デジタル時代の放送の将来像 総務省
総務省は、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(座長・三友仁志早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)において策定された「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(案)」について、7月19日まで意見募集を行い、今後、取りまとめる。 総務省は、令和3年11月8日から「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」を開催し、ブロードバンドの普及やスマートフォン等の端末の多様化等を背景に、デジタル化が社会全体で急速に進展する中、放送の将来像や放送制度の在り方について、中長期的な視点から検討を行ってきたもの。同(案)のうち、「放送コンテンツのインターネット配信の在り方」では『今後本格化していく放送に準じた公共的な取組を行う放送同時配信等の取組がキーとなる』と指摘。「誰もが目を通すメディア」(プラットフォーム)に放送コンテンツが提供されることが重要として、プラットフォームにおいて平時から必要な情報が必要なときに得られることや、地域性を考慮した地域情報等が提供されることを提言した。「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(案)」のうち、「放送コンテンツのインターネット配信の在り方」の項では、序文として『インターネットを含めて情報空間が放送以外にも広がる中、国民の「知る自由」を保障し、「社会の基本情報」の共有や多様な価値観に対する相互理解の促進といった社会基盤としての役割を果たすことで、健全な民主主義の発達に貢献し、情報空間全体におけるインフォメーション・ヘルスを確保する観点から、取材や編集に裏打ちされた信頼性の高い情報発信、「知る自由」の保障、「社会の基本情報」の共有や多様な価値観に対する相互理解の促進といった放送の価値をインターネット空間にも浸透させていくことが重要となっており、今後本格化していく放送に準じた公共的な取組を行う放送同時配信等の取組がキーとなる』とまとめた。 次に今後の方向性をみると「放送に準じた公共的な取組を行う放送同時配信等を後押しする方策」を掲げて、具体的には『放送事業者における放送コンテンツのインターネット配信については、各放送事業者の経営判断によって行われるものであるが、自らの意思により、災害情報・地域情報等の発信、視聴履歴の適切な取扱い等、誰もが安心して視聴できるという信頼を寄せることができる放送に準じた公共的な取組を行う放送同時配信等については、視聴者利便の観点や法的観点も含め、その取組を後押しする方策を今後具体的に検討していくべきである』と記した。 さらに『その際、放送同時配信サービスは放送の補完であることに留意し、コストや普及の実現性等を考慮し、公共性を求め過ぎることにより、サービス普及自体に支障が生じないよう、輻輳や遅延等の発生による品質の低下等をある程度許容すべきである。特に、「誰もが目を通すメディア」(プラットフォーム)に放送コンテンツが提供されることが重要である。災害時に「誰もが目を通すメディア」としてあり続けるためにも、当該プラットフォームにおいて平時から必要な情報が必要なときに得られることや、地域性を考慮した地域情報等が提供されることが重要であり、当該プラットフォームにおいて、操作性や利便性の観点から、例えば、普段からテレビで放送コンテンツのインターネット配信を簡便に視聴できるようにすること、放送事業者との連携による放送コンテンツの充実・強化、視聴者が一定の信頼性を有するコンテンツをその他コンテンツと区別できる形での提供、事業機会を毀損する違法投稿の監視・排除の厳格化など、公共的役割を担う放送コンテンツがより視聴されるための取組についても今後具体的に検討していくべきである』と提言した。 加えて『ただし、プラットフォームの活用方法についても、インターネット配信が各放送事業者の経営判断によるものであることに留意して検討していくべきである』とも記した。
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ