪が広がること、供給側であるトレーナーがさらに増えることを期待している。セックハックで得た知識、技術、仲間、高い倫理観をもってぜひこれからもご活躍いただきたい」と話していた。
 広域負荷分散システム「GSLB」をテーマとした作品が優秀作品に選ばれた、神奈川県川崎市の中学3年生、川杉倫太郎さん(15)は、「GSLBの技術が好きで頑張って作りこんだ。開発経験もない状態で参加したが、いろんな人がいることを知ることができ、いろんなコミュニティに参加することができて良かった」と話していた。
(全文は3月14日付紙面に掲載)

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。