総務省 電波利用状況の評価結果
総務省は、令和2年度電波の利用状況調査に基づき、電波の有効利用の程度の評価を行い、その結果をまとめた「令和2年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」について5月22日(土)から6月21日(月)までの間、意見募集を行った。その結果を踏まえ、7月14日、電波監理審議会(会長・日比野隆司大和証券グループ本社取締役会長兼執行役、大和証券取締役会長)へ諮問したところ、原案を適当とする旨の答申を受けたことから、令和2年度電波の利用状況調査の評価結果、意見募集の結果等を公表した。令和2年度電波の利用状況調査の評価の概要は次の通り。 ◇今回調査の714MHz以下の全体的な調査結果▽714MHz以下の全体の無線局数は前回調査時の411万1390局から415万8061局に増加している▽周波数区分ごとの無線局数の割合を見ると、335・4MHz超714MHz以下の割合が最も大きい▽周波数区分ごとの無線局数の局数の推移において、平成26年度から令和2年度にかけて、222MHz以下の周波数区分では無線局数が減少しており、222MHz超の周波数区分では、無線局数が増加している▽各総合通信局等における無線局数の推移において、関東局、近畿局、九州局、沖縄事務所の無線局数は増加傾向にあるものの、その他の総合通信局は平成29年度と比較して無線局数が減少している―となった。 ◇26・175MHz以下の周波数帯【調査結果のポイント】▽電波利用システムごとの無線局数の割合は、アマチュア無線HFが66・11%(19万6831局)、アマチュア無線MFが32・10%(9万5578局)を占め、アマチュア無線LFを含むアマチュア局が98・31%(29万2702局)を占めている▽大半の割合を占めるアマチュア無線HFが11・6%(2万5915局)減少しており、全般的な無線局数としては漸減傾向にある▽ラジオ・ブイ(無線標定移動局)HFが17・0%(141局)減少、航空無線(航空機局)HFが30・5%(141局)増加するなど大きく変動しているものがあるものの、おおむね横ばいで推移している【評価結果のポイント】▽本周波数区分は、波長が長く長距離伝搬が可能であることから、アマチュア無線のほか、古くから洋上での船舶通信、航空通信や中波放送、短波放送等に利用されている▽全般的な無線局数は漸減傾向にあるものの、これらの電波利用システムは国際的にも同様に利用されており、国際的な動向も踏まえると、おおむね適切に利用されている。 ◇26・175MHz超50MHz以下の周波数帯【調査結果のポイント】▽電波利用システムごとの無線局数の割合は、アマチュア無線28MHzが81・26%(20万3142局)、船舶無線(船舶局・特定船舶局)27MHzが15・28%(3万8194局)を占めている▽大半の割合を占めるアマチュア無線28MHzが11・0%(2万5099局)減少していることをはじめ、全般的に漸減傾向にある【評価結果のポイント】▽本周波数区分は、アマチュア無線のほか、比較的長距離の通信が必要な船舶通信等に使用されており、今後、需要が大きく増減する可能性は低いものと考えられる▽全般的な無線局数の漸減傾向は継続するものの急激な周波数移行は見込まれず、一定の需要が続く帯域であることを踏まえると、適切に利用されている。 ◇50MHz超222MHz以下の周波数帯【調査結果のポイント】▽電波利用システムごとの無線局数の割合は、アマチュア無線145MHz及び52MHzを合わせると53・43%(57万9819局)が半数強を占め、残りの半数弱をFM放送や防災行政無線、航空無線等100を超える多様なシステムが利用している▽アマチュア無線以外の電波利用システムでは、市町村防災用同報無線が減少(2280局⇒1891局)、ガス事業用無線が減少(8043局⇒7095局)など、60MHz帯、150MHz帯の固定系・移動系アナログ無線を中心に減少が見られる一方、市町村防災用同報デジタル無線の増加(3741局⇒4915局)の他、ガス事業用デジタル無線が増加(0局⇒1478局)、公共ブロードバンドが増加(16局⇒195局)するなど、150MHz帯の移動系デジタル無線や公共ブロードバンドが増加している【評価結果のポイント】本周波数区分は、伝搬特性がよく比較的長距離の通信に適していること、機器の小型化が容易であることから、公共分野の自営通信、航空通信、船舶通信、FM放送といった様々な用途で利用されている▽公共ブロードバンド、150MHz帯移動系デジタル無線や、市町村防災用同報無線など、デジタル化が一定程度進展している▽防災無線、災害対策・水防用無線をはじめとする電波利用システムの重要度の高さから判断すると、おおむね適切に利用されている▽アナログ方式の無線局は、機器の更改のタイミングで、徐々にデジタル化や周波数移行が進展しており、より一層、周波数の有効利用に資する取り組みを行う必要がある。 ◇222MHz超335・4MHz以下の周波数帯【調査結果のポイント】▽電波利用システムごとの無線局数の割合は、消防用デジタル無線が52・1%(8万509局)、市町村防災デジタル無線が38・2%(5万8958局)、県防災用デジタル無線が4・5%(6919局)といった公共業務用無線が、大半を占めている▽260MHz帯は、150MHz帯消防用無線、150MHz帯、400MHz帯の防災行政無線の移行先として活用されており、デジタル方式の比率が増加している。(消防用無線62・5%⇒60・5%、市町村防災無線54・8%⇒61・2%、県防災無線62・5%⇒74・0%)▽260MHz帯のその他公共業務用無線(1217局⇒2664局)が伸びている一方で、消防用、市町村防災用、県防災用のデジタル無線については伸び率が落ち着いてきている。(消防用188%⇒2%、市町村防災用34%⇒5%、県防災用75%⇒19%)▽その他の電波利用システムについては横ばいが続いており、需要に大きな変化は見られない。【評価結果のポイント】▽本周波数区分は、伝搬特性がよく中長距離の通信に適していること、機器の小型化が容易であることから、主に公共分野の自営通信、無線呼出、航空通信、航空無線航行等で利用されている▽消防用デジタル無線、市町村防災デジタル無線、県防災用デジタル無線及びその他公共業務用の無線局数が増加傾向にあることから、着実にデジタル化が進展しており、適切に利用されている。 ◇335・4MHz超714MHz以下の周波数帯【調査結果のポイント】▽電波利用システムごとの無線局数の割合は、350MHz帯及び460MHz帯のデジタル簡易無線の合計で41・48%(98万4558局)、簡易無線400MHzが17・73%(42万929局)、アマチュア無線435MHzが15・49%(36万7565局)を占めている▽市町村防災用無線が減少(3万5747局⇒2万6752局)するなど、400MHz帯の固定系・移動系の公共用アナログ無線については減少傾向が続いており、デジタル化が進んでいる▽水防道路用無線は全無線局(15局)が移行完了予定であり、タクシー無線は73・6%(67局)の無線局で移行等の計画を定めている。 【評価結果のポイント】▽本周波数区分は、タクシー無線、列車無線といった移動通信システムに加え、アマチュア無線、地上デジタルテレビ放送など、一般に身近な分野で多種多様な電波利用システムに利用されている▽デジタル簡易無線350MHz(登録局)が62・2%増加(37万8831局⇒61万4520局)、デジタル簡易無線460MHzが52・6%増加(24万2524局⇒37万38局)する等、デジタル化が進展している▽400MHz帯の固定系・移動系の公共用アナログ無線は、260MHz帯へ周波数移行し、デジタル化が進展している▽無線局数はやや増加傾向にあり、多種多様な電波利用システムの重要性から判断すると、おおむね適切に利用されている。
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