関東総通局、「IoT導入支援セミナーin横浜」を開催

 総務省関東総合通信局(黒瀬泰平局長)と横浜市経済局は、公益財団法人横浜企業経営支援財団との共催で、9月20日に神奈川中小企業センタービル(横浜市中区)で、「IoT導入支援セミナーin横浜」を開催した。後援は神奈川県中小企業団体中央会。 このセミナーは、総務省「IoT機器等の電波利用システムの適正利用のためのICT人材育成事業」として、IoTの導入・利活用を行うユーザー企業等において、電波の特性も踏まえつつ、IoTを利活用できる人材を育成することを目的として開催した。IoTの基礎知識を網羅的かつ分かりやすく解説し、ワークショップで具体的に検討するなど、IoT導入のきっかけとなることを目的とした。今回は主に中小企業から、60人が参加した。 開会にあたって黒瀬関東総合通信局長が主催者挨拶を行った。「総務省では、IoTネットワーク運用で人材育成事業を推進している。本日のセミナーでは、IoTの基礎知識としてIoTとは何か、IoTの技術・関連法制度、導入する場合の検討手順等を学んでいただく。その後、参加者同士でグループディスカッションを行うなどして、理解を深めていただければと思う」と述べた。 同じく主催者挨拶で平沼英子横浜市経済局中央企業振興部長が行った。「本日は、総務省の関東総合通信局と初めて共催させていただくセミナーとなった。横浜市経済局では、昨年4月、業種や企業規模の枠組みを超えてIoTビジネスを目指すプレーヤーの〝連携〟を実践する場『IoTオープンイノベーション・パートナーズ』、通称『アイトップ横浜』を立ち上げた。IoTやAIな先端技術を活用して、新たなビジネスモデル創出や社会課題解決への貢献、中小企業のチャレンジ支援を目指して進めているところだ。340もの企業・団体が参加していただいている。皆さん集まっていただいている中で、さまざまなアイデアを出し合っていただいて、いろいろなことを解決していこうと、例えば自動運転プロジェクトやサイバーセキュリティプロジェクト、ドローンプロジェクトなどを立ち上げ推進しているところだ。今年の7月にオープンフォーラムを開催したところ、多くの市民の方に参加いただき、AIやIoTへの関心の高さがうかがえた。皆さまにとって身近なテーマが中小企業のIoT導入ではないかと思う。横浜市経済局では中小企業のIoT導入を支援する『IoT導入スタートアップ補助金制度』の申請を受け付けている。今回のセミナーでは、IoT導入先端企業からの講演もあるので参考にしてほしいと思う」と述べた。 続いて講演に入って、NTTラーニングシステムズの小島琢矢氏が次の内容で述べた。【第1章】IoTの基礎知識(IoTとは何か? ~IoTのイメージをつかもう~)では、 IoTの導入、利活用による効果やIoTの導入、利活用の例を紹介した。 続いて、IoT導入先端企業における事例紹介として、紙器事業、輸出梱包事業を行う太洋(横浜市港北区)の田原浩一氏が「~中小製造業におけるIoT導入先進事例の紹介~ 段ボール製品製造におけるIoT・デジタル化対応」と題して講演した。IoT・デジタル化による改善効果について「それまで工場がシステム化されていなかった時は、生産指示が紙ベースであるため手間がかかったり、生産実績を現場で手入力しているため手間がかかる、得意先からの問い合わせのたびに現場へ確認しに行く作業が発生するなど、現場がアナログ管理であるため正確性、リアルタイム性に欠け作業効率が良くなかった。改善後は例えば、生産予定リストによる全体進捗の見える化が実現した。各ラインをクリックすることによりデジタル仕様書を提示できるようになった。事務所と工場のシームレス化が図られて、事務所から工場へ確認に行く手間が削減し、事務所作業の効率がアップした」と述べた。 このほか、稼動状況の自動計測では、機械の通紙枚数を本機のカウンタと信号ケーブルで接続し、自動的に取り込むことで、正確な生産実績を自動的に収集できるようになった。オペレータの作業負担軽減や実績情報の正確性アップ、分析力アップでさらなる生産性向上につながったという。「まとめるとIoT・デジタル化による改善で、生産管理の向上や間接作業の低減、不良率の低減につながった。工場の見える化や省力化を実現した。さらには品質向上によって顧客の満足度向上にも貢献している」と話した。 再び小島氏が次の内容で講演した。【第2章】IoTの技術・関連法制度(もっと知りたいIoT ~IoTの技術を知ろう~)では、IoTの技術、電波の有効利用、IoTのセキュリティ対策、IoT関連の標準化動向などを紹介した。 【第3章】IoTの活用(自社でIoTを活用するには? ~IoTの導入手順を知ろう~)では、IoT導入の進め方や、自社のビジネス課題とIoTによる解決策の検討を紹介した。続いて、グループ分けされた参加者がワークショップで、IoTによるビジネス課題の解決策の検討を行った。 続いて、国、神奈川県からIoT施策の紹介があった。