
脳活動で好みの香り予測に成功、NICT
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、徳田英幸理事長)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター(CiNet)の奥村俊樹研究員、黄田育宏副室長と、ライオン株式会社による研究グループは、脳活動から好みの香りを主観評価よりも高い精度で予測することに成功したと明らかにした。香りを用いた製品の開発・評価における客観的指標としての応用に期待できるという。
自分にとっての価値や好みを判断することは、購買行動における重要な要素の一つとされている。しかし、特に香りを用いた製品の場合、実際に何度か使用してみないと、本当に自分に合うかどうかを判断するのは難しい。先行研究では、商品の画像を呈示した際の脳活動から商品選択を予測する研究や、曲を聴いている間の脳活動からその曲の売上を予測する研究が行われており、これらの結果から、脳活動には潜在的な情報が反映される可能性が示唆されている。このことから、香りを用いた製品においても、主観的な評価に依存せず、より信頼性の高い好みの指標が脳活動に表れる可能性が考えられる。
NICT CiNetの奥村研究員と黄田副室長は、ライオンと共同で、柔軟剤の香りに焦点を当てる実験を実施した。
実験では、普段から柔軟剤の香りを重視して、自ら柔軟剤を選んで購入し、日常的に使用している一方で、今回の実験で使用される3種類の柔軟剤は使用したことがない女性25名を対象に実施した。
実験初日に機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging, fMRI)を使って、3種類それぞれの柔軟剤の香りを嗅いでいる際の脳活動を計測し、主観的好み(好きか嫌いか)の評定を行った。その後2週間にわたり、3種類の柔軟剤を自宅でそれぞれ2回ずつ使用してもらい、最も気に入った柔軟剤を一つ選択してもらった。
初日の脳活動計測時に行った、主観的な好みの評定に基づく柔軟剤の予測は約50%であり、偶然に選んだ場合と変わらない精度だった。これは、主観的な好みの評定からは柔軟剤の選択を予測することはできなかったことを示している。
(全文は4月25日付紙面に掲載)
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