「地域におけるIoTの学び推進事業」 ヒラメキICTクラブが八潮学園で
総務省は、今年度から「地域におけるIoTの学び推進事業」を実施している。具体的には、各地域で子供・学生、社会人、障害者、高齢者等がモノづくり、デザイン、ロボット操作、ゲーム、音楽等を楽しく学び合う中で、プログラミング等のICTに関し世代を超えて知識・経験を共有する仕組みとして、「地域ICTクラブ」を展開しているもの。 総務省関東総合通信局管内では、「ヒラメキICTクラブ」(代表団体=一般社団法人全国中学校理科教育研究会支援センター)が、教員OBの経験を活かし、学校の外部支援組織と連携したモデルの構築を実施(実施地域は東京都品川区、八王子市、横浜市神奈川区の4小学校、東京都吉祥寺の地域コミュニティセンター)。総務省および関東総合通信局は、10月11日に行われた品川区立八潮学園(品川区八潮5―11―2)での同活動の公開講座を視察し、その模様を報道に公開した。 「『地域におけるIoTの学び推進事業』実証のねらいのひとつは『ICT人材育成』です。産業界から人材不足の指摘がある中、ICT人材育成を支援し、すそ野を広げていくことです。さらに、2030~40年に向けた情報通信政策ビジョン『未来をつかむTECH戦略』では、『人づくり』の観点から、年齢・性別・障害の有無・国籍・所得等に関わりなく、豊かな人生を享受できるインクルーシブな社会の実現を目指す旨が掲げられています。そのスマートインクルージョン実現に向けて、『地域ICTクラブ』は地域のICTを支え合う〝ハブ〟の役割を果たしてほしいと考えています」(総務省情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室)。 今回の実証概要は『地域コミュニティと支援団体による協議会を組織。参加者の〝ヒラメキ〟を現実空間で動く「形」として表現するプログラミング活動。基礎レベルを5拠点ごとに、その発展として応用レベルの講座を大学の施設を活用して実施」である。 「ヒラメキICTクラブ」の公開講座は午後4時にスタートした。小学6年生23人が参加した。同じテーブルの2人1組のグループにメンター1人が入った。工作内容は「MESHで便利グッズづくり」。ソニーの「MESH」は小さな、ブロック形状の電子タグ。MESHタグは、それぞれ動きセンサー/ライト/ボタン/明るさセンサーなどのさまざまな機能を持ち、無線でMESHアプリとつなげることができる。タブレット端末も使って作品を仕上げるプログラムだ。 この講座は5日間の日程で、初日は「基本操作と基本ブロックの技能習得」、2日目は「ソフトウェアブロックの技能習得とモノづくり構想」、3日目は「モノづくり制作」、4日目は「モノづくり完成と相互発表」、5日目は「GPIOブロックの機能習得」で、当日は4日目の講座だった。3日目で制作を始めていたので、この日は仕上げにかかった。 子供たちはみんな、眼を輝かせながら熱心に工夫を凝らしながら工作して、メンターは見守り役を務めた。パートナーと相談しながら作品を仕上げていった。続いて発表会に入って、1グループ持ち時間3分で、実際に作品を動かしながら、作品名やなぜこれを作ろうと思ったか、どんなことができるのか、工夫したところ、改良したらもっと良くなると思ったところを発表した。他の人は良かったところ、工夫してほしいところを書いて提出した。主な作品名を紹介すると「ビー玉ジェットコースター」「防犯スピーカー」「目覚まし花火」「クラッカー」「防犯スイッチ」「双六」「地震感知マシーン」「温度計」。 全国中学校理科教育研究会支援センターの高畠勇二代表理事は「『ヒラメキICTクラブ』の強みは、メンターが教員経験者で子供たちの扱いに慣れている点です。各地域みんな〝色〟が違います。いろいろなパターンで、いかに地域とつながっていくかがこの事業の鍵となります。活動の中心は、モノづくりを通して必要なプログラミングの技術や考え方を学ぶことですが、ポイントは子供たちが〝楽しめること〟。大切なのは、やってみようかなという気持ちです。地域に〝痕跡〟を残す事業にしたいと思っています」と述べた。
この記事を書いた記者
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