総務省とNICT、「起業家甲子園」全国大会を開催
総務省と国立研究開発法人情報通信研究開発機構(NICT)は、3月11日に丸ビルホール(東京都千代田区)で、ICTスタートアップとして起業を志す熱意ある学生がビジネスプランを競い合う「起業家甲子園」全国大会を開催した。後援は日本商工会議所、東京商工会議所、日本弁理士会、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会ほか。11チームが学生プレゼンテーションを行い、最も優れたビジネスプランの発表者に対して贈られる総務大臣賞は、沖縄地区代表の「チームまごころポスト」(明治大学・慶應義塾大学・読谷高校。代表・津覇誉一さん〈明治大学〉、担当メンター・上原仁マイネット社長)の事業名「まごころポスト」が授与された。審査委員特別賞にはチーム「Healtz」(九州大学、代表・松原由造さん、担当メンター・中嶋淳アーキタイプ代表取締役)の事業名「薬剤師監修で必要なものを必要な量購入できるオーダーメイドサプリメント販売サービス」が選ばれた。 「起業家甲子園」は起業家候補生によるビジネスプランコンテスト全国大会。 総務省とNICTは、革新的な技術やサービスを有する地域発ICTスタートアップの創出に向けて、起業を志す学生や有望な若手起業家を全国から発掘し、メンタリングやビジネスプランのブラッシュアップを通して事業化をサポートする「全国アクセラレータ・プログラム」を進めている。 今回のイベントは、全国各地から選抜された学生が一堂に会し、全国アクセラレータ・プログラムの成果としてブラッシュアップしたビジネスプランを披露する『デモ・デー』の1日目として催された。 全国アクセラレータ・プログラムでは、地区大会において有望な起業家の卵を掘り起こし(「発掘フェーズ」)、ICT業界等で活躍する人(メンター)と事業計画等をブラッシュアップする「育成フェーズ」を経て、「事業支援・事業拡大フェーズ」として、ビジネスプランの発表を行い、その後の事業化の機会につなげるとしている。 なお、今回も起業家甲子園の出場予定者を対象として、グローバルマインドを身につける機会を提供するため、米国シリコンバレーにおいて「シリコンバレー起業家育成プログラム」を実施した。 チームは高校生、高専生、大学生、大学院生等の学生で構成される。「起業家甲子園」のファイナリストとして学生プレゼンテーションしたのは、「チームまごころポスト」、「Healtz」のほか次の9組(地区、チーム名〈一部は高専名と兼ねる〉、学校名、事業名の順)。▽全国、鈴鹿工業高等専門学校、Mothman(もすまん)▽同、舞鶴工業高等専門学校、チェックポイント型ウォーキング〝WellCing〟を用いた自身の健康及び歩行空間作りによる地域活性化▽北海道、ちーむえす、北海道情報専門学校、#(シャープ)▽関東、「有限会社魔法アプリ」、明治大学専門職大学院・東京工科大学、Virtual Realityを用いた不安障害等曝露療法ソフトウェア「Virtual Reality Exposure System」研究開発及び販売事業▽北陸、放課後プログラマー、福井工業高等専門学校、Popro 子供たちよ体を動かせ▽東海、Smart Eating、名古屋大学、注文・決済管理アプリSmart Eating▽近畿、AVIATO、滋賀医科大学、深層学習による脳卒中早期発見アプリ▽九州、TSUKIKAI、熊本大学、hakobune▽沖縄、あっぷるもんぶらん。、沖縄工業高等専門学校、SafetyPlus。 開会挨拶を徳田英幸NICT理事長が行った。「起業家甲子園に全国から多数の皆さまにご参加いただいた。起業家甲子園は今年で8回目。会場にお集まりの各校の先生方、また、地域でスタートアップ支援に取り組んでいただいた関係者の皆さま、ご協賛、ご後援をいただいた各社の方々のおかげで、盛大に開催されますことを厚く御礼申し上げます。また、ICTプラットフォームのメンターの皆さまにはこれまで各地に足を運んでいただき、学生チームの選抜、またその後の各チームへのメンタリングなど多大なるご協力をいただき改めて感謝申し上げます。また、本日の審査についてはスタートアップ支援の実績をお持ちの専門家の方々を審査員にお招きした。ご自分が出資したいと思えるかどうかなどの観点から厳正なる審査をお願いしたい。全国各地から選抜された各チームがビジネスプランを発表される。いずれのチームをアイデアを凝らしたレベルの高い発表が行われると期待している。この場は、学生の皆さんがここから大きく飛躍してほしいという関係者の熱い思いが集約された場である。発表する学生の皆さんには、これまで準備されてきた成果を存分に発揮してください。熱気あふれる発表をお願いしたい」と述べた。 審査委員紹介・協賛企業紹介と続き、学生プレゼンテーション、過去受賞者プレゼンテーション(関西学院千里国際高等部の鳥枝樹利亜さん)、シリコンバレーブートキャンプ報告と続いた。 続いて、表彰式(協賛企業特別賞20社、審査委員特別賞表彰、総務大臣賞表彰・最優秀メンター賞表彰)が行われた。講評(審査委員長・佐藤光紀セプテーニ・ホールディングス代表取締役)と続いた。 表彰式で主催者挨拶した佐藤ゆかり総務副大臣は次のように述べた。「わが国は世界で最も少子高齢化が進んでいる国のひとつである。本日、ご参加の学生の方々の世代であるが、18歳の人口を例にとると、ピークだったのが1992年。205万人だったのが現在では120万人を下回っている。こうした時代において、これからの社会の中核を担っていただく若い皆さまにはわが国の宝として、国内はもとより海外にどんどん出て行って活躍していただきたい。私どもも全力をかけて応援をしていきたいと思う。総務省では、皆さまが社会の第一線で活躍される2040年を見据えて、プログラミング等のICTスキルの教育や人材育成プログラムなどで〝トップガン人材の育成〟に取り組んでいく。本日、皆さまからすばらしいアイデアを披露していただいたが、その一方で起業ということではアイデアの優劣だけがビジネスの成否を占うわけではない。資金の調達、販路の開拓など様々な課題を解決していかなければいけない。様々な分野で活躍されるメンターの指導を仰ぎながら、皆さまが世界に羽ばたくビジネスをひとつでも多く作り出されることを祈っています」と述べた。 総務大臣賞を受賞した「まごころポスト」は『温かみのある家族のコミュニケーションを実現する、リビングにおけるデジタルポスト。プリンターを内蔵することで、離れたところからでも写真を直接紙で届けることができる。その他、ポスト自体にセンサーやスピーカー等を搭載し、アナログ的だが、デジタルによってインタラクティブなコミュニケーションを可能とする』。
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