30年度総務省所管予算(案) 「4K・8K等の推進」で12・8億円
総務省は平成29年12月22日、平成30年度総務省所管予算(案)の概要を公表した。一般会計では30年度予定額が16兆969億円で、29年度予算額が16兆1772億円だったので前年度と比べると0・5%減、803億円のマイナスとなった。東日本大震災復興特別会計(総務省関係分)は、30年度予定額が3270億円で、29年度予算額が3443億円だったので前年度と比べると5・0%減、173億円のマイナスとなった。 30年度予算(案)における主要事項をみると、「Ⅰ 地域経済の好循環の拡大と地方の一般財源総額の確保」のうち「1、自立促進に向けた取組」で35・7億円。同じく「2、地方の一般財源総額の確保等」で16兆1984億・2億円。 「Ⅱ ICTによる経済成長の実現」のうち「3、サイバーセキュリティの強化、ICTの安心・安全の確保」で234・4億円。このうち「(1)サイバーセキュリティの強化」で24・2億円(29年予算額18・8億円)。(1)のうち「(a)セキュリティ人材の育成・強化」で15・1億円(15・0億円)。サイバーセキュリティの確保を担う人材の育成に早急に取り組むため①国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人、重要インフラ事業者等に対するサイバー攻撃について、実践的なサイバー防御演習②2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の適切な運営に向けたセキュリティ人材の育成③若手セキュリティエンジニアの育成を実施する。主な経費はナショナルサイバートレーニングセンターの構築で15・1億円。「(b)IoTセキュリティ総合対策の推進」で6・0億円(3・8億円)。「(c)サイバー攻撃誘引基盤の構築」で280・3億円の内数(新規)。「(d)衛星通信における量子暗号技術の研究開発」で3・1億円(新規)。 3の項ではこのほか「医療機関における安全な電波利用の推進」で12・5億円(12・8億円)。医療機関における安心・安全な電波利用環境を整備するため、電波が人体や医療機器等に与える影響についての調査を実施するとともに、全国代表者会議/地域協議会を通じた周知啓発活動等の取組を推進する。主な経費は電波の安全性に関する研究及び評価技術で9・9億円。周波数の使用等に関するリテラシーの向上で2・7億円。 ◇ Ⅱの項での「4、世界最高水準のICT環境の整備」で640・5億円。このうち「(1)5G、4K・8K、光等の世界最高レベルのICT基盤の実現」で480・3億円(467・8億円)。(1)の中で「(a)第5世代移動通信システム(5G)の実現に向けた取組の推進」は165・1億円の内数(171・3億円の内数)となった。2020年の第5世代移動通信システム(5G)実現に向けて、第5世代モバイル推進フォーラム等の場も活用し、5Gの普及に向けた産学官連携による研究開発とともに、様々な産業分野への利活用による新たな市場創出や、社会的課題の解決を目指した総合実証等の取組を強力に推進する。主な経費は電波資源拡大のための研究開発等で165・1億円の内数。「(b)AIによるネットワーク自動最適制御技術等の研究開発の推進」で5・8億円(0・3億円)。「(c)革新的光ネットワーク技術研究開発の推進」で9・5億円(5・0億円)。「(d)電波資源拡大のための研究開発及びNICTによる基礎的・基盤的な研究開発等の推進」で452・1億円(450・3億円)。 「(e)4K・8K等の推進」では12・8億円(12・1億円)。4K・8K等の高度な映像等の放送やインターネット配信技術の社会実装の実現のため①4K・8K衛星放送に係る高度なサービスの実現に向けた技術の実証②放送番組の安定的なネット同時配信を可能とするためのトラヒック需要の推計等③ケーブルテレビによるIPネットワークを活用した放送技術の実証を実施する。主な経費は次世代映像配信技術に関する実証で4・5億円(新規)。条件不利地域等における4K・8Kの送受信環境等確保のためケーブルテレビ網の光化等の支援を実施する。このほか放送ネットワーク整備支援事業で3・3億円の内数。衛星放送用受信設備からの中間周波数の漏洩対策などの4K・8K放送の受信環境整備支援を実施する。衛星放送用受信環境整備事業は8・3億円。 「(2)2020年代に向けた電波利用環境の整備」では165・1億円の内数(171・3億円の内数)。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会で多数の様々な無線システムを使用可能とするための周波数確保や、新たなビジネス・イノベーションの創出を見据え、官官・官民を含む周波数共用等、周波数の有効利用を一層促進するための環境整備を推進する。主な経費は電波資源拡大のための研究開発等で165・1億円の内数。このほか「(3)グローバルコミュニケーション計画の推進で7・0億円(12.6億円)。「(4)ICTによるイノベーションの創出で18・0億円(18・2億円)。「(5)Connected Car社会実現に向けた取組の推進」で165・1億円の内数(171・3億円の内数)。世界最先端の安全・安心・快適なConnected Car(5G等のネットワーク、ビッグデータ、AI等の進化により、いろいろな人やモノ、データとの有機的な結合を可能とするクルマ)社会の実現に向けて、必要となる無線通信技術等の試験を実施し、導入に向けた制度整備等を推進する。主な経費は電波資源拡大のための研究開発等で165・1億円の内数。「(6)地域のICT基盤整備(ブロードバンド・モバイル・Wi―Fi等)」で121・3億円(145・1億円)。「(7)戦略的な国際標準化の推進」で13・9億円(13・8億円)。 このほかⅡの項でみると「5、生産性向上につながるIoT・ビッグデータ・AI・シェアリングエコノミー等の活用推進・人材育成」で35・6億円。「6、医療・介護・健康、教育、移動サービス等におけるICTによる課題解決」で14・7億円。「7.海外展開・国際的な政策連携」で66・0億円となっている。
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