「総務省海外展開行動計画2025」を策定

 総務省は、わが国の海外展開を取り巻く状況や環境の変化等を踏まえ、海外展開施策に関し、2025年に向けて重点的に取り組む分野をより明確化する観点から、「総務省海外展開行動計画2025」を策定した。 総務省では、情報通信、郵便、消防、統計、行政相談等の幅広い分野において海外展開を推進し、世界各国が有する課題解決への貢献を図るとともに、わが国事業者の海外展開の支援や国内経済の活性化等に寄与してきたところだ。 他方、わが国の海外展開を取り巻く状況等に目を向けると、新型コロナウイルス感染症の世界的流行とそれに伴うポストコロナ時代を見据えたデジタル技術への期待の高まりのほか、国際情勢の変化に伴うサプライチェーンリスク及びサイバー空間におけるセキュリティ確保への懸念が顕在化し、世界的な気候変動問題への貢献も重要性が増している。 このほど、このような観点を踏まえ、総務省として2025年に向けて重点的に取り組むべき海外展開に係る分野の特定をはじめ、海外展開施策の基本的方針及び講じるべき具体的な措置について取りまとめた「総務省海外展開行動計画2025」を策定したもの。 これまでの取組をみると、「総務省海外展開行動計画2020」等に基づき、デジタルインフラや利活用、国民サービス向上などの海外展開分野を推進していた。 「海外展開行動計画2025」のポイントは①海外展開を取り巻く情勢の変化②基本理念及び「10の重点分野」の特定③「海外展開手法のブラッシュアップ」―である。 ①は▽新型コロナウイルス感染症の世界的流行による社会経済活動の停滞に伴い、ポストコロナの経済復興に向け基盤としての「デジタル」への大きな期待▽サプライチェーンリスクやサイバー空間におけるセキュリティ確保への懸念が顕在化しており、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け、同志国など国際連携の強化が必要▽SDGsの達成に向け、デジタル技術の活用による気候変動問題への対応(グリーン化の推進)の必要性が増大―である。 ②は▽これらの海外展開を取り巻く情勢の変化を踏まえ、「長期的視点に立ったグローバル競争力強化」、「内政・外交方針との整合性確保、国際協調の重視」、「SDGsの達成(持続可能な開発への貢献)」を基本理念とし、2025年に向けて海外展開に関する取組を特に強化すべき10の重点分野を特定▽東南アジア、大洋州、南アジア、中央アジア、北米、中南米、欧州、中東、アフリカにおいて、国・地域の特性に応じ、着実かつ積極的な展開・国際連携を実施―である。 ここで「地上デジタル放送」の記述は『地デジ日本方式は、2006年にブラジルで採用されたのをきっかけとして、日本を含め20か国で採用されている。今後は日本方式採用国におけるアナログ放送から地上デジタル放送への着実な移行を進めるため、ODA等も活用しながら当該移行に向けた支援及びフォローアップを行うとともに、日本方式採用国に対してわが国企業の製品(地デジ送信機・関連システム)の導入に向けた働きかけを実施する必要がある』としている。 『放送コンテンツ』の記述は『放送コンテンツの海外展開及びそれを通じたソフトパワーや地域からの情報発信を強化するため、海外展開に積極的に取り組む放送事業者や制作会社等との連携の下、わが国コンテンツの海外への効果的な訴求を可能とするオンライン共通基盤の整備や、グローバルな視点を持ったコンテンツ人材の育成等、新たな環境の変化を踏まえた方策を検討する。これらの取組を通じて、わが国の放送コンテンツ関連海外売上高の成長率について、世界の映像コンテンツ市場(年平均成長率約8%(予測))以上に引き上げ、2025年度までに海外売上高を1・5倍(対2020年度比)に増加させる』とした。 特定した10の重点分野は、Open RANを中心とした5G/ローカル5G等のブロードバンド整備、光海底ケーブル、データセンター/インフラシェアリング、ICTソリューション(医療、農業、準天頂衛星、スマートシティ等)、地上デジタル放送、放送コンテンツ、サイバーセキュリティ、郵便、消防・防災、制度等含むソフトインフラ(行政相談、統計制度等)。 ③は各国との政策対話を活用した総務省ハイレベルによる積極的なトップセールス、協力覚書を活用した案件の盛り込み、要人来日時の働きかけ等のほか、次の取組を実施する。▽海外展開支援予算施策の強化▽官民ファンドJICTの活用・連携の強化▽デジタル海外展開プラットフォームの機能強化▽国際機関への積極的な関与とマルチ関係・国際会議の活用―である。